転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子

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08.急に真面目な話……でもイケオジ父はいい匂い。

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 その後、ちょっとうざい妹溺愛兄と、美女母と、イケオジ父と、にやけながらおいしいカレーを『一家団欒とはこのことかー幸せだなー。』と思いながら食べ終えた後、私はお風呂に入った。

 そして驚愕した。


(うわーーー!!!スタイルよすぎ!!!!モブってか、脇役でこれかよ!!!贅肉まったくないのに胸と尻はしっかりあってたれてもない!え!?ていうかムダ毛は!?ない!!?ないわ!!ツルピカ!!!!毛穴もない!!!はーーー!!!二次元万歳!!!!!)


 などと、全裸でバスルームの姿見で体のあちこちを見ながら心の中で絶叫していた。

「ハクシュン!」

 あ、さむっ……お風呂入ろ。



 ざぶーんと湯船からお湯があふれる。

 はー……今日は凄い一日だったなー。
 しかし、お風呂もピッカピカ。
 ゲームの背景みたいなお風呂。
 ま、そりゃそうか。ゲームの中だしな。

 しかし、私は本当に死んだのかな?
 死んで転生したのかな?
 それとも昏睡状態で見ている夢?

 私は湯船につかりながら考える。

 んー……まいっか!どっちみち、今、意識しっかりしてて楽しいんだし!

「楽しめるだけ楽しもう!おー!」

 と声を出し、腕を上げ、こんだけスタイルよかったらおしゃれし放題だなー。
 お金が高校生だからないか……あ、お兄ちゃんに買ってもらおうかなー。
 いやいやそれは……。

 などと考えながら楽しいバスタイムを終え、パジャマを着てリビングへと向かう。

 おっふ、イケオジが新聞読んでいる。
 ……イケメン、イケオジに慣れるために少し会話でもするか……。
 にやけないように注意注意。


「お父さん、新聞読んでるのー?」

 私はイケオジ父に気さくに声をかけながら隣のソファに座る。

「ん?なんだめずらしいな、彩衣が話しかけてくるなんて。」

 イケオジ父は少しほほえみながらこちらを向き、言葉を返してくれる。


 はーーーーーイケオジ尊いーーーーー!!!!


 にこにこしながら私は、彩衣ちゃんは一体、今まで家族にどんな態度を取っていたのかと、まぁ大体想像つくけど……こんな美形家族に……と、思いながらやれやれ。と、思う。

「私は今日から変わったのです。」

 と、ピースをして見せる。

「そうか……それは嬉しいことだな。」

 イケオジ父は嬉しそうだ。

「学校はどうだ?昔、幼稚園が一緒だった子が転校して戻ってきたんだろ?」

 お!イケオジよく知ってますね!
 と、思いながら私は話す。

「うん!一凛って言ってね、幼稚園一緒で昔よく遊んでたの。記憶はおぼろげだけど、今、仲良くしてるよ。いい子だからね!」

 と、私は体験してもいないゲームで得た知識を話す。

「そうか……よかったな……4月は出会いの季節だからな……もうすぐ5月になるが。」

 そこで私は、はた。とする。

「今日……何月何日?」
「ん?4月26日だぞ?」
「4月26日……」

 私はゲームの時間の流れとゲームのイベントを思い出す。


 確かゲームは入学式の4月6日から始まり、8月31日に終わる……。

 まだ始まって序盤か……。
 あ!神薙くんと一凛ちゃんが学校で再開して宝玉が光るイベント見れなかったな……。

 次のイベントはなんだっけ……。
 っていうか、8月31日が来て一凛ちゃんが誰かとハッピーエンド……もしくは途中でバッドエンドを迎えたら、私は……この世界はどうなるんだろう……。

 そう考えたら、なんか急にぞっとしてきた。

(え……なんか怖い……)


「どうした彩衣。」


 イケオジ父が私を心配そうな表情で見ている……。


「……パパこわいよー!」


 私はイケオジ父の膝に顔を突っ伏してみた。



 あ、やば……イケオジ父いい匂いする……あかんわこれ……。



「おいおい、本当にどうした。」

 イケオジ父は笑っている。
 私も顔を上げて笑った。


 しかし、内心不安は消えていなかった。

 8月31日……。


 または一凛ちゃんがバッドエンドを迎えた時……。



 私は……この世界はどうなるのだろうか……。
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