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【本幕・第9章】あねあにみっくす双撃っ 前編!
5.第二の助っ人は意外と近くにいますっ!
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五月二六日、一二時半。
昼休みの校舎裏で、ミコ先輩に昨晩の姉の様子を報告。
今日は生徒会役員会議がある日だ。
必ず花穂姉ちゃんは、ミコ先輩に俺のことを確認するだろう。
「というわけで、昨日姉から聞かれまして……」
「早速聞かれたか。お調子者の朝峰や荒木あたりがペラペラしゃべってるんだな」
里志がスズに話して、それを聞いたスズが花穂姉ちゃんに話す。
こうして、俺が好成績を取ったことが簡単に伝達してしまう。
「放課後、姉から聞かれたら話を合わせてくれますか?」
「了解だ。俺がうまく合わせれば、青山花穂も納得するだろう」
「それと、報酬は今日でもいいですよ。家に来てください」
「よし、わかった! また放課後に会おう」
御子柴龍司への報酬は、昨晩用意した。
とびっきりの餌をまいたのだ。食いつかないはずがない。
◇◇◇
午後四時前、校門の外でミコ先輩と落ち合った。
この報酬の件は四条先輩には秘密にしてある。知れば絶対に呆れられる。
「ミコ先輩、その鞄に荷物入りますか?」
「おう、入るぞ。教科書は置いて来てるし、端末と弁当ぐらいしか入ってない」
端末の大普及で昨今の学生の鞄は軽くなったものだ。
わざわざ教科書を持ち帰る必要がなく、学校が入学時に支給するタブレット端末にすべてデータ化されている。
「それで姉の花穂はどうでした? なにか聞いてきましたか?」
ミコ先輩と自宅へ向かって歩いて行く。
花穂姉ちゃんは、加奈子さんと生徒会の書類仕事で居残っているそうだ。
「青山弟、勘がいいな! 予想通り聞いて来たぞ。お礼を言われただけだがな」
「お礼……ですか?」
「弟の勉強を見てもらってありがとうございますってな」
「信じてましたか?」
「疑う余地がない。俺が学年一位なのは有名だからな」
俺は歩きながら考えた。生徒会役員は変わり者ばかりだが、ある共通点がある。
それは全員が成績上位者で、校内ではある程度有名な生徒ばかりだ。
歩いて一〇分、すぐに我が家に辿り着いた。
とりあえず、二階の自室にミコ先輩を案内したあと、紗月姉の部屋へ向かう。
紗月姉の部屋は寮に引っ越してから家具がほぼない。荷物と言えば衣類や寝具のみだ。ゴールデンウィークに散らかっていた部屋も、いつの間にか小ぎれいになっている。
「あの袋がそうです。まだ、開けてませんよ」
本当は昨晩開いて、中身を確認している。
紗月姉が捨てる予定と書いた袋を開いて中身を出してみた。
「おい、これ……紗月先輩の……本当にいいのか?」
中から出て来たのは、紗月姉の衣類とブラジャーとパンツだった。
下着は使用感があるもの、新品に近いものが数セットある。
「いいですよ。ブラとパンツのセットでどうぞ」
紗月信者が欲しいもの、それはもちろん青山紗月そのものだろう。
しかし、次に欲しいものはどうだろう。それは、紗月姉が身につけたものだ。
これを利用しない手はない。姉の下着が餌の役割を十二分に発揮してくれている。
「さ、紗月先輩のパンツ……では、これをもらおう」
ミコ先輩は白と黒のブラパンセットをお持ち帰りのようだ。
だらしのない紗月姉は、この捨てる予定の袋にとんでもないものを入れていた。
未洗濯の下着と水着だ。昨晩、それを袋から取り出した。
午後四時半過ぎ、俺の部屋でミコ先輩は紗月姉のパンツを掲げて眺めている。
ピロンと両手で生地を広げ、たまに匂いを嗅いでみたり……
あまり俺には理解できない。好きな女性の下着は欲しいものなのだろうか。
花穂姉ちゃんのパンツを嗅ぐ感覚と、なにか違う気がする。
「ミコ先輩、そんなに紗月姉が好きなんですか?」
「無論だ。あれだけいい女だからライバルは多いが……貴様だ」
ミコ先輩は座る俺に指を差して、持っていたパンツを握りしめた。
「え!?」
「一番のライバルは貴様だろ。紗月先輩が本物のブラコンか確かめる必要がある」
「それには共有ボックスを見ないと……」
俺は暗に次の要求をほのめかした。
「義弟よ、ついて来い。今から助っ人の家に向かうぞ!」
いつの間にか義弟にグレードアップしてるし……
「わかりました」
ミコ先輩の背中について行くこと約二〇歩。
見慣れた来栖邸の勝手口……
昼休みの校舎裏で、ミコ先輩に昨晩の姉の様子を報告。
今日は生徒会役員会議がある日だ。
必ず花穂姉ちゃんは、ミコ先輩に俺のことを確認するだろう。
「というわけで、昨日姉から聞かれまして……」
「早速聞かれたか。お調子者の朝峰や荒木あたりがペラペラしゃべってるんだな」
里志がスズに話して、それを聞いたスズが花穂姉ちゃんに話す。
こうして、俺が好成績を取ったことが簡単に伝達してしまう。
「放課後、姉から聞かれたら話を合わせてくれますか?」
「了解だ。俺がうまく合わせれば、青山花穂も納得するだろう」
「それと、報酬は今日でもいいですよ。家に来てください」
「よし、わかった! また放課後に会おう」
御子柴龍司への報酬は、昨晩用意した。
とびっきりの餌をまいたのだ。食いつかないはずがない。
◇◇◇
午後四時前、校門の外でミコ先輩と落ち合った。
この報酬の件は四条先輩には秘密にしてある。知れば絶対に呆れられる。
「ミコ先輩、その鞄に荷物入りますか?」
「おう、入るぞ。教科書は置いて来てるし、端末と弁当ぐらいしか入ってない」
端末の大普及で昨今の学生の鞄は軽くなったものだ。
わざわざ教科書を持ち帰る必要がなく、学校が入学時に支給するタブレット端末にすべてデータ化されている。
「それで姉の花穂はどうでした? なにか聞いてきましたか?」
ミコ先輩と自宅へ向かって歩いて行く。
花穂姉ちゃんは、加奈子さんと生徒会の書類仕事で居残っているそうだ。
「青山弟、勘がいいな! 予想通り聞いて来たぞ。お礼を言われただけだがな」
「お礼……ですか?」
「弟の勉強を見てもらってありがとうございますってな」
「信じてましたか?」
「疑う余地がない。俺が学年一位なのは有名だからな」
俺は歩きながら考えた。生徒会役員は変わり者ばかりだが、ある共通点がある。
それは全員が成績上位者で、校内ではある程度有名な生徒ばかりだ。
歩いて一〇分、すぐに我が家に辿り着いた。
とりあえず、二階の自室にミコ先輩を案内したあと、紗月姉の部屋へ向かう。
紗月姉の部屋は寮に引っ越してから家具がほぼない。荷物と言えば衣類や寝具のみだ。ゴールデンウィークに散らかっていた部屋も、いつの間にか小ぎれいになっている。
「あの袋がそうです。まだ、開けてませんよ」
本当は昨晩開いて、中身を確認している。
紗月姉が捨てる予定と書いた袋を開いて中身を出してみた。
「おい、これ……紗月先輩の……本当にいいのか?」
中から出て来たのは、紗月姉の衣類とブラジャーとパンツだった。
下着は使用感があるもの、新品に近いものが数セットある。
「いいですよ。ブラとパンツのセットでどうぞ」
紗月信者が欲しいもの、それはもちろん青山紗月そのものだろう。
しかし、次に欲しいものはどうだろう。それは、紗月姉が身につけたものだ。
これを利用しない手はない。姉の下着が餌の役割を十二分に発揮してくれている。
「さ、紗月先輩のパンツ……では、これをもらおう」
ミコ先輩は白と黒のブラパンセットをお持ち帰りのようだ。
だらしのない紗月姉は、この捨てる予定の袋にとんでもないものを入れていた。
未洗濯の下着と水着だ。昨晩、それを袋から取り出した。
午後四時半過ぎ、俺の部屋でミコ先輩は紗月姉のパンツを掲げて眺めている。
ピロンと両手で生地を広げ、たまに匂いを嗅いでみたり……
あまり俺には理解できない。好きな女性の下着は欲しいものなのだろうか。
花穂姉ちゃんのパンツを嗅ぐ感覚と、なにか違う気がする。
「ミコ先輩、そんなに紗月姉が好きなんですか?」
「無論だ。あれだけいい女だからライバルは多いが……貴様だ」
ミコ先輩は座る俺に指を差して、持っていたパンツを握りしめた。
「え!?」
「一番のライバルは貴様だろ。紗月先輩が本物のブラコンか確かめる必要がある」
「それには共有ボックスを見ないと……」
俺は暗に次の要求をほのめかした。
「義弟よ、ついて来い。今から助っ人の家に向かうぞ!」
いつの間にか義弟にグレードアップしてるし……
「わかりました」
ミコ先輩の背中について行くこと約二〇歩。
見慣れた来栖邸の勝手口……
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