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第26話 異世界の将軍は慎重だった
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え!? 二万の軍勢? ちょっと待て! アルパカ領全体で人口三万にいるかどうかだぞ!
「アイリーン、こっちの兵力はそれくらいだ?」
「職業兵士約千五百人、徴集兵を募っても全部で三千人が良いところです」
「ネーラ、その二万人のおおよその内訳は分かるか? 訓練された兵なのか、寄せ集めの兵なのか。二万なんて魔王軍でなく、俺たちに当ててくるのがおかしいだろう」
「ワイバーンで上空から見ただけだけど、素人集団じゃないニャ。あの動きはちゃんと訓練された兵だったニャ。それに司令官らしい騎士がいたけど、あの兜の形はノラリス将軍ニャ」
「ノラリス将軍!」
俺が聞き覚えのない名前にアイリーンとノアールは反応する。
「有名な人物なのか?」
「ええ、ノラリス将軍。別名、残虐慎重将軍。基本的に圧倒的多数で敵をねじ伏せる戦い方をします。そして、敵は女子供であろうと容赦なく殺します。それも見せしめのためか、なるべく苦しみ、残虐な方法で。宣戦布告などなし、降伏も認めない。そして、敵が強敵とみるや何の躊躇もなく引き下がり、戦力を整えて、再度踏み潰す。単純にして効果的な戦い方をする将軍です」
騎士団長だっただけあって、アイリーンは将軍について詳しいようだった。
しかし、ノラリスの名前は悪名として有名なようだった。
「それで、うちの領地に来るまでどのくらいだ? 一ヶ月くらいか?」
「それだけあったら玄関から入ってくるニャ。あたいの見通しでは、領地に入ってくるのに三日、このまま進軍したら五日とかからないニャ!」
「三日! すぐじゃないか! 何で早く言わない! アイリーン、対策を立てるぞ! 地図の準備を! ネーラ、状況を教えてくれ」
魔王城からの帰りに、上空からネーラがワイバーンで確認したところ、まっすぐとこちらに向かって来ているらしい。
二万の内訳として、一万五千の歩兵、四千の騎兵、五百の魔法使い、五百の補給兵。
つまり、まともに戦っても、相手の騎兵だけでこちらの戦力は蹴散らされてしまう。
しかし、補給兵だけ考えると十分戦える。
「アイリーン、どこかを封鎖することによって、相手を足止めできるところはないか? 一日か二日程度でも良い。その間に相手の兵站を奪い取る。大軍には大軍の弱点がある。二万もいれば、食料の消費も膨大なはずだ。兵站がなくなってしまえば士気の維持が難しくなる」
「足止めする場所はありますが、兵站を奪うという案は、ノラリス将軍相手にはおすすめしません」
「なんでだ? 精鋭部隊を補給兵にしているのか?」
アイリーンは悲しそうに首を横に振った。
「ノラリス将軍は兵站がつきてくると、近隣の村や町を襲って略奪を行います。その場合、その村や町の住民は皆殺しにされて、何もかも持って行きます。ノラリス軍が通った後にはぺんぺん草も生えないと言われます」
ペンペン草も生えないって、ノラリス将軍は佐賀人か!?
食料奪えると領民に配れるかと思ったが、そう簡単には行かないか。よく考えれば、必ず、敵よりも大軍で当たると言うことは当然、兵站問題はついて回るはずだ。対策は考えてあるか。領民を守るつもりで、領民に危害を加える存在を作ってしまう事になるのか?
「ちなみに、そのノラリス将軍っていうのは強いのか?」
「分かりません。ノラリス将軍は前線に立ちません。一騎打ちをしたと聞いたことがありません。将軍が戦う前に決着がつきますので、誰も将軍の個の実力は分かりません」
「ならば、どうにかして一騎打ちに持ち込めば、勝機はあるのか?」
「それは難しいですね。あなたが勇者だと言うことは将軍も知っています。一騎打ちなんて受けないでしょう」
「でも、俺はレベル1なんだぜ。侮って出てくれないか?」
「逆に気味悪がって、側近に相手させると思うわよ」
そうか、大軍な上に慎重な相手か。厄介だな。
奇襲なんかで削って行くしか無いのか?
夜襲をかけるにしても、一回成功すれば相手も警戒するだろう。千五百人で奇襲をかけても五千人も倒せないだろう。
それならば自然災害を使うか? 雪でも降ってくれれば、行軍もできないが、この気温では雪なんて降りもしないだろう。そうすると水攻めか。
「その足止め出来るところの近くに大きな川は無いか? 足止めしたところに氾濫させて一気に溺死させたいのだが」
「ないですね。将軍もそういう災害が起こりそうな場所は避けて戦場にしますので、こちらから攻め込んで、戦場を調整しないことには、なかなかそういう所に引き込めませんよ」
慎重故に有能か。そうすると一発逆転の手は難しいか。ならば話し合いか。
「とりあえず、アイリーンは兵士を集めて、足止めの準備をしてくれ。ちなみに、この世界でも停戦を求めるときは白旗で良いのか?」
「わかりました。兵の準備を進めます。ちなみに白旗は全面降伏です。停戦は青旗ですわ」
ジャムかよ。まあ、確認しておいて良かった。覚えておこう。
アイリーンは俺の旗のことを教えてくれると、そのまま、騎士団の所に向かおうとした。
「アイリーン、着替えていけよ。騎士団が戦争の準備どころじゃなくなる」
俺の言葉に、アイリーンはエロチャイナ服を着ていることを思い出したように、真っ赤になって部屋を出て行った。
「さあ、これから忙しくなるな」
俺は深いため息をついた。
「アイリーン、こっちの兵力はそれくらいだ?」
「職業兵士約千五百人、徴集兵を募っても全部で三千人が良いところです」
「ネーラ、その二万人のおおよその内訳は分かるか? 訓練された兵なのか、寄せ集めの兵なのか。二万なんて魔王軍でなく、俺たちに当ててくるのがおかしいだろう」
「ワイバーンで上空から見ただけだけど、素人集団じゃないニャ。あの動きはちゃんと訓練された兵だったニャ。それに司令官らしい騎士がいたけど、あの兜の形はノラリス将軍ニャ」
「ノラリス将軍!」
俺が聞き覚えのない名前にアイリーンとノアールは反応する。
「有名な人物なのか?」
「ええ、ノラリス将軍。別名、残虐慎重将軍。基本的に圧倒的多数で敵をねじ伏せる戦い方をします。そして、敵は女子供であろうと容赦なく殺します。それも見せしめのためか、なるべく苦しみ、残虐な方法で。宣戦布告などなし、降伏も認めない。そして、敵が強敵とみるや何の躊躇もなく引き下がり、戦力を整えて、再度踏み潰す。単純にして効果的な戦い方をする将軍です」
騎士団長だっただけあって、アイリーンは将軍について詳しいようだった。
しかし、ノラリスの名前は悪名として有名なようだった。
「それで、うちの領地に来るまでどのくらいだ? 一ヶ月くらいか?」
「それだけあったら玄関から入ってくるニャ。あたいの見通しでは、領地に入ってくるのに三日、このまま進軍したら五日とかからないニャ!」
「三日! すぐじゃないか! 何で早く言わない! アイリーン、対策を立てるぞ! 地図の準備を! ネーラ、状況を教えてくれ」
魔王城からの帰りに、上空からネーラがワイバーンで確認したところ、まっすぐとこちらに向かって来ているらしい。
二万の内訳として、一万五千の歩兵、四千の騎兵、五百の魔法使い、五百の補給兵。
つまり、まともに戦っても、相手の騎兵だけでこちらの戦力は蹴散らされてしまう。
しかし、補給兵だけ考えると十分戦える。
「アイリーン、どこかを封鎖することによって、相手を足止めできるところはないか? 一日か二日程度でも良い。その間に相手の兵站を奪い取る。大軍には大軍の弱点がある。二万もいれば、食料の消費も膨大なはずだ。兵站がなくなってしまえば士気の維持が難しくなる」
「足止めする場所はありますが、兵站を奪うという案は、ノラリス将軍相手にはおすすめしません」
「なんでだ? 精鋭部隊を補給兵にしているのか?」
アイリーンは悲しそうに首を横に振った。
「ノラリス将軍は兵站がつきてくると、近隣の村や町を襲って略奪を行います。その場合、その村や町の住民は皆殺しにされて、何もかも持って行きます。ノラリス軍が通った後にはぺんぺん草も生えないと言われます」
ペンペン草も生えないって、ノラリス将軍は佐賀人か!?
食料奪えると領民に配れるかと思ったが、そう簡単には行かないか。よく考えれば、必ず、敵よりも大軍で当たると言うことは当然、兵站問題はついて回るはずだ。対策は考えてあるか。領民を守るつもりで、領民に危害を加える存在を作ってしまう事になるのか?
「ちなみに、そのノラリス将軍っていうのは強いのか?」
「分かりません。ノラリス将軍は前線に立ちません。一騎打ちをしたと聞いたことがありません。将軍が戦う前に決着がつきますので、誰も将軍の個の実力は分かりません」
「ならば、どうにかして一騎打ちに持ち込めば、勝機はあるのか?」
「それは難しいですね。あなたが勇者だと言うことは将軍も知っています。一騎打ちなんて受けないでしょう」
「でも、俺はレベル1なんだぜ。侮って出てくれないか?」
「逆に気味悪がって、側近に相手させると思うわよ」
そうか、大軍な上に慎重な相手か。厄介だな。
奇襲なんかで削って行くしか無いのか?
夜襲をかけるにしても、一回成功すれば相手も警戒するだろう。千五百人で奇襲をかけても五千人も倒せないだろう。
それならば自然災害を使うか? 雪でも降ってくれれば、行軍もできないが、この気温では雪なんて降りもしないだろう。そうすると水攻めか。
「その足止め出来るところの近くに大きな川は無いか? 足止めしたところに氾濫させて一気に溺死させたいのだが」
「ないですね。将軍もそういう災害が起こりそうな場所は避けて戦場にしますので、こちらから攻め込んで、戦場を調整しないことには、なかなかそういう所に引き込めませんよ」
慎重故に有能か。そうすると一発逆転の手は難しいか。ならば話し合いか。
「とりあえず、アイリーンは兵士を集めて、足止めの準備をしてくれ。ちなみに、この世界でも停戦を求めるときは白旗で良いのか?」
「わかりました。兵の準備を進めます。ちなみに白旗は全面降伏です。停戦は青旗ですわ」
ジャムかよ。まあ、確認しておいて良かった。覚えておこう。
アイリーンは俺の旗のことを教えてくれると、そのまま、騎士団の所に向かおうとした。
「アイリーン、着替えていけよ。騎士団が戦争の準備どころじゃなくなる」
俺の言葉に、アイリーンはエロチャイナ服を着ていることを思い出したように、真っ赤になって部屋を出て行った。
「さあ、これから忙しくなるな」
俺は深いため息をついた。
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