転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子

文字の大きさ
6 / 32

06.家族もいたんだね……って!イケメン兄かよ!!しかも溺愛か!

しおりを挟む
(あ、家だ……)

 街灯が灯る道をだいぶ泣き止みながら歩いていると、自分、彩衣の家だと何故か分かる一軒家についた。

(おーおー、いい一軒家だな。ほんと二次元によくありそう小綺麗な一軒家。中も綺麗なんだろうなぁ……)

 そんなことを思いながら私は少しドキドキしながら中へと入る。

 鍵かかってるかな?と、思いながら取っ手をガチャっと押すと開かなかった。
 引いてもダメ。

 鍵ー……鞄の中にあるのかな?
 ガサガサと鞄の中を漁っていると、パタパタと近づいてくる足音が聞こえた。

 ガチャリと、扉が開く。

「あ!やっぱり彩衣!!もう!こんな遅くまでどこ行ってたの!!!」

 あらまー……ユキ。先生絵柄の美女……お母さんだろうなぁ……。

「あーはは、ごめん、お母さん。ちょっと、一凛と神社行ってて」

「……お母さん……?」

 美女はきょとんとしている。
 あ、まずった。呼び方間違えたか。

「あ……マ、マ?」

 こっちかな?と、言ってみる。

「どうしたの?神社行ったってなんで?何かあったの?」

 美女は困惑している。
 すると、2階からバタン!と扉の音がして、ダダダ!と階段を駆け下りてくる音がした。
 何事かと思っていると、


「彩衣帰ったのか!!??大丈夫か!!??変質者にあったりしてないか!?何事もないか!!!???」


「っ……」


 目の前に、ゲームには現れなかったユキ。先生の絵柄の長身短髪体育会系イケメンが現れた。
 私は神薙くんのこともあり、もうキャパオーバー。イケメンオーバー。ぶっ倒れそう。


隆乃介りゅうのすけ!家壊れるでしょ!」


 美女……彩衣の母が怒っている……。
 もう一人のイケメンは……年齢的に彩衣の兄……だろう。


 そうか……ゲームの中では一人一人、人生がちゃんとあるんだね……こんな人もいたんだね……。


 それにしてもイケメンやろが。
 私はイケメン摂取多量でその場にしゃがみこんだ。


「彩衣!大丈夫か!?やっぱり何かあったのか!!??警察!!警察に!!!」


 あー……なんか彩衣ちゃんお兄ちゃんに溺愛されてるっぽいな……まずい。


「……お兄ちゃん……大丈夫だよ……ちょっと……疲れただけ……」


 私は仕方なしに立ち上がり、イケメン兄に笑顔を向ける。

 すると、母と兄らしき人物がきょとんとしていた。


「彩……衣……?」
「彩衣……あなた本当に大丈夫……?」


 兄は絶句し、母は怪訝な顔をしていた。

「え?何が?」

 私が返すと、


「いつもなら、『うざいな!ブラコン兄貴!いい加減彼女でも作って妹離れしてよ!』とか言って蹴っ飛ばしてるのに……」


「えええ!!??」


 このイケメンを!!??と、私は叫びそうになって口を塞いだ。
 さすがにそこまで言ったらまずい。

 そうか……でも彩衣ちゃんならそう言いそうだなぁ……と、私はどうしようかと考える……。

 彩衣ちゃんを演じるか……それとも……



「お母さん、お兄ちゃん。私は今日、思うところがあり、心を入れ替えました。なので、今日から今までとはちょっと違う私かもしれないけど……心配しないでください!お兄ちゃん!今までごめんね!これからは仲良くやろうね!」



 私はイケメン兄に向かってにっこりとほほえんだ。


「あ……彩衣……」


 兄はつぅっと涙を流していた。
 そして、

「おわっ!」

 私をかばっと抱きしめ。


「俺の長年の愛がようやく伝わったか!!彩衣!!!!お兄ちゃんは!!!お兄ちゃんは!今!猛烈に感動している!!!!」


「あはは……」


 ちょっと変わったお兄ちゃんかもなー、これは……。
 私は少し後悔しつつも、まぁ、イケメン逞し系お兄ちゃんに抱きしめられるのは悪くない……。
 と、兄の腕の中で、ニヤニヤとしていた。


 ただ、禁断の愛には気を付けないとなー。と、思っていた。
 まぁ、それはそれでいっか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。

新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。 趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝! ……って、あれ? 楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。 想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ! でも実はリュシアンは訳ありらしく…… (第18回恋愛大賞で奨励賞をいただきました。応援してくださった皆様、ありがとうございました!)

【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど

monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。 でも、なんだか周りの人間がおかしい。 どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。 これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

転生したら乙女ゲームのヒロインの幼馴染で溺愛されてるんだけど…(短編版)

凪ルナ
恋愛
 転生したら乙女ゲームの世界でした。 って、何、そのあるある。  しかも生まれ変わったら美少女って本当に、何、そのあるあるな設定。 美形に転生とか面倒事な予感しかしないよね。  そして、何故か私、三咲はな(みさきはな)は乙女ゲームヒロイン、真中千夏(まなかちなつ)の幼馴染になってました。  (いやいや、何で、そうなるんだよ。私は地味に生きていきたいんだよ!だから、千夏、頼むから攻略対象者引き連れて私のところに来ないで!)  と、主人公が、内心荒ぶりながらも、乙女ゲームヒロイン千夏から溺愛され、そして、攻略対象者となんだかんだで関わっちゃう話、になる予定。 ーーーーー  とりあえず短編で、高校生になってからの話だけ書いてみましたが、小学生くらいからの長編を、短編の評価、まあ、つまりはウケ次第で書いてみようかなっと考え中…  長編を書くなら、主人公のはなちゃんと千夏の出会いくらいから、はなちゃんと千夏の幼馴染(攻略対象者)との出会い、そして、はなちゃんのお兄ちゃん(イケメンだけどシスコンなので残念)とはなちゃんのイチャイチャ(これ需要あるのかな…)とか、中学生になって、はなちゃんがモテ始めて、千夏、攻略対象者な幼馴染、お兄ちゃんが焦って…とかを書きたいな、と思ってます。  もし、読んでみたい!と、思ってくれた方がいるなら、よかったら、感想とか書いてもらって、そこに書いてくれたら…壁|ω・`)チラッ

行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される

めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」  ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!  テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。 『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。  新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。  アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。

処理中です...