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6話 不思議な脅威
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空太達はメアの住処を拠点とし、洞窟攻略を開始した。
目的は空太の修行とメアの能力向上、そしてこの洞窟の最奥に眠るお宝を手に入れるためだ。
この洞窟は太古から存在するらしく、かつては鬼の一族が支配していたとか。
洞窟の先へ先へと進むほど、魔物達は強くなっていく。
メア1人では攻略出来なかったのも頷ける強さだ。
辿り着いたのはメアが攻略を断念した場所。
かなり開けた空間に、1匹の巨大な竜が眠っていた。
その大きさ10メートル程度。
「こいつの背後に下へ降りられる階段があるのじゃ。じゃが、こいつは難敵じゃぞ?」
「確かにやばそうだな……」
丁寧にも階層が表記されているこの洞窟はメア曰く全100階層ある。
ここは79階層。
メアが8割攻略したというのはこれを見たのだろう。
更には59階層、69階層、79階層と10階層毎に階層主である大型魔物が存在している。
どいつも厄介で、倒しても1週間経てば蘇るらしい。
79階層の主はメアですら敵わない強敵。
大翼による暴風と鋭い牙と爪、そして最も厄介な火炎ブレス。
これが電気ブレスであれば雷切で攻略出来たのだが、なんてことを考えても意味は無い。
今はひたすら目の前の敵を倒す事だけを考えるのだ。
空太がその大部屋へ1歩踏み込んだ瞬間、凄まじい圧が襲う。
全身の毛が逆立つような戦慄。
発生源は未だ眠る竜だろう。
「メア……」
「分かっておる。刀を抜け、余も準備する」
空太は言われるがまま鞘から雷切を抜刀する。
メアはその場にゆっくりとしゃがみ、両手を地面に触れさせた。
一瞬で仕留める……ッ!
空太は地面が抉れる勢いで蹴り飛ばす。
大部屋の直径はおよそ100メートル。
竜は入口から50メートル離れた中心で丸まって眠っている。
空太は地面スレスレを滑空する様に竜に接近、たった1歩で竜の眼前に迫る。
次の1歩で飛び上がる。
5メートルもの跳躍。
そのまま身体を回転させながらの斬撃を放つ。
重力と遠心力を乗せた渾身の一撃。
雷鬼から教えられた大技の1つである。
竜は未だ眠っているのか、ピクリとも動かない。
「うぉぉぉ……ッ!」
「待て空太ッ!こやつは……ッ!」
「え……?」
突然の静止だが、今更止められない。
空太の刀が竜の首を捉える。
そして、いとも簡単にその首を跳ねた。
手応えが無い。
いくら雷切と言えど、そこまでの斬れ味は無いはずだ。
一体なぜ……?
着地した空太は体勢を立て直しながら竜を見た。
そこには……
「何だよこいつ……ッ!」
「チッ!」
切断された断面から、黒いスライム状の液体が垂れていた。
血液ではない。
メアも異常な光景に唖然としていた。
だが動き出すまで時間がかからなかったのは経験の差だろう。
地面に触れていたメアの両腕に赤く発光するラインが浮かび上がる。
地面が突出し、竜を囲う様に壁を成す。
空太はそれを呆然と見つめていた。
「何をしておるのじゃッ!早くどけッ!」
「ご、ごめんッ!」
自分でも何をしているのか理解出来ていなかった。
空太は急いでそこを飛び退く。
同時に四方八方から無数の針が伸び、竜を囲う壁を一気に貫いた。
更にメアは追撃する。
天井が砕け、竜を押し潰す。
圧倒的な能力。
そしてポテンシャル。
敵に回さなかったのは正解である。
空太はメアの隣まで退避し、事の成り行きを見守った。
メアは地面に手を当てたまま、肩で息をしていた。
「はぁ……はぁ……ッ!」
「メア……?」
「警戒せいッ!まだ……終わっておらぬぞッ!」
そんな馬鹿なことが……!
口に出す前に、事態は動いた。
崩れた瓦礫が爆発したのだ。
メアの能力により、空太とメアを土壁が覆う。
土壁が崩れ視界が開けると、そこには竜の姿は無く、瓦礫を吸収して巨大化する黒いスライムがそこにはいた。
竜の死骸も吸収したのだろう、そのサイズは竜に迫るほどだ。
スライムは決して侮れない魔物である。
恐らくヌエよりもタチの悪い能力を有している。
斬撃打撃無効と消化吸収。
前者はそのまま斬撃と打撃ではダメージを与えられない事。
これは全てのスライムが所有している能力である。
後者は体内に取り込んだ物を何であろうと消化、己の能力として吸収する能力だ。
これも全てのスライムが所有しているが、大型な程厄介である。
消化吸収が吸収するのは大きさだけではない。
吸収対象の特殊な能力すらも吸収してしまうのだ。
例えば竜の火炎ブレスとか。
突如としてスライムの一部が竜の頭部を形取る。
嫌な予感と同時に、竜の頭部が大きく開く。
そして予想通り火炎ブレスが放たれた。
空太にこれを防ぐ術は無い。
しかしメアなら、メアの能力なら可能なはずだ。
だが、メアが能力を発動させる予兆が無い。
「メアッ!」
「はぁ……はぁ……分かって……おる……ッ!」
未だ肩で息をするメアの両腕が再び赤く発光する。
そしてまた土壁が展開され、火炎ブレスを完全に防御した。
だが、メアはその場に仰向けに倒れてしまった。
焦点が朦朧としており、汗が止まっていない。
そうか、操作能力は体力を消費して発動するんだった……
あれほど大規模な能力、燃費が悪くて当然だ。
メアはもう戦えない。
ならば空太1人でこのスライムを相手にしなければならない。
能力を持たない無能1人で。
それでもやらなければどの道死ぬ。
何も出来ずに死ぬくらいならせめて足掻いて足掻いて、それから死んでやる。
空太は刀を握り直し、姿勢を低く構えた。
勝機があるとすれば、スライムには明確な弱点があること。
全てのスライムの中心には核と呼ばれる魔力の結晶体が存在する。
その核がスライムを生み出し、操作している脳のようなものだ。
それを破壊すればスライムは絶命する。
通常のスライムは半透明で核の位置が確認出来るのだが、このスライムは黒色。
核の位置を特定出来ない。
ならば手数で。
核ごと全てを粉々にしてやる。
「行くぞ怪物……ッ!」
空太の踏み込みと同時に、スライムも腕を何本も伸ばす。
それを斬り払いながら応戦する。
スライムは核から切り離されれば、離された部分の操作権を失う。
要するに、斬れば斬るほど小さくなるという事だ。
斬り続ければ小さくなり、いずれ核も斬れるだろう。
どの道この方法しか生存出来る術は無い。
雷鬼の修行のおかげで身体は動く。
後は当たりを引くまで斬り続けられれば……!
何度も何度も何度も何度も刀を振るう。
刀はスライムを分断し、バラバラにしていく。
それでもまだ2割程度。
突如スライムが猛攻止めた。
空太は激しく息をしながら雷切の刀身を確認する。
スライムの消化能力でじわじわと溶かされているのか、刃はボロボロの状態だ。
手短に済ませたい所ではあるが、切り離せない箇所を斬っても意味が無い。
それに、体力の消費も思っていたより激しい。
万事休す。
猛攻を辞めたスライムはまるで学習していたのか、直接攻撃は無意味と判断し、スライムの一部を再び竜の頭に形取る。
火炎ブレスをもう一度防ぐ手立ては無い。
竜頭が大きく開かれ、中で炎が渦巻き始める。
空太は死を覚悟しながらも、もう一度刀を構えた。
もしここで力尽きても、相討ちになれるのならばメアを救える。
蓄電は充分とは言えないが、スライムを蒸発させるくらいの雷は残っているはずだ。
雷切の全力放電は空太すらも道連れにする共倒れの一撃。
だが、今はそれしか……
その時、空太の頭を割れるような痛みが貫いた。
上層でヌエを倒した時と同じ、いや、遥かに増した痛みだ。
視界が弾け、気を失いそうになる様な痛みだが、今それに屈する訳にはいかない。
恐らくこれは割に合わない力を行使した代償。
だがその代償を受けるのは後だ。
決して今ではない。
俺はここを凌ぎきらないといけないんだ……!
「うぉぉぉぉッ!」
空太は吠えた。
そして、空太の額から血が吹き出た。
腕の力は抜け、身体は少し剃るような形取り、崩れた天井をぼーっと見つめる。
戦える様な雰囲気は一切出ていなかった。
隙だらけ。
スライムはその隙を逃さず、火炎ブレスを解き放つ。
必殺の一撃だった。
少し前の空太、ならば。
火炎ブレスの余波が去り、静まり返ったその場に、立っていられるのはスライムだけのはずだった。
「……」
だがそこには全く無傷で棒立ちする空太の姿があった。
先程までジワジワと与えてきた傷も完治し、無気力に焦点の合っていない瞳と小さく開いた口で上を見つめる空太の姿だ。
右手には雷切がきつく握られていた。
そして次の瞬間、とんでもない暴風がスライムを吹き飛ばした。
あまりの暴風にスライムも形を留めておく事が出来ず、身体の一部が千切れ飛んでいく。
何が起きたのか。
本来単純な思考回路しか持たないスライムが自ら導き出した答えは、目の前の敵には火炎ブレスが効果が無いという事。
そして、その原因が暴風を引き落とすほど素早く振るわれた刀である事を。
この敵には敵わない。
スライムがそう判断するまでに時間はかからなかった。
そうなればスライムは逃亡を開始する。
だが、それを許す様な空太ではない。
天井の大穴から逃げようとする予備動作を取った瞬間、空太はスライムの真上で刀を構えていた。
一瞬で振るわれた刀。
その剣風はスライムを全て吹き飛ばし、弱点である核を剥き出しにした。
そして次の瞬間には核は真っ二つに切断され、スライムは絶命した。
最後にスライムが確認したのは、圧倒的な力と、その源であろう敵の額から伸びる1本の白く輝く長い『角』であった。
目的は空太の修行とメアの能力向上、そしてこの洞窟の最奥に眠るお宝を手に入れるためだ。
この洞窟は太古から存在するらしく、かつては鬼の一族が支配していたとか。
洞窟の先へ先へと進むほど、魔物達は強くなっていく。
メア1人では攻略出来なかったのも頷ける強さだ。
辿り着いたのはメアが攻略を断念した場所。
かなり開けた空間に、1匹の巨大な竜が眠っていた。
その大きさ10メートル程度。
「こいつの背後に下へ降りられる階段があるのじゃ。じゃが、こいつは難敵じゃぞ?」
「確かにやばそうだな……」
丁寧にも階層が表記されているこの洞窟はメア曰く全100階層ある。
ここは79階層。
メアが8割攻略したというのはこれを見たのだろう。
更には59階層、69階層、79階層と10階層毎に階層主である大型魔物が存在している。
どいつも厄介で、倒しても1週間経てば蘇るらしい。
79階層の主はメアですら敵わない強敵。
大翼による暴風と鋭い牙と爪、そして最も厄介な火炎ブレス。
これが電気ブレスであれば雷切で攻略出来たのだが、なんてことを考えても意味は無い。
今はひたすら目の前の敵を倒す事だけを考えるのだ。
空太がその大部屋へ1歩踏み込んだ瞬間、凄まじい圧が襲う。
全身の毛が逆立つような戦慄。
発生源は未だ眠る竜だろう。
「メア……」
「分かっておる。刀を抜け、余も準備する」
空太は言われるがまま鞘から雷切を抜刀する。
メアはその場にゆっくりとしゃがみ、両手を地面に触れさせた。
一瞬で仕留める……ッ!
空太は地面が抉れる勢いで蹴り飛ばす。
大部屋の直径はおよそ100メートル。
竜は入口から50メートル離れた中心で丸まって眠っている。
空太は地面スレスレを滑空する様に竜に接近、たった1歩で竜の眼前に迫る。
次の1歩で飛び上がる。
5メートルもの跳躍。
そのまま身体を回転させながらの斬撃を放つ。
重力と遠心力を乗せた渾身の一撃。
雷鬼から教えられた大技の1つである。
竜は未だ眠っているのか、ピクリとも動かない。
「うぉぉぉ……ッ!」
「待て空太ッ!こやつは……ッ!」
「え……?」
突然の静止だが、今更止められない。
空太の刀が竜の首を捉える。
そして、いとも簡単にその首を跳ねた。
手応えが無い。
いくら雷切と言えど、そこまでの斬れ味は無いはずだ。
一体なぜ……?
着地した空太は体勢を立て直しながら竜を見た。
そこには……
「何だよこいつ……ッ!」
「チッ!」
切断された断面から、黒いスライム状の液体が垂れていた。
血液ではない。
メアも異常な光景に唖然としていた。
だが動き出すまで時間がかからなかったのは経験の差だろう。
地面に触れていたメアの両腕に赤く発光するラインが浮かび上がる。
地面が突出し、竜を囲う様に壁を成す。
空太はそれを呆然と見つめていた。
「何をしておるのじゃッ!早くどけッ!」
「ご、ごめんッ!」
自分でも何をしているのか理解出来ていなかった。
空太は急いでそこを飛び退く。
同時に四方八方から無数の針が伸び、竜を囲う壁を一気に貫いた。
更にメアは追撃する。
天井が砕け、竜を押し潰す。
圧倒的な能力。
そしてポテンシャル。
敵に回さなかったのは正解である。
空太はメアの隣まで退避し、事の成り行きを見守った。
メアは地面に手を当てたまま、肩で息をしていた。
「はぁ……はぁ……ッ!」
「メア……?」
「警戒せいッ!まだ……終わっておらぬぞッ!」
そんな馬鹿なことが……!
口に出す前に、事態は動いた。
崩れた瓦礫が爆発したのだ。
メアの能力により、空太とメアを土壁が覆う。
土壁が崩れ視界が開けると、そこには竜の姿は無く、瓦礫を吸収して巨大化する黒いスライムがそこにはいた。
竜の死骸も吸収したのだろう、そのサイズは竜に迫るほどだ。
スライムは決して侮れない魔物である。
恐らくヌエよりもタチの悪い能力を有している。
斬撃打撃無効と消化吸収。
前者はそのまま斬撃と打撃ではダメージを与えられない事。
これは全てのスライムが所有している能力である。
後者は体内に取り込んだ物を何であろうと消化、己の能力として吸収する能力だ。
これも全てのスライムが所有しているが、大型な程厄介である。
消化吸収が吸収するのは大きさだけではない。
吸収対象の特殊な能力すらも吸収してしまうのだ。
例えば竜の火炎ブレスとか。
突如としてスライムの一部が竜の頭部を形取る。
嫌な予感と同時に、竜の頭部が大きく開く。
そして予想通り火炎ブレスが放たれた。
空太にこれを防ぐ術は無い。
しかしメアなら、メアの能力なら可能なはずだ。
だが、メアが能力を発動させる予兆が無い。
「メアッ!」
「はぁ……はぁ……分かって……おる……ッ!」
未だ肩で息をするメアの両腕が再び赤く発光する。
そしてまた土壁が展開され、火炎ブレスを完全に防御した。
だが、メアはその場に仰向けに倒れてしまった。
焦点が朦朧としており、汗が止まっていない。
そうか、操作能力は体力を消費して発動するんだった……
あれほど大規模な能力、燃費が悪くて当然だ。
メアはもう戦えない。
ならば空太1人でこのスライムを相手にしなければならない。
能力を持たない無能1人で。
それでもやらなければどの道死ぬ。
何も出来ずに死ぬくらいならせめて足掻いて足掻いて、それから死んでやる。
空太は刀を握り直し、姿勢を低く構えた。
勝機があるとすれば、スライムには明確な弱点があること。
全てのスライムの中心には核と呼ばれる魔力の結晶体が存在する。
その核がスライムを生み出し、操作している脳のようなものだ。
それを破壊すればスライムは絶命する。
通常のスライムは半透明で核の位置が確認出来るのだが、このスライムは黒色。
核の位置を特定出来ない。
ならば手数で。
核ごと全てを粉々にしてやる。
「行くぞ怪物……ッ!」
空太の踏み込みと同時に、スライムも腕を何本も伸ばす。
それを斬り払いながら応戦する。
スライムは核から切り離されれば、離された部分の操作権を失う。
要するに、斬れば斬るほど小さくなるという事だ。
斬り続ければ小さくなり、いずれ核も斬れるだろう。
どの道この方法しか生存出来る術は無い。
雷鬼の修行のおかげで身体は動く。
後は当たりを引くまで斬り続けられれば……!
何度も何度も何度も何度も刀を振るう。
刀はスライムを分断し、バラバラにしていく。
それでもまだ2割程度。
突如スライムが猛攻止めた。
空太は激しく息をしながら雷切の刀身を確認する。
スライムの消化能力でじわじわと溶かされているのか、刃はボロボロの状態だ。
手短に済ませたい所ではあるが、切り離せない箇所を斬っても意味が無い。
それに、体力の消費も思っていたより激しい。
万事休す。
猛攻を辞めたスライムはまるで学習していたのか、直接攻撃は無意味と判断し、スライムの一部を再び竜の頭に形取る。
火炎ブレスをもう一度防ぐ手立ては無い。
竜頭が大きく開かれ、中で炎が渦巻き始める。
空太は死を覚悟しながらも、もう一度刀を構えた。
もしここで力尽きても、相討ちになれるのならばメアを救える。
蓄電は充分とは言えないが、スライムを蒸発させるくらいの雷は残っているはずだ。
雷切の全力放電は空太すらも道連れにする共倒れの一撃。
だが、今はそれしか……
その時、空太の頭を割れるような痛みが貫いた。
上層でヌエを倒した時と同じ、いや、遥かに増した痛みだ。
視界が弾け、気を失いそうになる様な痛みだが、今それに屈する訳にはいかない。
恐らくこれは割に合わない力を行使した代償。
だがその代償を受けるのは後だ。
決して今ではない。
俺はここを凌ぎきらないといけないんだ……!
「うぉぉぉぉッ!」
空太は吠えた。
そして、空太の額から血が吹き出た。
腕の力は抜け、身体は少し剃るような形取り、崩れた天井をぼーっと見つめる。
戦える様な雰囲気は一切出ていなかった。
隙だらけ。
スライムはその隙を逃さず、火炎ブレスを解き放つ。
必殺の一撃だった。
少し前の空太、ならば。
火炎ブレスの余波が去り、静まり返ったその場に、立っていられるのはスライムだけのはずだった。
「……」
だがそこには全く無傷で棒立ちする空太の姿があった。
先程までジワジワと与えてきた傷も完治し、無気力に焦点の合っていない瞳と小さく開いた口で上を見つめる空太の姿だ。
右手には雷切がきつく握られていた。
そして次の瞬間、とんでもない暴風がスライムを吹き飛ばした。
あまりの暴風にスライムも形を留めておく事が出来ず、身体の一部が千切れ飛んでいく。
何が起きたのか。
本来単純な思考回路しか持たないスライムが自ら導き出した答えは、目の前の敵には火炎ブレスが効果が無いという事。
そして、その原因が暴風を引き落とすほど素早く振るわれた刀である事を。
この敵には敵わない。
スライムがそう判断するまでに時間はかからなかった。
そうなればスライムは逃亡を開始する。
だが、それを許す様な空太ではない。
天井の大穴から逃げようとする予備動作を取った瞬間、空太はスライムの真上で刀を構えていた。
一瞬で振るわれた刀。
その剣風はスライムを全て吹き飛ばし、弱点である核を剥き出しにした。
そして次の瞬間には核は真っ二つに切断され、スライムは絶命した。
最後にスライムが確認したのは、圧倒的な力と、その源であろう敵の額から伸びる1本の白く輝く長い『角』であった。
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