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異世界漂流編
ある少年の話
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少年、彼方は孤児だった。家族が出来たのは中学生になってからの話だ。
彼方の孤児院はヤクザに莫大な借金をしていた。噂では孤児院の先生がギャンブル依存症だったらしい。飽くまで噂だ。
その時はまだ立夏も愛梨も肇も出会う前で、俺と小百合と彼方で三人の時だった。
彼方は今とは別人見たく、誰にでも優しい優男みたいなやつだった。今の姿を見たら誰でも疑うに決まっているがな。
物心つく頃には、孤児院の家事を一人でするようようになってた。確か小四の頃ぐらいからだ。小百合や俺が遊びに行っても、弟や妹の世話や家事に追われていて、責任感のあるやつだったんだ。嘘じゃない。
小学生の夢も「孤児院に恩返しをしたい」とか書いていた。今とは違い、温厚で大らかな性格をしてたんだ。狡猾でずる賢いとこなんかちっとも見せていなかった。
ここまで見ればハッピーエンドで済むはずだと思うだろう?
そんないつかの日のことだ。
その日は久しく彼方も入れて孤児院でかくれんぼをしていた。彼方が鬼でみんなが散っていった。俺と小百合は物置小屋の隅に隠れてやり過ごそうとしていた。
その時に、隠れていて気付かなかったのだろうか、孤児院の先生とヤクザの会話が聞こえてきて、
「ほ、本当にもう金はないんだ!!」
「あっ、じゃてめぇの身体で払えや!」
「い、いや、子供の身体で済ませてくれないか!!」
「ちっ、玉無し野郎がっ!っで、誰にすんだよ?」
「か、彼方にしよう!!彼方ならきっと自分(みず)から進んでやってくれるはずだ」
ここで俺と小百合は大きな間違いをしでかしてしまった。年増もいかない俺達は、その話がなんなのか分からず彼方に話してしまったのだ。
すると彼方は笑って、
「・・・そっか。やっと恩返しできるな!!」
彼方は臓器移植という言葉を知っていたのだろう。知らなかったとしても無邪気な笑顔を向けたのだろう。
今思うとあれは、きっと涙をこらえての隠し笑いだったのだろうと気づいてしまう。最悪だ。
けど、彼方がいなくなることは無かった。次の日に孤児院の先生が死んだのだ。未だに真相は分かっていない。自殺かもしれないし、ヤクザによる他殺かもしれないし、孤児の誰かによるものかもしれない。・・・もしかしたら彼方かも・・・。
それから彼方は変わった。嫌、変えられてしまったのだ。誰にも本当の笑みを見せなくなってしまった。それも当然だ。恩人とまで慕っていた親に裏切られたも同然なのだから。
距離がある。彼方の周りには圧倒的なでかさの壁が立ちはだかってるんだ。どこか他人じみたり、相手をどうとも思ってないところが決まってあるんだ。
作り笑いしかしなくなったのだ。俺や小百合にでさえも。
この世界に来たから何かかわるんじゃないかと思っていたさ。でも今でも変わっていない。
俺達を頼らずに一人で先に行ってしまうんだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
何分経ったかも分からない森閑とした空気を、カレナの一声が切り開く。
「つまり、彼方の心はまだ誰にも取られてへんちゅうことやな!!」
「カレナさん今の話聞いてました?!すごいシリアスなこと語っていましたよ!!」
カレナの不適当な答えに、肇は怒りじみた声で問うた。
「そないなこと聞いとったわ。なんやったら一から話してもいいで!」
「分かったから。で、なんでかなたんの心を奪うって考えに陥ったの?」
立夏が重い話はもうごめんだ、とばかりにカレナの口を塞ぐ。
「えっ、せやから彼方はいつも一人で彼方遠くへ行ってしまうんやろ?あれっ、今のは笑うとこちゃ「いいから続けてください」分かったって。ほんならその隣に立てた人はまだ誰もいいひんわけちゃうの?」
カレナのデリカシーのないジョークをラミルに叩かれながらも、カレナは終着点を言う。
カレナの言い回しに、ここにいる全員は頭を抱える。
「なんだそれ?そんなの最終結論にしかならないじゃねーか。団長はもっと頭回そうぜ」
「彼方って意外と皆のこと警戒してたんだね。知らなかったよ」
「セリア・・・話しが変わっていると思いますよ」
「あれだニャ、|こんな時(・・・・)でも団長らしくて安心したニャ」
「貴方達は安心しすぎです!!彼方がピンチなんですよ?!速く|ここから(・・・・)出なくちゃいけませんのに!!」
リン、セリア、マリー、ロットときて、我慢しきれなくなった飛鳥がぶち切れる。勇者である飛鳥や魁斗の異世界組とカレナやラミルが所属する神憑りな切札一同は牢獄の中に監禁されている。罪科は反逆者である彼方の羽翼だ。彼方が捕まり次第、カレナ達は釈放される。言い換えれば、それまでは出れないのだ。
そこへ、
「おいお前ら!静かにいねぇーか!朗報持ってきてやったぞ」
看守が嘲笑うように檻に寄って来て、
「喜べ、お前ら。違法者は無事に天に召されれたわ」
その言葉に反応出来た者は果たしていただろうか。彼方の落命報告に牢獄は奇妙な静寂に呑まれる。
彼方の孤児院はヤクザに莫大な借金をしていた。噂では孤児院の先生がギャンブル依存症だったらしい。飽くまで噂だ。
その時はまだ立夏も愛梨も肇も出会う前で、俺と小百合と彼方で三人の時だった。
彼方は今とは別人見たく、誰にでも優しい優男みたいなやつだった。今の姿を見たら誰でも疑うに決まっているがな。
物心つく頃には、孤児院の家事を一人でするようようになってた。確か小四の頃ぐらいからだ。小百合や俺が遊びに行っても、弟や妹の世話や家事に追われていて、責任感のあるやつだったんだ。嘘じゃない。
小学生の夢も「孤児院に恩返しをしたい」とか書いていた。今とは違い、温厚で大らかな性格をしてたんだ。狡猾でずる賢いとこなんかちっとも見せていなかった。
ここまで見ればハッピーエンドで済むはずだと思うだろう?
そんないつかの日のことだ。
その日は久しく彼方も入れて孤児院でかくれんぼをしていた。彼方が鬼でみんなが散っていった。俺と小百合は物置小屋の隅に隠れてやり過ごそうとしていた。
その時に、隠れていて気付かなかったのだろうか、孤児院の先生とヤクザの会話が聞こえてきて、
「ほ、本当にもう金はないんだ!!」
「あっ、じゃてめぇの身体で払えや!」
「い、いや、子供の身体で済ませてくれないか!!」
「ちっ、玉無し野郎がっ!っで、誰にすんだよ?」
「か、彼方にしよう!!彼方ならきっと自分(みず)から進んでやってくれるはずだ」
ここで俺と小百合は大きな間違いをしでかしてしまった。年増もいかない俺達は、その話がなんなのか分からず彼方に話してしまったのだ。
すると彼方は笑って、
「・・・そっか。やっと恩返しできるな!!」
彼方は臓器移植という言葉を知っていたのだろう。知らなかったとしても無邪気な笑顔を向けたのだろう。
今思うとあれは、きっと涙をこらえての隠し笑いだったのだろうと気づいてしまう。最悪だ。
けど、彼方がいなくなることは無かった。次の日に孤児院の先生が死んだのだ。未だに真相は分かっていない。自殺かもしれないし、ヤクザによる他殺かもしれないし、孤児の誰かによるものかもしれない。・・・もしかしたら彼方かも・・・。
それから彼方は変わった。嫌、変えられてしまったのだ。誰にも本当の笑みを見せなくなってしまった。それも当然だ。恩人とまで慕っていた親に裏切られたも同然なのだから。
距離がある。彼方の周りには圧倒的なでかさの壁が立ちはだかってるんだ。どこか他人じみたり、相手をどうとも思ってないところが決まってあるんだ。
作り笑いしかしなくなったのだ。俺や小百合にでさえも。
この世界に来たから何かかわるんじゃないかと思っていたさ。でも今でも変わっていない。
俺達を頼らずに一人で先に行ってしまうんだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
何分経ったかも分からない森閑とした空気を、カレナの一声が切り開く。
「つまり、彼方の心はまだ誰にも取られてへんちゅうことやな!!」
「カレナさん今の話聞いてました?!すごいシリアスなこと語っていましたよ!!」
カレナの不適当な答えに、肇は怒りじみた声で問うた。
「そないなこと聞いとったわ。なんやったら一から話してもいいで!」
「分かったから。で、なんでかなたんの心を奪うって考えに陥ったの?」
立夏が重い話はもうごめんだ、とばかりにカレナの口を塞ぐ。
「えっ、せやから彼方はいつも一人で彼方遠くへ行ってしまうんやろ?あれっ、今のは笑うとこちゃ「いいから続けてください」分かったって。ほんならその隣に立てた人はまだ誰もいいひんわけちゃうの?」
カレナのデリカシーのないジョークをラミルに叩かれながらも、カレナは終着点を言う。
カレナの言い回しに、ここにいる全員は頭を抱える。
「なんだそれ?そんなの最終結論にしかならないじゃねーか。団長はもっと頭回そうぜ」
「彼方って意外と皆のこと警戒してたんだね。知らなかったよ」
「セリア・・・話しが変わっていると思いますよ」
「あれだニャ、|こんな時(・・・・)でも団長らしくて安心したニャ」
「貴方達は安心しすぎです!!彼方がピンチなんですよ?!速く|ここから(・・・・)出なくちゃいけませんのに!!」
リン、セリア、マリー、ロットときて、我慢しきれなくなった飛鳥がぶち切れる。勇者である飛鳥や魁斗の異世界組とカレナやラミルが所属する神憑りな切札一同は牢獄の中に監禁されている。罪科は反逆者である彼方の羽翼だ。彼方が捕まり次第、カレナ達は釈放される。言い換えれば、それまでは出れないのだ。
そこへ、
「おいお前ら!静かにいねぇーか!朗報持ってきてやったぞ」
看守が嘲笑うように檻に寄って来て、
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