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しおりを挟む美味しそうなものを食べるように大事に、それでいてねっとりと、甘ったるく。
全身を包む、蕩けるような浮遊感。
これだけで息をあげてしまっていることに、自分が一番驚く。
「やっぱりね 」
「な……に? 」
「だろうとは予測してたけど、美花ちゃん、本当のキスも知らない 」
「キスなんか…… 」
知ってるわと答えようとして、美花は躊躇った。
こんな感覚になるのは、こんなキスをされるのは、生まれて初めてな気がしたから。
そして、気付く。 自分がもっと先を知りたがっていることに。
「ね、美花ちゃん? 」
ーーー怖くしないから、全部僕が教えてあげてもいい?
両手で頬を挟まれて、今キスしていた口唇を愛しそうに啄まれる。
答えは要らないのか、頷く時間も無かった。
睫毛を震わせて瞳を閉じると、口付けが深くなる。
逃げるなんて、どこに逃げようと思っていたのだろう。
ここが逃げ場所だったのかもしれないのに……。
『愛されちゃいなさいね 』
言った通り、彼は宝物を扱うように私に触れた。
口付けだけで息も絶え絶えにされて、それこそ観念したとみるや、軽々と抱え上げ浩峨の部屋へと運ばれそうになる。
慌てて、その前にお風呂に行きたいと言うと敢え無く却下されかかったが、涙目で訴えたらしぶしぶ願いは叶えられた。
但し、浩峨も一緒だという条件付きで。
拒否する暇もなく服をつるんと剥かれ、恥ずかしくて隠れようとすれば、『美花ちゃんの裸は、もう知ってるよ? 』と、まるで恥ずかしがることが可笑しいかのように笑われた。
けれど、それは美花を油断させる遣り口だったと、その後されたあんなことや、あんなことや、あんなことで分かることとなる。
「身体、洗って上げるね 」
平然と衣服を脱いで現れた肢体は、先程簡単に、この腕の中に縛り付けられた美花を納得させるものだった。
スラリと伸びた高い背と長い手足。
探偵という職業柄だろうか、張り詰めた肌と程よく綺麗に付いた筋肉は美花をドキッとさせ、視線を逸らさせた。
「いっ、いいわよっ 」
「またまた、遠慮しないで 」
「いいった……ら、んん、ん…… 」
遠慮していないのは、そっちでしょうっ?
言ってやりたい言葉は、隙あらば塞いでくる口付けに遮られる。
洗うという名目で好き勝手に触られ、いじられて、浴室から出る頃には既にくったりとなった美花は、バスタオルでくるまれて、今度こそ、巣に持ち去られた。
ベッドに降ろされた途端、今までされてきたキスが子どもだましだったと思える位のキスを与えられて、あっという間に美花の思考能力は奪われていく。
「美花ちゃん、舌出して? 」
「し、た……? 」
ぼう……っとしながら、言われるままにそろそろと舌を出すと、「お利口 」と頭を撫でられて、ちゅっとご褒美のように舌先を吸われた。
そのまま絡められた舌は様子を窺うように入り込んで、美花のくちの中をいっぱいにする。
指先がじんと痺れて濡れた瞳を薄く開けば、ぼやけた視界の中、浩峨がクスリ……と笑った。
「おとなしくされてるのも、気になるもんなんだなぁ…… 」
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