21 / 50
王都編
反撃を始めます
しおりを挟む
朝やけが青みがかったところで、野原を自由に散策していたブライトを捕まえて早駆けした。
なんとか朝食には間に合ったが、アニーたち侍女とスコット医師にはかなり心配をかけてしまった。
「・・・ご無事でようございました」
アニーに涙ぐまれて、反省した。
ちなみに、ローレンスは二日酔いで目覚めたもののナタリアの不在に気づかないまま、いつものように浴室で身を清め、さっそうと東の館へ戻っていったらしい。
本当に、ばかばかしいな。
アニーは言い辛そうに報告したが、心は凪いでいた。
朝食を終えて執務室で食料や備品の発注書の確認をしていると、来客の知らせがきたので玄関の車寄せまで降りる。
「お久しぶりです、ナタリア様」
赤みがかった短い金髪の上品なスーツ姿の青年が洗練された動きでゆっくり礼をした。
出迎えた侍女たちはあらわになった端正な顔にくぎ付けで、魂を抜かれそうだ。
執事のセロンですら一瞬見とれてしまったくらい、リロイの美貌は身なりを変えても破壊力がある。
「リロイ・・・。よかった、元気そうで」
ダドリー領を出てもうすぐ二か月近くになる。
道中、旅人に偽装しつかず離れず後を追ってくれた。
ウェズリー侯爵家として同行したトリフォードたちがずっと親切だったため助けを求める場面はなかったが、リロイがどこかにいると思えるのはとても心強かった。
ナタリアがウェズリーの本邸に入ってからは、義姉の実家であるレドルブ伯爵家で従僕として学んでいるとは聞いていたが、ずっと気になっていたので、こうして無事な姿を直接見られてうれしい。
「これらは依頼された品ですが、どうしましょうか」
リロイが背後を振り返ると、馬車からトランクと木箱が続々とおろされている。
「ああ・・・。それね」
にんまりとナタリアは笑った。
「さすがは王太子妃さま。仕事が早いわ。まさかお願いした翌日にきっちりそろえてくださるなんて」
「あんな面白い依頼状、王太子妃さまは爆笑でしたよ」
リロイの背後からひょっこり小柄な女性が姿を現した。
「パール様、お久しゅうございます。お元気そうで何よりです」
メアリー・パール子爵夫人。
上品に結い上げた黒髪と丸眼鏡が印象的なその人は、王太子夫妻の宮殿図書館で最も優秀な司書として名を馳せている。
「ふふふ、ナタリア様。わたくしが代表して伺うことになりましたが、権利を得るのに王太子妃様とチェスで本気の勝負をしてまいりましたの。いやあ、まさかわたくしが王太子妃様を打ち負かせる日がこようとは…。まさに、神の思し召しですね」
リスのように真っ黒で大きな瞳をきらきらと輝かせ、至極満足そうだ。
「お持ちしました荷の取り扱い説明の一切、どうぞわたくしにお任せくださいな」
そしてナタリアの両手をとって握りしめ、うっとりとつぶやいた。
「おお、神よ、感謝します…」
すっかり自分の世界に入ってしまったパール夫人の背後で、リロイはどこかいたたまれない顔をしている。
・・・ということは、すべてを知っているということか。
この騒動に巻き込まれた彼を気の毒に思うが、この件だけは外せない。
通過儀礼と思って耐えてもらいたい。
「頼りにしています、パール様」
パール夫人の背中に手を回し、ホールへ案内する。
さあ、反撃の準備を始めよう。
「まさか、王太子妃様の司書様がいらっしゃるとは思いませんでした」
アニーは夢見がちな様子で銀の盆を抱きしめた。
リロイは荷下ろしに立ち会ったら帰ったが、パール夫人は西の館に数日間滞在の予定だ。
名目上は、ナタリアおよび使用人たちの図書の整備。
商人から取り寄せた本を大量に運んでくれている。
なんといっても今回は王太子妃経由での配本。
選りすぐりである。
その中にはアニーの好きな作家の新刊があったのでとても喜んでいた。
ほかの使用人たちも興味津々で、屋敷内は一気に明るい空気に満ちていく。
そんな彼らの姿に顔をほころばせながら、ナタリアは頭の片隅で数刻前のことを思い出していた。
『どうしても、やらねばならないのですか、こんなこと』
ナタリアの図書室の書架の陰でリロイは真剣な声で問うた。
承服しがたいことだろうと思う。
彼は、五年近くの年月を家族のように暮らしてきたのだ。
しかし。
「いまさらよ」
そう答えると、くしゃっと眉をゆがめた。
「そんな顔しないで、リロイ」
思わず、手を伸ばして頭を撫でた。
「せっかくの綺麗な髪が、染めたせいで荒れちゃったわね」
いつもと手触りが違うことのほうが悲しい。
「ナタリア様・・・」
覆いかぶさるように抱きしめられた。
「リロイ」
ぽん、ぽん、と背中を掌で軽くたたく。
この子は、時々、ルパートの真似をしてこうして抱きついてきた。
最初は自分とあまり身長が変わらなかったのに、今はこんなにも違う。
肩も、背も、腕も、すっかり大人になったのだなと感慨深く思う。
頼もしい、大人になった。
「ありがとう、リロイ。あなたのおかげで正気に戻れた気がする」
「・・・なら」
顔をあげ、ぱあと、明るい表情を浮かべたリロイに、言葉を続ける。
「ああ、ごめんなさい。計画は中止しないわ。そういうことじゃないの」
すぐにまた、しゅんと眉を寄せる彼が、ちょっと犬みたいでかわいいなと笑いがこみあげてきた。
「わたし、明け方までどん底だったの。ちょっと死んでもいいかもって思ってた」
「ナタリア様」
破格の報酬をもらった契約結婚だとはいえ、ローレンスのぞんざいな扱いにモノになった気分だった。
だけど、どうだろう。
今朝はトリフォードが。
今は、リロイが。
心から抱きしめてくれた。
そして、アニーをはじめ多くの使用人たちが心配してくれている。
これほど運にめぐまれた女はいるだろうか。
「馬鹿だった。私はすっかりいじけてしまっていたのね」
今度は、ナタリアが腕を伸ばしリロイを抱きしめた。
「大丈夫。これはね、私の卒業試験」
身体に、リロイの心臓の音が響く。
「きっちりカタをつけるから。安心して」
腹の底から、しっかりと声を出して誓う。
「私は、負けない」
すると、はあーっとため息が落ちてきた。
「・・・ナタリア様らしいというか・・・なんというか・・・」
「ちょっ・・・」
すっかり脱力して寄りかかってきた身体をあわてて抱きとめる。
筋肉が、重い。
「俺は、負けました。完敗です。だから、あいつをこてんぱんにしてくださいね」
「うん。任せといて」
ふふ、とナタリアは笑う。
「私、強いから」
はーっと、もう一度ため息が落ちた。
「ハイ、ソウデスネ・・・」
なぜ、そこで棒読み。
リロイがナタリア・ルツ・ダドリー伯爵令嬢の存在を知ったのは、王宮で行われたデビュタントの時だった。
その日にデビューする令嬢たちが紹介と国王夫妻への謁見のために会場前方に並ばされた時、ひときわ目立つ少女がいた。
磨かれたマホガニー材のような深くて濃い艶やかな髪、そしてきらきらと明るく輝く琥珀色の眼、そしてつやつやと綺麗に焼けた小麦色の頬。
そしてなにより顔以外をきっちりと隠した濃い青のシンプルなドレス。
すらりとした身体がより強調され、誰よりもきれいだった。
普通、デビュタントを迎える少女たちは淡いふんわりとしたシルエットで下品にならないぎりぎりまで肌を露出する。
それが、夜会の女性の衣装の基本であり、大人の仲間入りをしたしるしでもあるからだ。
その常識と流行を覆した衣装に眉を顰める者もいたが、清々しさがとてもいいなと、リロイは一緒に出席していた家族たちと眺めながら感じた。
まるで、首の長い鳥が優雅に舞い降りたようだ。
ついつい、目で追ってしまう。
そして、さらに印象深い出来事が起きた。
さてダンスが始まろうかという時になって、いきなり雷が宮殿に落ちた。
正確には近くの離宮だったため、会場は問題なかったのだが、広い空間衝撃音がもろに鳴り響き、出席者たちは動揺して右往左往。
とてもデビュタントどころではなくなった。
失神する令嬢もいる中、彼女はまず手にしていたワインを飲み干し、落ち着き払って料理のテーブルへ進んだのだ。
まったく手付かずの豪華な料理の前でしばらく腕組みをして考え込んだ後、皿を手に取り、おもむろに盛り付け始めた。
信じられない。
彼女はどんなに雷光がきらめき轟音が鳴り響いても意に介さず、隅のテーブルセットに料理を並べてちょこんと椅子に座り、もくもくと食べ始めたのだ。
しかもそこへ彼女のエスコート役をしていた兄のトーマス・ダドリーがひょっこりやってきて同じように皿に料理を盛って座り、更には正装した第四団騎士団長ダン・ベインズも椅子を運んできて食べだした。
どう見ても、普通の、家族の晩餐である。
なんなんだ、この人たち。
異様な光景だ。
でも、三人の肝の座りっぷりがすごく素敵に見えた。
そして、彼らの仲間になれたらどんなに楽しいだろう。
いつか、ダドリー領へ行ってみたい。
小さな願いと希望を心の奥に刻み付ける。
あの、青いドレスの少女に恋をした。
ナタリア・ルツ・ダドリーに。
なんとか朝食には間に合ったが、アニーたち侍女とスコット医師にはかなり心配をかけてしまった。
「・・・ご無事でようございました」
アニーに涙ぐまれて、反省した。
ちなみに、ローレンスは二日酔いで目覚めたもののナタリアの不在に気づかないまま、いつものように浴室で身を清め、さっそうと東の館へ戻っていったらしい。
本当に、ばかばかしいな。
アニーは言い辛そうに報告したが、心は凪いでいた。
朝食を終えて執務室で食料や備品の発注書の確認をしていると、来客の知らせがきたので玄関の車寄せまで降りる。
「お久しぶりです、ナタリア様」
赤みがかった短い金髪の上品なスーツ姿の青年が洗練された動きでゆっくり礼をした。
出迎えた侍女たちはあらわになった端正な顔にくぎ付けで、魂を抜かれそうだ。
執事のセロンですら一瞬見とれてしまったくらい、リロイの美貌は身なりを変えても破壊力がある。
「リロイ・・・。よかった、元気そうで」
ダドリー領を出てもうすぐ二か月近くになる。
道中、旅人に偽装しつかず離れず後を追ってくれた。
ウェズリー侯爵家として同行したトリフォードたちがずっと親切だったため助けを求める場面はなかったが、リロイがどこかにいると思えるのはとても心強かった。
ナタリアがウェズリーの本邸に入ってからは、義姉の実家であるレドルブ伯爵家で従僕として学んでいるとは聞いていたが、ずっと気になっていたので、こうして無事な姿を直接見られてうれしい。
「これらは依頼された品ですが、どうしましょうか」
リロイが背後を振り返ると、馬車からトランクと木箱が続々とおろされている。
「ああ・・・。それね」
にんまりとナタリアは笑った。
「さすがは王太子妃さま。仕事が早いわ。まさかお願いした翌日にきっちりそろえてくださるなんて」
「あんな面白い依頼状、王太子妃さまは爆笑でしたよ」
リロイの背後からひょっこり小柄な女性が姿を現した。
「パール様、お久しゅうございます。お元気そうで何よりです」
メアリー・パール子爵夫人。
上品に結い上げた黒髪と丸眼鏡が印象的なその人は、王太子夫妻の宮殿図書館で最も優秀な司書として名を馳せている。
「ふふふ、ナタリア様。わたくしが代表して伺うことになりましたが、権利を得るのに王太子妃様とチェスで本気の勝負をしてまいりましたの。いやあ、まさかわたくしが王太子妃様を打ち負かせる日がこようとは…。まさに、神の思し召しですね」
リスのように真っ黒で大きな瞳をきらきらと輝かせ、至極満足そうだ。
「お持ちしました荷の取り扱い説明の一切、どうぞわたくしにお任せくださいな」
そしてナタリアの両手をとって握りしめ、うっとりとつぶやいた。
「おお、神よ、感謝します…」
すっかり自分の世界に入ってしまったパール夫人の背後で、リロイはどこかいたたまれない顔をしている。
・・・ということは、すべてを知っているということか。
この騒動に巻き込まれた彼を気の毒に思うが、この件だけは外せない。
通過儀礼と思って耐えてもらいたい。
「頼りにしています、パール様」
パール夫人の背中に手を回し、ホールへ案内する。
さあ、反撃の準備を始めよう。
「まさか、王太子妃様の司書様がいらっしゃるとは思いませんでした」
アニーは夢見がちな様子で銀の盆を抱きしめた。
リロイは荷下ろしに立ち会ったら帰ったが、パール夫人は西の館に数日間滞在の予定だ。
名目上は、ナタリアおよび使用人たちの図書の整備。
商人から取り寄せた本を大量に運んでくれている。
なんといっても今回は王太子妃経由での配本。
選りすぐりである。
その中にはアニーの好きな作家の新刊があったのでとても喜んでいた。
ほかの使用人たちも興味津々で、屋敷内は一気に明るい空気に満ちていく。
そんな彼らの姿に顔をほころばせながら、ナタリアは頭の片隅で数刻前のことを思い出していた。
『どうしても、やらねばならないのですか、こんなこと』
ナタリアの図書室の書架の陰でリロイは真剣な声で問うた。
承服しがたいことだろうと思う。
彼は、五年近くの年月を家族のように暮らしてきたのだ。
しかし。
「いまさらよ」
そう答えると、くしゃっと眉をゆがめた。
「そんな顔しないで、リロイ」
思わず、手を伸ばして頭を撫でた。
「せっかくの綺麗な髪が、染めたせいで荒れちゃったわね」
いつもと手触りが違うことのほうが悲しい。
「ナタリア様・・・」
覆いかぶさるように抱きしめられた。
「リロイ」
ぽん、ぽん、と背中を掌で軽くたたく。
この子は、時々、ルパートの真似をしてこうして抱きついてきた。
最初は自分とあまり身長が変わらなかったのに、今はこんなにも違う。
肩も、背も、腕も、すっかり大人になったのだなと感慨深く思う。
頼もしい、大人になった。
「ありがとう、リロイ。あなたのおかげで正気に戻れた気がする」
「・・・なら」
顔をあげ、ぱあと、明るい表情を浮かべたリロイに、言葉を続ける。
「ああ、ごめんなさい。計画は中止しないわ。そういうことじゃないの」
すぐにまた、しゅんと眉を寄せる彼が、ちょっと犬みたいでかわいいなと笑いがこみあげてきた。
「わたし、明け方までどん底だったの。ちょっと死んでもいいかもって思ってた」
「ナタリア様」
破格の報酬をもらった契約結婚だとはいえ、ローレンスのぞんざいな扱いにモノになった気分だった。
だけど、どうだろう。
今朝はトリフォードが。
今は、リロイが。
心から抱きしめてくれた。
そして、アニーをはじめ多くの使用人たちが心配してくれている。
これほど運にめぐまれた女はいるだろうか。
「馬鹿だった。私はすっかりいじけてしまっていたのね」
今度は、ナタリアが腕を伸ばしリロイを抱きしめた。
「大丈夫。これはね、私の卒業試験」
身体に、リロイの心臓の音が響く。
「きっちりカタをつけるから。安心して」
腹の底から、しっかりと声を出して誓う。
「私は、負けない」
すると、はあーっとため息が落ちてきた。
「・・・ナタリア様らしいというか・・・なんというか・・・」
「ちょっ・・・」
すっかり脱力して寄りかかってきた身体をあわてて抱きとめる。
筋肉が、重い。
「俺は、負けました。完敗です。だから、あいつをこてんぱんにしてくださいね」
「うん。任せといて」
ふふ、とナタリアは笑う。
「私、強いから」
はーっと、もう一度ため息が落ちた。
「ハイ、ソウデスネ・・・」
なぜ、そこで棒読み。
リロイがナタリア・ルツ・ダドリー伯爵令嬢の存在を知ったのは、王宮で行われたデビュタントの時だった。
その日にデビューする令嬢たちが紹介と国王夫妻への謁見のために会場前方に並ばされた時、ひときわ目立つ少女がいた。
磨かれたマホガニー材のような深くて濃い艶やかな髪、そしてきらきらと明るく輝く琥珀色の眼、そしてつやつやと綺麗に焼けた小麦色の頬。
そしてなにより顔以外をきっちりと隠した濃い青のシンプルなドレス。
すらりとした身体がより強調され、誰よりもきれいだった。
普通、デビュタントを迎える少女たちは淡いふんわりとしたシルエットで下品にならないぎりぎりまで肌を露出する。
それが、夜会の女性の衣装の基本であり、大人の仲間入りをしたしるしでもあるからだ。
その常識と流行を覆した衣装に眉を顰める者もいたが、清々しさがとてもいいなと、リロイは一緒に出席していた家族たちと眺めながら感じた。
まるで、首の長い鳥が優雅に舞い降りたようだ。
ついつい、目で追ってしまう。
そして、さらに印象深い出来事が起きた。
さてダンスが始まろうかという時になって、いきなり雷が宮殿に落ちた。
正確には近くの離宮だったため、会場は問題なかったのだが、広い空間衝撃音がもろに鳴り響き、出席者たちは動揺して右往左往。
とてもデビュタントどころではなくなった。
失神する令嬢もいる中、彼女はまず手にしていたワインを飲み干し、落ち着き払って料理のテーブルへ進んだのだ。
まったく手付かずの豪華な料理の前でしばらく腕組みをして考え込んだ後、皿を手に取り、おもむろに盛り付け始めた。
信じられない。
彼女はどんなに雷光がきらめき轟音が鳴り響いても意に介さず、隅のテーブルセットに料理を並べてちょこんと椅子に座り、もくもくと食べ始めたのだ。
しかもそこへ彼女のエスコート役をしていた兄のトーマス・ダドリーがひょっこりやってきて同じように皿に料理を盛って座り、更には正装した第四団騎士団長ダン・ベインズも椅子を運んできて食べだした。
どう見ても、普通の、家族の晩餐である。
なんなんだ、この人たち。
異様な光景だ。
でも、三人の肝の座りっぷりがすごく素敵に見えた。
そして、彼らの仲間になれたらどんなに楽しいだろう。
いつか、ダドリー領へ行ってみたい。
小さな願いと希望を心の奥に刻み付ける。
あの、青いドレスの少女に恋をした。
ナタリア・ルツ・ダドリーに。
10
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる