溺れるカラダに愛を刻んで【完結】

山葵トロ

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★お兄さん達の本音(*BL要素アリマス。注意要*)

8-1

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 「すっげぇ数のプリン…… 」

 壱葉はダイニングテーブルに並べられた、妹が土産に作ってきたという大量のプリンを見て呆然とした。
 壱葉の反応に、美花は眉を顰める。


 「……壱葉兄さん、この間美味しいって言ってたじゃない 」

 「いや、言ったけどさ 」

 「もっと食べたいって言ったじゃない 」

 「それも言ったけど、この量は…… 」

 「ひどいわ! 喜んでくれると思ったのに! 」

 腕組みをしてぷいと横を向いた美花に、壱葉はため息を吐く。そして、奥のソファーに座る妹の婚約者である男を盗み見た。
 男は人好きのする笑顔で微笑みながら、こちらを見守っている。


 10違う年下の恋人。

 きっと、可愛いと思いながら見てるんだろうけど、こんな常識知らずの我が儘娘で本当にいいのか?
 いや、良くない。嫁に出す立場の者としてはこれではいけないと思う。

 父親は入院中だし、俺が恥ずかしくないように何とかしてやらないと。


 「あのな、美花…… 」

 けれど言い掛けた時、その男の向かいに座るもう一人の男、この家の家主の姿が視界の端に映って、ハッ……となった。
 その男は指先で銀色のフレームの真ん中を持ち上げながら、妹の恋人で兄である男と同じ表情で笑っていた。

 おい、ちょっと待て! 何んでお前までそんな顔で見てんだよ?!


 かぁ……っと、熱くなる頬。

 さっき妹の恋人に思っていたことが、そのまま自分に返ってくる。



「何よ 」と口を尖らせた美花が言い返してくるけれど、直ぐに言葉を返すことも出来ない。

 取り敢えず、目の前のプリン。 壱葉は黙ったまま、がつがつとそれを入っていた紙袋に入れていく。


 「兄さん! 何して…… 」

 「いや、うん、嬉しいよ、美花」

 「はぁ……?! 」

 とにかく、この場から離れたくて、浩輔の視線から逃れたくて、適当に答えたら美花が大袈裟に声をあげた。


 「さっきと言ってることが違うじゃない! 」

 「ほら、あれだよ。折角作ってくれたんだから早く冷蔵庫に入れないとな、うんうん 」

 美花の肩をバンバンと叩くと、紙袋を手に持って先にキッチンへと向かう。


 「痛っ、何するのよ!」

 「お茶出す用意するから、美花も手伝えよー 」

 「兄さん! 壱葉兄さんったら! 」


 美花が呼ぶけれど、聞こえないふりをする。
 さっさとキッチンの奥に入ってしまおう、そうすれば意識しないで済む。


 「こら、壱葉! 無視しないでよ!! 」

 けれどもう少しだったのに、美花に呼び捨てにされた壱葉はカチンときて反射的に振り向いてしまった。



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