社畜から転生したらゆるゆるの婚活アドバイザーとして就職決まりましたが

はなまる

文字の大きさ
50 / 54

49なぜか言いなりになるんです

しおりを挟む

 プリムローズはライゼウスの言いなりになったまま一目散に彼の屋敷に連れて来られた。

 馬から降ろされ屋敷に入るように言われると身体は勝手に動き始めた。

 そしてリビングルームに連れて行かれる。

 「さあ、ここに座って…それでプリムローズ。気分はどうだ?」

 ソファーに座らされて改めてライゼウスに面と向かって見られそう聞かれる。

 彼はラルフスコット辺境伯の異母兄だと言うが、ラルフスコットとは似ていなくて大柄な体に黒い髪に鋭い琥珀色の瞳で眉の上に大きな傷まであって端正などとはいいがたい顔つきをしていて間近でみるとかなり恐い。

 いきなり馬に乗せられてそのまま何も言われず居心地の悪い気持ちのままここまで来たのだ。

 おまけに彼も緊張しているらしく目つきが恐い。

 どうして自分が彼に言われるまま馬に乗ったのかさえもわからない。


 「そ、それは…どういう?」

 喉の奥で言葉がつかえたような怯えた声が出た。

 (恐い。それに言葉の通り今の気持ちだ。まったくどういうことなのかわからないわ)

 プリムローズはとにかく混乱していた。

 「ここにいるのはいやじゃないかと聞いてるんだ?逃げ出したいとか思うか?」

 
 プリムローズの脳内が自分がどう思っているのか探る。

 さっきまでのモヤモヤした気分で吐き気をもよおしそうになっていたのに…出てきた言葉は。

 「はい、大丈夫です。ちっとも嫌な気分ではありません。寧ろここにいるのが当然だと思います」

 (あれ?どうして私そんな事言うんだろう?気分はちっとも良くないしどうして自分がこんな偉そうな男と一緒に来たのかさえもわからないのに…ライゼウスが何か言うたびに彼に従わなくてはと何かが自分を服従させるような力が働いて…)

 ライゼウスの表情筋が少し緩む。

 「おお…コホン。それは良かった。これからは私の言うことをきちんと聞いてさえいればプリムローズ、お前の安全は保障する。だから何も心配するな。いいな?」

 「はい」

 ライゼウスはその事に満足したのか嬉しそうにほほ笑んだ。

 
 (何だか変。でも何かが私にまとわりついていて嫌だって逆らえない感じ。それにすごく疲れてて重だるくて…)

 プリムローズは沈み込むような座り心地のよいソファーに身体を預ける。

 その感触に目を閉じてうっとりとなっているところにまた人の気配がした。


 「ライゼウス。彼女はどこだ?」

 コツコツと皮のブーツだろうか靴音が響くとプリムローズの前で止まった。

 身体はソファーに委ねているものの耳は収音機のように周りの音を拾っていたのでプリムローズはパチリと目を開けた。


 「やあ、プリムローズ。気分はどうだ?」

 ぎょっとして身体が思わず伸び上がる。

 「ど、どうしてあなたがここに?」

 目の前にいたのは第2王太子のセザリオ殿下だった。

 「どうしてって‥君に会いたかったから」

 (会いたかった?でも、私たち今朝は王都にいたはずでアルナンドに乗ってここまで来たから、もし私たちを追って来たとしてもとてもたどり着けるはずはないんじゃぁ?)

 「殿下はどうやってここまで?」

 脳内の機能はかなりポンコツになっているようで思った事が口から出た。

 だが、セザリオはますます機嫌がよさそうに言う。

 「君を追って来た。まさか竜に乗ってここに来るとは予想外だったな。でも、私には魔導士がいるからね。転移魔法でここに来た。どうだ?凄いだろう?」

 (ああ、それが言いたかったのね)

 なぜか脳内で彼の機嫌がいい理由がわかった。

 (でも、どうしてあなたがそこまでしてここに来るのよ。竜に乗った事を知ってるなんて私を見張ってたって事でしょう?)

 「でも、どうして私を追って?」

 プリムローズはそう言ってこくこく畝ずく。

 (そうよ。どうしてあなたはここまで来たの?)

 
 「もちろん。プリムローズ君を私のものにするためだ。決まってるじゃないか!私は一度狙った獲物が逃がさないって決めてるんだ」

 「殿下。それくらいにしないと…女性をあまりぐいぐい責めると嫌われますぞ」

 そう言ったのはライゼウス。

 (あなたもいたのね。それにしてもワルがふたり。揃ったわね)

 プリムローズは心の中で盛大にため息をついた。


 「準備は?」殿下がライゼウスに問う。

 「はい、出来ております」

 「そうか。プリムローズ。さあ行こうか」

 セザリオはプリムローズに手を差し出した。

 「はっ?」

 「ああ、そうでした。プリムローズ良く聞け!今からお前はセザリオ殿下のものになる。彼には一切逆らわないように彼にされるまま身を任せるんだ。いいね?」

 その口調はとてもとても優しかったが言っている内容はものすごくえぐい。

 「な、何を…」と言葉を発した途端。

 プリムローズの中で「ぎぃぃぃぃ。がちゃん!」何かが組みかえられるような気がした。

 「はい、わかりました」

 「ほほ~これはすごい。プリムローズ。さあ、行こうか」

 セザリオが感心したような声を出すと再びプリムローズに手を差し出した。

 プリムローズはその手に迷わず手を伸ばして立ちあがった。

 「寝室は二階だ。歩けそうか?」

 「あっ、はい」

 そうはいったものの脚がふらついた。

 「大丈夫。私が連れて行こう」

 セザリオは満面の笑みを浮かべるとプリムローズをさっと抱き上げた。

 (何よこいつ。気持ち悪い。あれ、思考は自分のままなの?と、言うことは身体は言うことを聞かないままこの男に…?いやだ。ああ…でも逆らえないのよね。もう最悪じゃない)

 プリムローズは複雑な思いで唇を噛みしめた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処理中です...