異世界に召喚された失格勇者はコンバットスーツで無双します ~いきなり俺を殺そうとした国王! てめえは許さねぇ!!~

三原みぱぱ

文字の大きさ
34 / 52

第34話 異世界の研究者は偏屈だった

しおりを挟む
 俺たちがマモルジープを走らせると見えてきたのが白磁のシンデレラ城。
 いつ見ても魔王城には見えない。デザイナーは誰だ? そう疑いたくなる魔王城へ着いた俺は慣れた風に受付へとまっすぐ近づいた。

「こんにちは、マモルと申しますが、マバスさんをお願いいたします。バララムさんの紹介です」

 相変わらず美しいエルフの女性とハーピーの女性がセットで受付をしていた。

「はい、お聞きしております。それでは第一工房へご案内します」
「ネーラ、第一工房って分かるか?」
「研修で言ったことがあるニャ」
「では、案内不要です」

 俺たちはネーラに連れられて魔王城の奥へと向かう。どんどん奥へと向かう。まだまだ奥へと行って魔王城の裏口から出た。

「おい! ネーラ、城から出たぞ。どこに行くんだ?」
「第一工房は特別ニャ。魔王城の外の別の建物にあるニャ」
「なんで、そんなの所にあるんだ?」
「行けば分かるにゃ。ほら、見えてきた」

 裏口を出て、五分も歩いた所にそれはあった。
 レンガ造りの大きな倉庫。かの有名な赤レンガ倉庫を思い出させる。
 そして、その壁にはいろいろな魔方陣が書かれていた。
 不思議そうにその壁を見ている俺を無視して、ネーラはその建物の中に入ろうとした時だった。
 爆発音。
 そして軽い地響き。

「なんだ? 今のは」
「ただの爆発だニャ。この第一工房はマバス工房と言われるくらい、マバスさんが好き勝手に研究しているからたまに爆発が起こるニャ。そのため、魔王城から離れた頑丈な建物に作られてるニャ。さっきの魔方陣も防護魔法ニャ」
「おい、そんな危ない研究しているところで、メイさんの首輪を外してもらえるのか? 危なくないのか?」

 俺がノアールとメイを見ると二人とも怯えているようだった。
 俺も首輪を外す途中で爆発なんて事になったら大事だと、心配になった。

「大丈夫じゃないかニャ。マバスさん以上の技術者は魔王城にはいないって話だニャ」
「そんなすごい人がなんで爆発なんて起こすんだ?」
「そんなのあたいが知るわけないニャ」

 確かに、技術員でもないネーラが研究室で何をやっているかなんて知るわけもなく、その情報が漏れていれば、それはそれで大問題だ。

「まあ、それもそうだな。メイさん。危険そうなら、断りますがよろしいですか?」
「お母様……」

 ノアールも心配そうにメイを見る。

「……マモルさんに、お任せします。最悪、わたしはこのままでも大丈夫ですので」

 まあ、魔力を封じられて魔法が使えなくても、死ぬことはない。メイには悪いが安全とわかるまでこのままでいてもらおう。
 俺はそう心に決めて、ドアを開けた。

「勝手に開けちゃ駄目ニャ!」

 ネーラが止める前に俺は開けてしまった。
 かっこーん!
 目の前にスパナが飛んできて、反射的に装着したコンバットスーツの頭にぶつかる。
 
「勝手に開けるな! 危ないだろうが! 爆発が城まで届いたら、研究費を減らされるんだぞ!」

 建物の奥から怒鳴り声が聞こえてきた。

「すみません!」

 その声の勢いに反射的に謝ってしまった。

「わかったなら、いい。次から気をつけろ」
「分かりました! すみませんでした」

 なぜか、俺は姿の見えないその声に素直に謝ってしまった。
 
「それで何のようだ? 今なら大丈夫だ、奥に来い」
「ありがとうございます! お伺いさせていただきます!」

 俺はコンバットスーツを着けたまま、その言葉に引っ張られて奥に行くと、そこには少年がいた。
 俺の胸までしか背丈のない、目つきの悪い少年がこちらを見ていた。

「マバスさんは、どちらにいらっしゃいますか?」
「オレがマバスだが? 誰だ、おまえは? ここは機密事項があるんだぞ? 勝手に入ってくるんじゃない」

 少年の姿に見えるマバスはマイナスドライバーを俺に投げつけようと構える。
 いやいや、中に入って良いって言ったのはあんただろう。そう俺が言いかけたとき、ネーラがマバスにあいさつした。

「マバスさん、お久しぶりですニャ。情報収集課のネーラですニャ。こちらは今、魔王軍と同盟を結んでいるマモルですニャ」
「マモル? なんか聞いた名前だな?」
「バララムさんから、聞いていませんか?」
「バララム?」

 目つきの悪い少年は腕組みして、眉に皺を寄せて、しばらく考えたあと、ぽんと手を叩いた。

「ああ、なんか言っていたな……なんか首輪をした女性を連れた性癖爆発の男が来るから、適当に相手をしてくれって言っていたな」

 おい、性癖爆発って何だよ。バララム、真面目な雰囲気で俺をそんな風に見ていたのか? くっそう、まだベレートの方が俺をまともに見ていないか?

「ちょっと、勘違いがありますが、この首輪を外して欲しいのです」
「首輪? どれだ? 見せてみろ」

 俺はメイを呼んで、首輪をマバスに見せると、ちょっと見て言った。

「それで? これを外すのは良いが、報酬は何がもらえるんだ?」

 優しい目をした牛頭のバララムは、代価の交渉は自分でするように言っていたのを俺は思いだした。

「先ほど、研究費用の話をしていましたね。お金で良いですか?」
「金なら一億マルほどもらうが、良いか?」
「ちょっと、それはぼったくり過ぎでしょう」
「軍からの命令でもないし、報酬は好きに決めて良いと言われているからな。さあ、どうする?」

 一億マル。エナジーが隠し持っていた資産で足りるが、あまりにも高い。

「……」
「別にオレは金でなくても良いんだぞ」
「……何が望みですか?」
「その鎧を分解させてくれ」
「嫌です」
「なんでだ? ちゃんと元通りに戻してやる」
「実験で爆発させる人の言葉は信用できません」

 俺はきっぱりと断った。壊されたら俺の力では絶対に修復不可能な、俺の命綱。
 それをちびっこ爆発王子に触らせる訳にはいかない。

「いや~それは、魔力を神気に変換する魔具を作っていたんだから、しょうが無いだろう。完成したら世界初の魔具なんだからな」
「魔力から……神気? ちょっと待ってください」

 俺はマバスから離れて、ナビちゃんに話しかける。

「ナビちゃん、魔力を神気に変換する装置って作れる?」
『作れます』
「一番小さい物で良いんだけど、それを作るのにエネルギーをどれくらい消費する?」
『それで、あれば200%もあれば十分です』

 幸い、ベレートが山ほどエネルギーを分けてくれたエネルギーがある。
 今なら200%程度、問題ないな。

「じゃあ、それを作って欲しい」
『了解!』

 手のひらサイズのラグビーボール型の機械が出てきた。とんがった片方に魔力を注入するともう片方から神気が出てくるらしい。

「ありがとう、ナビちゃん」
『どういたしまして』
「ところで、神気ってなに?」
『魔力は地上の者が使うエネルギーで、神気は天界の者が使うエネルギーです』
「ふ~ん、ありがとう」

 神気がなんなのかよく分からないし、なぜマバスが危険を冒してまで魔力を神気に変えようとしているのか分からないが、これでメイの首輪が外せるならまあ、いいや。
 俺はマバスのところに戻って、変換装置を渡した。

「魔力を神気に変換する装置です。これでメイさんの首輪を外してもらえませんか?」
「はぁ? オレの話を聞いていたか? 世界初の装置だぞ、そんなに簡単に出てくるか!」
「じゃあ、いらないですね。ノアール、ここに魔力を注いでくれ」
「あ、はい」

 俺はあっさりと引いて見せて、ノアールに実際に使わせてみせる。
 マバスは不審そうに神気測定器を持っていた。

「な、なんと! 量はたいしたことないが、確かに神気が放出されている。な、なんでだ?」
「なんでなの? ナビちゃん」

 俺は小声でナビちゃんに聞いてみる。

『魔力のマイナスエネルギーを無理矢理、プラスエネルギーの神気に変換するのでは装置が安定しません。一度、無属性エネルギーに変換して、神気に変換すれば問題なく変換できますよ』

 俺はそのまま伝えると、マバスは目からうろこが落ちたように、キラキラした目で散々、納得していた。

「そうか、変換効率が悪くとも、共通エネルギーに一度変換した方が安定するのか。急がば回れって奴だな」
「それで? メイさんの首輪は外してくれるのか?」
「あ! そんなもん、とっくに外れているぞ」
「へ?」

 マバスの言葉にメイが首輪を触ると簡単に外れて、落ちた。
 初めに触った時にすでに外していたようだった。
 俺、無駄働きか? 200%のエネルギー返せ~!
 俺は心の中で悪態をつきそうになったが、喜ぶノアールを見て、これはこれで良かったのかも知れないと思い直した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...