8 / 39
7. 強引な魔法使い④
しおりを挟む
こいつは魔法使いではなく吸血鬼の類だったのではないだろうか。
そう思えるほどに、セラはキスをするたび体力が回復しているようで、いつの間にか私の上にまたがり覆い被さった状態で私の唇を食べつくしていて、私の両手は逃れられないようにセラに拘束されていた。
うっすらと目を開ければ、彫刻のように美しい造形の美青年が、頬を赤く染めていた。
思わず胸がドキッと跳ねた。
まさか……セラも緊張してる?
セラが息を漏らしながら私を求める様が、魅入るほど美しく、目が離せなくなった。
これは……ラッキーかも…………。
と、頭をよぎってしまう。
いやいや、よぎるな。この顔にほだされるな。
満足いくまでキスをし終えたセラが、私の唇からゆっくりと離れていった。
だけど、まだ私にまたがったまま、上がり切った息を整えながら、艶っぽい視線で私を見降ろしていた。
その瞳の色は、出会った時以上にみずみずしさを増した新緑の色に輝いていた。
「ありがとう……助かった……」
「ど……どういうことか……説明して……回復方法って、毎回これ?」
お互いにまだ言葉の合間合間に息継ぎが必要だった。
「毎回じゃない。今は緊急だったんだ。こっちにも人工呼吸ってあるかな?」
「海で溺れた人にマウストゥマウスで肺に息を送るあれなら」
「そう、それ。今回も、魔法使いを救う人工呼吸をしたと思ってくれたら的確。
キスがなかったら死んでた」
「魔法使いは魔力が無くなるたびに誰彼構わずキスをするの?」
「するわけないよ。誰でもいいわけじゃないから」
「誰でもいいわけじゃない?」
「だから、トーコに僕の奥さんに、聖配になってもらったんだ。聖なる配偶者で聖配ね。
魔法使いは魔力が生命力と直結してるみたいで、無くなると死んじゃうんだけど、独身の魔法使いは魔力が減れば、ポーションを飲むか、教会で聖女様に魔力を回復してもらうんだ。
聖配と結ばれたあとは、その聖配と肌を重ね合うことでも魔力回復出来るようになる。愛の力は偉大で、一番強力だから。
この世界にポーションも聖女もいないなら、聖配しか僕を救えなかった」
「肌を重ねる!? でっ、出来ないからね、それは!! そもそも私達愛し合ってないし!!」
「体裁があるだけで効力発揮するんだよね。それは婚姻届も一緒でしょ?
それと、今回はポーションがないことを知らずに力が無くなるまで使っちゃったけど、少しの回復なら手を重ねてくれるだけで十分だから安心して」
セラはにっこりと微笑み、左手の薬指を見せてきた。そこにはうっすらと青白く光るリングが見えた。
嫌な予感がして、自分の左手を見れば、同じものが薬指で輝いていた。慌てて何度も指輪に触れようとするが、実体がなく透かすばかりで触ることができない。
「あ、念のため、カイリ様には僕たちが結婚したことは内緒にしておこう」
「それには大賛成」
「だから、指輪は隠した方がいいね」
セラがパチンと指を鳴らせば、私達の薬指に輝いていた指輪は消えた。
そしてセラは、私の頭をくしゃりと撫でた。
「回復完了」
セラは天使の微笑みをみせてから、部屋を出て行った。
目が覚めたら、これが夢でありますように……。
そう思えるほどに、セラはキスをするたび体力が回復しているようで、いつの間にか私の上にまたがり覆い被さった状態で私の唇を食べつくしていて、私の両手は逃れられないようにセラに拘束されていた。
うっすらと目を開ければ、彫刻のように美しい造形の美青年が、頬を赤く染めていた。
思わず胸がドキッと跳ねた。
まさか……セラも緊張してる?
セラが息を漏らしながら私を求める様が、魅入るほど美しく、目が離せなくなった。
これは……ラッキーかも…………。
と、頭をよぎってしまう。
いやいや、よぎるな。この顔にほだされるな。
満足いくまでキスをし終えたセラが、私の唇からゆっくりと離れていった。
だけど、まだ私にまたがったまま、上がり切った息を整えながら、艶っぽい視線で私を見降ろしていた。
その瞳の色は、出会った時以上にみずみずしさを増した新緑の色に輝いていた。
「ありがとう……助かった……」
「ど……どういうことか……説明して……回復方法って、毎回これ?」
お互いにまだ言葉の合間合間に息継ぎが必要だった。
「毎回じゃない。今は緊急だったんだ。こっちにも人工呼吸ってあるかな?」
「海で溺れた人にマウストゥマウスで肺に息を送るあれなら」
「そう、それ。今回も、魔法使いを救う人工呼吸をしたと思ってくれたら的確。
キスがなかったら死んでた」
「魔法使いは魔力が無くなるたびに誰彼構わずキスをするの?」
「するわけないよ。誰でもいいわけじゃないから」
「誰でもいいわけじゃない?」
「だから、トーコに僕の奥さんに、聖配になってもらったんだ。聖なる配偶者で聖配ね。
魔法使いは魔力が生命力と直結してるみたいで、無くなると死んじゃうんだけど、独身の魔法使いは魔力が減れば、ポーションを飲むか、教会で聖女様に魔力を回復してもらうんだ。
聖配と結ばれたあとは、その聖配と肌を重ね合うことでも魔力回復出来るようになる。愛の力は偉大で、一番強力だから。
この世界にポーションも聖女もいないなら、聖配しか僕を救えなかった」
「肌を重ねる!? でっ、出来ないからね、それは!! そもそも私達愛し合ってないし!!」
「体裁があるだけで効力発揮するんだよね。それは婚姻届も一緒でしょ?
それと、今回はポーションがないことを知らずに力が無くなるまで使っちゃったけど、少しの回復なら手を重ねてくれるだけで十分だから安心して」
セラはにっこりと微笑み、左手の薬指を見せてきた。そこにはうっすらと青白く光るリングが見えた。
嫌な予感がして、自分の左手を見れば、同じものが薬指で輝いていた。慌てて何度も指輪に触れようとするが、実体がなく透かすばかりで触ることができない。
「あ、念のため、カイリ様には僕たちが結婚したことは内緒にしておこう」
「それには大賛成」
「だから、指輪は隠した方がいいね」
セラがパチンと指を鳴らせば、私達の薬指に輝いていた指輪は消えた。
そしてセラは、私の頭をくしゃりと撫でた。
「回復完了」
セラは天使の微笑みをみせてから、部屋を出て行った。
目が覚めたら、これが夢でありますように……。
3
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
グリモワールの塔の公爵様【18歳Ver】
屋月 トム伽
恋愛
18歳になり、結婚が近いと思われたプリムローズは、久しぶりに王都の邸にいる婚約者に会いに行っていた。
だけど、義姉クレアと婚約者ジャンのベッドインを目撃してしまい、婚約破棄されてしまったプリムローズ。
プレスコット伯爵家から追い出すための名目で、金持ちの子爵様に売られるも同然の後妻に入ることになったプリムローズ。
そんなある日、夜会で出会ったクライド・レイヴンクロフト次期公爵様から結婚をもうしこまれる。
しかし、クライドにはすでに親の決めた婚約者がおり、第2夫人でいいなら……と、言われる。
後妻に入るよりは、第2夫人のほうがマシかもとか思っていると、約束だ、と頬にキスをされた。
「必ず迎え入れる」と約束をしたのだ。
でも、クライドとのデートの日にプリムローズは来なかった。
約束をすっぽかされたと思ったクライドは、その日から一向にプリムローズと会うことはなかった。
時折出す手紙のやり取り。プリムローズがどうしたいのかわからないクライドは困惑していた。
そして、プレスコット家での現状を知り、クライドはプリムローズをプレスコット伯爵邸から連れ出し、グリモワールの塔に連れて行き……。
最初は、形だけの結婚のつもりかと思っていたのに、公爵様はひどく甘く、独占欲の固まりだった。
※以前投稿してました作品を【18歳Ver】に書き直したものです。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
軽薄公爵のお気に入り
宝月 蓮
恋愛
ゼーラント伯爵令嬢イリスは、社交界デビューしたばかり。姉のリンデに守られながら社交界に慣れていく中、軽薄公爵と噂され、未亡人や未婚の令嬢と浮き名を流すルーヴェン公爵家の若き当主、ヤンと知り合う。
軽薄だと噂されているヤンだが、イリスは彼がそのような人物だとは思えなかった。
イリスはヤンと交流していくうちに、彼に惹かれ、そして彼が過去に何かあったのだと気付き……?
過去作『返り咲きのヴィルヘルミナ』と繋がりがありますが、お読みでなくても楽しめるようになっています。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
Marry Me?
美凪ましろ
恋愛
――あの日、王子様があたしの目の前に現れた。
仕事が忙しいアパレル店員の彼女と、王子系美青年の恋物語。
不定期更新。たぶん、全年齢でいけるはず。
※ダイレクトな性描写はありませんが、ややそっち系のトークをする場面があります。
※彼の過去だけ、ダークな描写があります。
■画像は、イトノコさまの作品です。
https://www.pixiv.net/artworks/85809405
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる