異世界に召喚された失格勇者はコンバットスーツで無双します ~いきなり俺を殺そうとした国王! てめえは許さねぇ!!~

三原みぱぱ

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第25話 異世界のお土産はエロかった

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 さて、思いがけずあっさりと領地が手に入ってしまった俺が行ったことは、宣言したとおりに横領犯エナジーの私財一切を公庫に入れた。それはなんと領地の年間予算の三年分以上もの額になった。
 金品の状態で残っていたのは、エナジーがあまり派手に使うと横領がばれると警戒したのか、それともただ、お金を貯め込むことが趣味だっただけなのか、まあ、真相はわからないし、知る気も無かった。

 次に、領地のことを知ることにした。
 自国領となったアルパカ領内の農作物の種類や量、産業などについても、アイリーンから説明を受けてから実際に現地にも行った。俺が領主代行になったことは基本的に伏せられているため、行商人を装って、領民の不満や領地の問題点を次々に聞きだして、リストアップをしていった。それにはノアールも同行させた。今後、ノアールは今の王に代わって王国を導く立場にさせる。そのために俺ができる程度のことは全て吸収しておいてもらわなければ困る。
 そして、その問題点を『すぐに対応可能で、効果が見込める物』、『対応に時間と金がかかるが、必要な物』、『急ぎではないが、そのうち対応が必要な物』などに分類して、順番に対応させた。
 領主がぼんやりしているせいか意外と大臣連中は有能だった。一説明すると十までは行かないが、三、四は理解してくれる。
 ちなみにガルド村は村長と話し合って、特別区に指定してヤマタノオロチ繁殖場にすることにした。

 地場作りが上手く回り始めてきた。
 しかし、これでとりあえず、アルパカ領と魔王軍で貿易は始められる。最低でも、魔王軍と約束した成果の一部は示せるはずだ。
 そしてその状況を魔王に説明する為にネーラを一度、魔王城へ帰らせた。

「それで、これからどうなさるつもりですか? あなた」

 屋敷の二階の執務室で書類に目を通していると、アイリーンが話しかけてきた。
 基本的には大臣たちが施政を行っているが、報告の確認や最終判断は俺がやるしかない。

「現国王を引きずり落としたいのだが、残り二人の勇者の能力と王国軍の兵力がまだよく分からない。領地を拡大しながら戦力を整えつつ、情報の収集をするしかないだろうな」
「残り二人と言いますと?」
「ああ、火と風の勇者だな。土と水の勇者は死んだか、大怪我を負っているだろうから、戦力として考えなくて良いだろう」

 俺の言葉にアイリーンとノアールは顔を見合わせて、お互い驚いた顔をしていた。
 何を驚いているのだろうか? 土と水の勇者があれだけの怪我を負ってもすぐに復活するのか? 勇者特権か何か? そうすると俺にも適用されるなら、すごく助かるのだが。

「あなた、勇者様は全員で六人いますよ」
「マモル、一人勇者を忘れています。一番重要な勇者を」
「もう一人? 水、火、風、土、そして闇の俺で五人。王女も五人だった。一人の王女に一人の勇者だろう。一番重要な勇者ってどういうことだ?」
「始まりの勇者。唯一自力でこの世界に来た光の勇者のことですよ」

 そうか! 俺が闇の勇者なら、相対する光の勇者がいてもおかしくない。しかしこの世界に自力で来た? どうやって? もしかして魔法で世界を渡った? そうするとどれだけの能力と魔力だ?

「どんな奴なんだ、光の勇者は」
「光の勇者は……きゃー!!」

 ノアールが光の勇者について説明しようとしたとき、窓ガラスが外から割られた。

「マモル!! 大変ニャ!!!!!」

 黒猫獣人が部屋に転がってきた。両手にいっぱいの紙袋を持って。

「ネーラ、ちゃんと玄関から入ってこい。怪我するぞ。大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ニャ。ありがとうニャ。マモルは優しいニャ。でも怪我しないようにガラス割ったから大丈夫ニャ」
「まあ、それなら良いが、窓ガラスも高いんだから、せめて、窓を開けてから入ってこいよ」
「うん、分かったニャ」
「それで、その両手いっぱいの紙袋は何だ?」
「ああこれかニャ? お土産だニャ。部長や支店長から持って行けって、一杯押しつけられたニャ」

 そう言いながら大きな紙袋をひとつ俺に渡した。
 そして、ノアールとアイリーンにも配って回った。

「ネーラさん、これは?」
「部長から二人にプレゼントだニャ。中身はあたいも分かんないニャ」
「え、何でしょうか?」

 ノアールは素直に紙袋を受け取った。
 しかし、アイリーンはサラマンディーネに会ったことがないため、誰のことかさっぱり分からずに、躊躇していた。

「部長って言うのはネーラの上司で女リザードマンのサラマンディーネの事だよ。まあ、毒や爆弾の類じゃないと思うから、安心して開けてみな」

 俺の言葉に安心したのか、アイリーンも袋を受け取ると中身を確認した。。
 二人のプレゼントの中身は服だった。早速試着をして見ることにしたのだった。
 その間に俺は自分の土産を開けてみる。
 まずはベレートからの分を開けてみると、中にはスイカサイズの桃のような物が木箱に入っていた。

「これは? 果物か?」
「どれどれ? え!? これって幻のレベルアップの実ニャ!」
「レベルアップの実? 食べるとレベルが1上がるとかか?」
「レベル1なんてもんじゃないニャ。レベルが今の二倍になるニャ!」
「レベルが二倍に!! って、レベル1の俺にはレベルが1上がるのと同意じゃないか。まあ、ただでレベルが上がるなら、いいか。とりあえず、食べてみるか。生で食べられるのか?」
「ちょっと待つニャ! ちなみに噂では、これを食べると90%の確率で死ぬらしいですニャ」

 90%? スパロボだったら、二回に一回は外す安心の数字だけど、普通に考えたらやばい奴じゃねえか。あいつ、何を考えてこんな物を送りつけてきやがった。ん? 手紙がついている。

『マモルへ、これを食べて強くなって、また遊ぼうね』

 あいつ遊び相手が欲しいだけじゃねえか!! そんなことに命かけられるか! パスだ、パス。次はサラマンディーネのお土産か。
 こちらも木箱に入っていた。ベレートの木箱は正方形に近かったが、こちらは長方形だった。

 ガタッ

 木箱の中で音がする。
 なんか、嫌な予感がする。
 恐る恐る木箱を開けると、予想通りそれはサラマンディーネの尻尾だった。前にもらった詫び尻尾。しかし、以前の物と違うのは何やら甘い匂いがする。ここにも手紙が一通入っていた。

<マモルへ、これは尻尾の精力剤漬けです。これ食べて、夜を頑張って! 三人相手は大変だろうけど、ネーラを特に可愛がってあげてください>

 あー、精力剤か~ってアホか! あの恋愛脳め! 誰が使うか!

「ナビちゃん、これをエネルギーに変換したらどのくらいになる?」
『100~150%程度ですね』

 相変わらず、能力だけは高いんだよな。

「うん、こいつは生きが良いうちに吸収しちゃおう」

 俺がサラマンディーネの尻尾を吸収し終わると、ちょうど二人の着替えが終わったようだ。
 しかし、何やら騒がしいようで、アイリーンとノアールの声が聞こえる。
 俺はコンバットスーツを解除して、お茶を飲んで待っていた。

「な! 何なんですか! この服は!」
「よく分かりませんが、魔族的には神聖な意味があるかも知れないじゃないですか。とりあえずネーラさんに確認してみましょう」

 どうやらアイリーンが文句を言って、それをノアールがなだめているようだった。
 そして、ドアを開けて二人の姿を見たとき、俺はお茶を盛大に吹き出した。
 アイリーンはピンク色のラメ生地が身体にぴったりまとわりついて、ボディーラインをはっきり浮きだたせている。胸元は大きく開いて、谷間が強調される。下半身には大きく腰あたりまでスリットが入って、歩くたびに艶めかしい太ももがチラチラ見える。
 エロチャイナ服!
 そしてノアールは黒と白の一見メイド服。
 しかし、上半身は黒いビキニ姿で、白いフリルがかわいらしい。
 そして下半身は黒いミニスカートに飾りにしかならない、白い前掛け。
 肩、お腹、太ももはノアールの真っ白な素肌がそのまま見えている。
 手首にはご丁寧に飾りにしかならないカフスを付けていた。

 どこのコスプレバーだ!?

「ネーラさん、服の着方はこれで良かったのでしょうか?」
「ばっちりニャ。どうかニャ、マモル。二人とも可愛いニャ。ちなみにあたいはこれだニャ!」

 そう言ってネーラは紫色のバニー姿になる。
 猫獣人がバニー(ウサギ)になってどうする! 混ぜるな、危険だ!

「どうですか? あなた。似合いますか?」
「わたくしもおかしくありませんか?」
「どーよ、このネーラ様のセクシーな姿は! 興奮したかニャ」

 三者三様、扇情的な姿で俺に感想を求めてくる。
 やばい、正直やばい。三人ともセクシーで可愛い。童貞を殺す服x3。童貞を抹殺できてしまう。

「三人ともすごく似合っていて、可愛いよ。でも、ほら、生地が少ないから風邪引いちゃうかもしれないだろう。もう着替えたらどうだ? あ! そうだ! ネーラ、なんか急いでなかったか? 大変だ~! って言っていただろう?」

 俺は真っ赤になりながら、ついついチラチラと三人を見て大慌てで話をそらす。

「あーーーーー!!!! 大変だニャ! 王国軍およそ二万の軍勢がここに攻め込んできているニャ!」

 それを真っ先に言え! このアホ猫!
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