異世界に召喚された失格勇者はコンバットスーツで無双します ~いきなり俺を殺そうとした国王! てめえは許さねぇ!!~

三原みぱぱ

文字の大きさ
26 / 52

第26話 異世界の将軍は慎重だった

しおりを挟む
 え!? 二万の軍勢? ちょっと待て! アルパカ領全体で人口三万にいるかどうかだぞ!

「アイリーン、こっちの兵力はそれくらいだ?」
「職業兵士約千五百人、徴集兵を募っても全部で三千人が良いところです」
「ネーラ、その二万人のおおよその内訳は分かるか? 訓練された兵なのか、寄せ集めの兵なのか。二万なんて魔王軍でなく、俺たちに当ててくるのがおかしいだろう」
「ワイバーンで上空から見ただけだけど、素人集団じゃないニャ。あの動きはちゃんと訓練された兵だったニャ。それに司令官らしい騎士がいたけど、あの兜の形はノラリス将軍ニャ」
「ノラリス将軍!」

 俺が聞き覚えのない名前にアイリーンとノアールは反応する。

「有名な人物なのか?」
「ええ、ノラリス将軍。別名、残虐慎重将軍。基本的に圧倒的多数で敵をねじ伏せる戦い方をします。そして、敵は女子供であろうと容赦なく殺します。それも見せしめのためか、なるべく苦しみ、残虐な方法で。宣戦布告などなし、降伏も認めない。そして、敵が強敵とみるや何の躊躇もなく引き下がり、戦力を整えて、再度踏み潰す。単純にして効果的な戦い方をする将軍です」

 騎士団長だっただけあって、アイリーンは将軍について詳しいようだった。
 しかし、ノラリスの名前は悪名として有名なようだった。

「それで、うちの領地に来るまでどのくらいだ? 一ヶ月くらいか?」
「それだけあったら玄関から入ってくるニャ。あたいの見通しでは、領地に入ってくるのに三日、このまま進軍したら五日とかからないニャ!」
「三日! すぐじゃないか! 何で早く言わない! アイリーン、対策を立てるぞ! 地図の準備を! ネーラ、状況を教えてくれ」

 魔王城からの帰りに、上空からネーラがワイバーンで確認したところ、まっすぐとこちらに向かって来ているらしい。
 二万の内訳として、一万五千の歩兵、四千の騎兵、五百の魔法使い、五百の補給兵。
 つまり、まともに戦っても、相手の騎兵だけでこちらの戦力は蹴散らされてしまう。
 しかし、補給兵だけ考えると十分戦える。

「アイリーン、どこかを封鎖することによって、相手を足止めできるところはないか? 一日か二日程度でも良い。その間に相手の兵站を奪い取る。大軍には大軍の弱点がある。二万もいれば、食料の消費も膨大なはずだ。兵站がなくなってしまえば士気の維持が難しくなる」
「足止めする場所はありますが、兵站を奪うという案は、ノラリス将軍相手にはおすすめしません」
「なんでだ? 精鋭部隊を補給兵にしているのか?」

 アイリーンは悲しそうに首を横に振った。

「ノラリス将軍は兵站がつきてくると、近隣の村や町を襲って略奪を行います。その場合、その村や町の住民は皆殺しにされて、何もかも持って行きます。ノラリス軍が通った後にはぺんぺん草も生えないと言われます」

 ペンペン草も生えないって、ノラリス将軍は佐賀人か!?
 食料奪えると領民に配れるかと思ったが、そう簡単には行かないか。よく考えれば、必ず、敵よりも大軍で当たると言うことは当然、兵站問題はついて回るはずだ。対策は考えてあるか。領民を守るつもりで、領民に危害を加える存在を作ってしまう事になるのか?

「ちなみに、そのノラリス将軍っていうのは強いのか?」
「分かりません。ノラリス将軍は前線に立ちません。一騎打ちをしたと聞いたことがありません。将軍が戦う前に決着がつきますので、誰も将軍の個の実力は分かりません」
「ならば、どうにかして一騎打ちに持ち込めば、勝機はあるのか?」
「それは難しいですね。あなたが勇者だと言うことは将軍も知っています。一騎打ちなんて受けないでしょう」
「でも、俺はレベル1なんだぜ。侮って出てくれないか?」
「逆に気味悪がって、側近に相手させると思うわよ」

 そうか、大軍な上に慎重な相手か。厄介だな。
 奇襲なんかで削って行くしか無いのか? 
 夜襲をかけるにしても、一回成功すれば相手も警戒するだろう。千五百人で奇襲をかけても五千人も倒せないだろう。
 それならば自然災害を使うか? 雪でも降ってくれれば、行軍もできないが、この気温では雪なんて降りもしないだろう。そうすると水攻めか。

「その足止め出来るところの近くに大きな川は無いか? 足止めしたところに氾濫させて一気に溺死させたいのだが」
「ないですね。将軍もそういう災害が起こりそうな場所は避けて戦場にしますので、こちらから攻め込んで、戦場を調整しないことには、なかなかそういう所に引き込めませんよ」

 慎重故に有能か。そうすると一発逆転の手は難しいか。ならば話し合いか。

「とりあえず、アイリーンは兵士を集めて、足止めの準備をしてくれ。ちなみに、この世界でも停戦を求めるときは白旗で良いのか?」
「わかりました。兵の準備を進めます。ちなみに白旗は全面降伏です。停戦は青旗ですわ」

 ジャムかよ。まあ、確認しておいて良かった。覚えておこう。
 アイリーンは俺の旗のことを教えてくれると、そのまま、騎士団の所に向かおうとした。

「アイリーン、着替えていけよ。騎士団が戦争の準備どころじゃなくなる」

 俺の言葉に、アイリーンはエロチャイナ服を着ていることを思い出したように、真っ赤になって部屋を出て行った。

「さあ、これから忙しくなるな」

 俺は深いため息をついた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...