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6. 強引な魔法使い③
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セラの新緑の瞳は本当に澄んでいて綺麗だった。
「うん、いいよ」
「本当!?」
「二度も聞かないで」
「ありがとう! トーコ!」
セラが両手を上げて大喜びしたかと思うと、ガバッと力いっぱい私を抱きしめた。
パチンとまたセラの指が鳴ると、私の部屋のベッドの上に二人で座っていた。
「夢……?」
「魔法だってば」
セラが立ち上がって腰回りをはたけば、サラサラとした砂が沢山床に落ちた。
さっきまで座っていた、砂漠と同じ砂。
「部屋っっ!! 砂だらけっ!!」
半ば焦って立ち上がれば、私のスカートからも砂が沢山落ちてきた。
「ぎゃっ!! ベッドの上まで砂だらけっ」
私一人慌てるこの状況に、不謹慎な笑いを堪えていたセラが、とうとう吹き出して口を大きく開けて笑った。
「トーコ笑わせないでよ」
「そっちこそ人の部屋汚しておいて笑わないでよ!」
「ああ、確かに。僕が悪いね。くくっ」
セラが笑いを必死に堪えながら指をパチンと鳴らせば、部屋を汚す砂漠の砂は一瞬で消えた。
「消えた……」
「心配させてごめんね」
さっきまでケラケラと笑っていたくせに、今はしおらしく眉を八の字にして申し訳なさそうにしていた。
と、思っていたら、何だか顔色がみるみる悪くなっていく。
どこか、様子がおかしい。
「え……大丈夫?」
「ごめ……魔力を使いすぎたみたいで……」
セラは電池が切れたように、ベッドに向かって直立不動でドサッと倒れた。
顔からいった……そこにベッドがあって良かった。
なんて思ってる場合でもなく、急いで彼の呼吸を確保するため、私もベッドの上に飛び乗り、セラの身体を両手で思い切り引っ張ってごろんと寝返りさせた。
「大丈夫!? 聞こえてる?」
薄っすらと瞼が上がり、のぞいた瞳は灰色に変わっていた。
「やばいかも……ポーションを多めに持ってきてくれないか」
「ポーション??? って、ないに決まってるでしょ」
「じゃあ、至急聖女様のもとに……」
「いるわけないでしょ!!」
私の返答に、セラは喉をヒューヒュー鳴らしながら目を瞑った。
「そういうことか……魔法をつかっちゃいけないって……」
「どういうこと?」
「このままだと……僕は、死んでしまう……」
消え入りそうなかすれ声に、ドクドクと心臓が焦り始めた。
「伊勢さんをすぐに呼んでくる!」
セラの手が、僅かな力を振り絞って私の左手を握った。
「違う……それじゃ助からない。僕を助けられるのは、目の前にいる君だけ」
「私? 私がどうしたら助かるの?」
「僕の……セイハイになって欲しい」
「セイハイ?」
聖杯?
Say Hi?
「僕と結婚して……」
「結婚!?」
死にそうな顔で、私を真剣に見つめて懇願するセラ。
そんな顔されても、無理なものは無理。
「十七歳で出来るわけないでしょ!! 今日知り合ったばかりの人となんて尚更しないし!」
声を荒げた私に、セラは苦しそうに笑った。
「魔法使いの結婚の意味はちょっと特殊なんだ。ちょっとした契約をそう呼ぶと思ってくれたらいいかな……。セイハイと結ばれた魔法使いは、ポーションや聖女様がいなくても魔力を回復できるようになる。ただ、それだけ」
「……婚姻届は出さないの?」
「出さない。魔法使いと、セイハイ、二人だけの個人的なものだから。
セイハイは、魔法使いの魔力を満たせる人のこと。一人の魔法使いに対して、たった一人だけの存在。トーコが僕のセイハイになってくれたら……僕は助かる」
「……本当に、それだけ? 戸籍は影響ない? 法律は?」
「そこは関係ないよ。僕の世界でも、法的に相手と結ばれる時は婚姻届をちゃんと出す必要がある。
トーコにお願いしているのはセイハイ。魔法使い特有の結婚制度。しかも、僕がこの世界にいる間だけでいいんだ」
戸籍や法律に関わる話ではなく、セラがこの世界にいるだけの話なら……と、気持ちが傾き始めた時、私の左手を握るセラの力が弱まっていき、彼は朦朧とし始めた。
まさか……ここで死んでしまう!?
——俳優伊勢櫂の自宅から外国人の遺体発見。
スキャンダル一面!?
事故物件!?
それはまずい!!!!
「わかったから! なるから! ここで死なないで!!」
私の左手を掴むセラの手の親指が、じんわりと私の指を一度だけさすった。
「セラドナイトの……セイハイとなると……言って……」
「セラドナイトのセイハイとなる」
セラに掴まれた手から光が溢れ出し、見えない何かで彼の左手の薬指と私の左手の薬指が結ばれた気がした。
次の瞬間、セラに手を引っ張られて彼の隣になだれるように倒れ込むと、間髪入れずにセラにキスをされた。
「んんっ……んはっ……」
「だめ……逃げないで……」
私が逃げられないよう、セラは私の身体と後頭部をがっちりホールドし、渇きを癒すように唇を重ねてきた。
「うん、いいよ」
「本当!?」
「二度も聞かないで」
「ありがとう! トーコ!」
セラが両手を上げて大喜びしたかと思うと、ガバッと力いっぱい私を抱きしめた。
パチンとまたセラの指が鳴ると、私の部屋のベッドの上に二人で座っていた。
「夢……?」
「魔法だってば」
セラが立ち上がって腰回りをはたけば、サラサラとした砂が沢山床に落ちた。
さっきまで座っていた、砂漠と同じ砂。
「部屋っっ!! 砂だらけっ!!」
半ば焦って立ち上がれば、私のスカートからも砂が沢山落ちてきた。
「ぎゃっ!! ベッドの上まで砂だらけっ」
私一人慌てるこの状況に、不謹慎な笑いを堪えていたセラが、とうとう吹き出して口を大きく開けて笑った。
「トーコ笑わせないでよ」
「そっちこそ人の部屋汚しておいて笑わないでよ!」
「ああ、確かに。僕が悪いね。くくっ」
セラが笑いを必死に堪えながら指をパチンと鳴らせば、部屋を汚す砂漠の砂は一瞬で消えた。
「消えた……」
「心配させてごめんね」
さっきまでケラケラと笑っていたくせに、今はしおらしく眉を八の字にして申し訳なさそうにしていた。
と、思っていたら、何だか顔色がみるみる悪くなっていく。
どこか、様子がおかしい。
「え……大丈夫?」
「ごめ……魔力を使いすぎたみたいで……」
セラは電池が切れたように、ベッドに向かって直立不動でドサッと倒れた。
顔からいった……そこにベッドがあって良かった。
なんて思ってる場合でもなく、急いで彼の呼吸を確保するため、私もベッドの上に飛び乗り、セラの身体を両手で思い切り引っ張ってごろんと寝返りさせた。
「大丈夫!? 聞こえてる?」
薄っすらと瞼が上がり、のぞいた瞳は灰色に変わっていた。
「やばいかも……ポーションを多めに持ってきてくれないか」
「ポーション??? って、ないに決まってるでしょ」
「じゃあ、至急聖女様のもとに……」
「いるわけないでしょ!!」
私の返答に、セラは喉をヒューヒュー鳴らしながら目を瞑った。
「そういうことか……魔法をつかっちゃいけないって……」
「どういうこと?」
「このままだと……僕は、死んでしまう……」
消え入りそうなかすれ声に、ドクドクと心臓が焦り始めた。
「伊勢さんをすぐに呼んでくる!」
セラの手が、僅かな力を振り絞って私の左手を握った。
「違う……それじゃ助からない。僕を助けられるのは、目の前にいる君だけ」
「私? 私がどうしたら助かるの?」
「僕の……セイハイになって欲しい」
「セイハイ?」
聖杯?
Say Hi?
「僕と結婚して……」
「結婚!?」
死にそうな顔で、私を真剣に見つめて懇願するセラ。
そんな顔されても、無理なものは無理。
「十七歳で出来るわけないでしょ!! 今日知り合ったばかりの人となんて尚更しないし!」
声を荒げた私に、セラは苦しそうに笑った。
「魔法使いの結婚の意味はちょっと特殊なんだ。ちょっとした契約をそう呼ぶと思ってくれたらいいかな……。セイハイと結ばれた魔法使いは、ポーションや聖女様がいなくても魔力を回復できるようになる。ただ、それだけ」
「……婚姻届は出さないの?」
「出さない。魔法使いと、セイハイ、二人だけの個人的なものだから。
セイハイは、魔法使いの魔力を満たせる人のこと。一人の魔法使いに対して、たった一人だけの存在。トーコが僕のセイハイになってくれたら……僕は助かる」
「……本当に、それだけ? 戸籍は影響ない? 法律は?」
「そこは関係ないよ。僕の世界でも、法的に相手と結ばれる時は婚姻届をちゃんと出す必要がある。
トーコにお願いしているのはセイハイ。魔法使い特有の結婚制度。しかも、僕がこの世界にいる間だけでいいんだ」
戸籍や法律に関わる話ではなく、セラがこの世界にいるだけの話なら……と、気持ちが傾き始めた時、私の左手を握るセラの力が弱まっていき、彼は朦朧とし始めた。
まさか……ここで死んでしまう!?
——俳優伊勢櫂の自宅から外国人の遺体発見。
スキャンダル一面!?
事故物件!?
それはまずい!!!!
「わかったから! なるから! ここで死なないで!!」
私の左手を掴むセラの手の親指が、じんわりと私の指を一度だけさすった。
「セラドナイトの……セイハイとなると……言って……」
「セラドナイトのセイハイとなる」
セラに掴まれた手から光が溢れ出し、見えない何かで彼の左手の薬指と私の左手の薬指が結ばれた気がした。
次の瞬間、セラに手を引っ張られて彼の隣になだれるように倒れ込むと、間髪入れずにセラにキスをされた。
「んんっ……んはっ……」
「だめ……逃げないで……」
私が逃げられないよう、セラは私の身体と後頭部をがっちりホールドし、渇きを癒すように唇を重ねてきた。
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