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43せぶりの森が見えてきました
しおりを挟むそうやって空の旅を楽しんだプリムローズたちはあっという間にせぶりの森付近に到着した。
「あっ、せぶりの森が見えてきましたよ。アルナンド森に降りるんでしょ?」
『そのつもりだったが…だめだ。森には降りれそうにないぞ。森は瘴気包まれている。俺達は平気だが人間には無理だろう。森の手前の丘の上に降りるか?』
「そんな…森が瘴気に包まれているなんて…」
プリムローズはカイトの言っていたことを思い出す。
(マグダが亡くなって宝珠の加護がなくなったからなの?そんな事ちっとも知らなかった。でも、マグダの記憶が戻ればきっと宝寿がどこにあるかわかる。森もきっと前みたいに生き生きとした豊かな森になるわ。しっかりしなきゃ)
「ええ、アルナンド。丘でいいわ。お願い」
『わかった』
アルナンドはゆっくり丘を目指して降りて行く。
***
「ありがとうアルナンド」
プリムローズは最初に登ったように脚を下にしてゆっくりアルナンドから降りた。
ブレディも隣にいてカイトが飛び降りて来た。
「アルナンド、ブレディどうもありがとう。ねぇ、どうやって人間に戻るの?」
プリムローズは尋ねる。
『ああ、すぐだ』
アルナンドがそう言うと竜の周りにつむじ風のような風が舞い上がった。そして風が収まったと思ったらもう人化した二人が立っていた。
「凄い。まるで手品みたい」
「手品?なんだそれ?」
ブレディが聞く。
「えっと。魔法みたいなものかな…」詳しい説明は難し過ぎてプリムローズはそう言った。
「魔法か。まっ、俺達には朝飯前だけどな」
ブレディが胸を張って答えた。
「こんなことだって出来るぞ」
ブレディは指先から噴水のように水を出す。
「ブレディすごいです」
プリムローズがはしゃいで拍手するとアルナンドがいきなりブレディにゲンコツをお見舞いした。
「ブレディいい加減にしろ!あまり調子に乗るな」
「ひどいな。あっ、アルナンドもしかして妬いてるのか?」
ブレディの頭にもう一度ゲンコツが落ちた。
「痛ぇ!」
「それよりどうする?俺が魔力を使いながら森に入るならすぐにでも森に入れるが」
「アルナンドが?どんな魔力が使えるんですか?」
「まあ、俺は一応すべての力が備わってるからな。風で瘴気を追い払いながら前に進む。でも長い時間は無理だ」
「長い時間ってどれくらい?」
「4人を囲うなら半日くらいかな」
「じゃあ、全然余裕って事じゃないですか。それなら今からでもいいって事ですね」
プリムローズはすっかりその気になっているとアルナンドがカイトに尋ねた。
「カイト。マグダの墓はどこにあるんだ?」
「森の真ん中あたりにある湖です」
「そこまでなら何とか言って帰れるか…」
「あっ、でも私のの記憶が戻って宝珠のありかがわかってそれから…」
プリムローズは考え込む。
「なんだ。墓参りするんじゃなかったのか?」
「えっと…それがマグダのお墓でプリムローズの記憶が戻るはずで、そこで宝珠の場所がわかったら宝珠を手に入れて…」
カイトが段取りを話す。
アルナンドの顔がはっ?となる。
「どういうことだ?マグダの所に行くのは宝珠がどこにあるかわからないからなのか?」
「そうなのよアルナンド。マグダは宝珠が狙われると知って私の記憶を消したらしいの。カイトはマグダから頼まれてて私が18歳になったらその事を知らせるように頼んでいたんだって」
プリムローズも驚いたわと言わんばかりに話す。
アルナンドが呆れたようにあんぐり顎を落とす。
「それじゃマグダが亡くなって7日間経ってから埋葬しなかったのか?」
「ええ、翌日葬式をしてすぐに埋葬しました」
「はっ?お前ら宝珠の事なんも知らないだろう!」
「だってマグダは俺に自分が亡くなったらプリムローズが18歳になって墓に連れて来てほしいと言われただけで…だからきっとお墓の前に連れて行けばプリムローズの記憶が戻るのかとばかり」
「プッ!死んだ人間がどうやって?あのな宝珠って言うのは長の身体に取り込まれてて、死んだら7日後に身体から自然と出て来るんだ。それを次の長になるものが身体に取り込んでそうやって代々伝わって行くんだ…プリムローズは知らなかったのか?」
「私は記憶を消されてて…マグダのお墓だってどこにあるかも知らなかったわ。アルナンドこそどうして知ってるの?」
「俺は竜帝になった時に宝珠の扱い方を教わった」
「それで…」
プリムローズはいつもは頼りないアルナンドを本当はとても偉い人なんだと認識した。
「ここまで来たんだ。いいから早く行こう」カイトが急かす。
「でも、マグダの身体にあったならお墓を掘り起こすんでしょ?や、やだ。お墓を…」
プリムローズはそう言ってぶるっと体を震わせた。
(だってお墓を掘るのよ。マグダはもう骨になってるわ。そこに宝珠があるって事?恐い…)
「ああ、そんな事か。心配するなプリムローズ。墓の事は俺達に任せろ」
さすがアルナンド。胸を叩いて自身満々に言った。
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