37 / 52
第37話 異世界の火の勇者はゲーマーだった
しおりを挟む
「ゲームの世界?」
「ほら、やっぱり気がついていない。勇者召喚からの魔王討伐なんて、ゲーム以外であると思っているのか? それにログインしたときに自分の見た目も変わっただろう。この世界はフルダイブロールプレイングゲームに決まってるだろう」
確かに見た目も変わって若くなっているが、それは亀千年にもらったものでキャラメイキングなどしたからではない。
しかし、ここがゲームの世界でないとも言い切れない。俺は炎夏の話に少し興味が湧いた。
「じゃあ、お前も元々はそんな姿じゃないと言うことだな」
「ああ、そうだよ。リアルの僕は中学三年生だよ」
「……なあ、この世界。お前が言うところのこのゲームにログインしたときのことを覚えているか?」
「……それは、家のベッドで横になって……ログインしたけど」
それまで自信満々に話していた炎夏は少し言いよどんだ。
そんな様子を見ながら俺は続けて疑問をぶつけてみた。
「俺はログインした記憶が無いんだが、これって本当にゲームなのか?」
「絶対そうだ。魔族を倒してもNPCを倒しても経験値が入るんだぜ。それに極めつけはこのスキル。見てなよ。リライトコード!!」
その言葉と同時に炎夏の姿はRPGゲームに出てきそうな勇者の格好になった。
鎧兜に聖剣っぽい剣。先ほどまでの炎夏の姿とは全く違っていた。
「何だ、それは?」
「プログラムを書き換えて見た目を変えただけだよ。スキルとはいえこんなことが出来るって、どう考えてもゲームだろう」
ただの変身スキルじゃないのか? それよりも気になることを言っていたな。
「なあ、さっき、NPCって言わなかったか? どういう意味だ?」
「何だ、ゲームしない人? ノンプレーヤーキャラクター。オレたちのようなプレーヤーが操っているキャラクターじゃなくて、コンピューターが操っているキャラクターだよ」
「いや、それくらいは知っている。お前が言うNPCっていうのは普通の人間や非戦闘員の魔族の事を指しているのかって事だ」
「そうだけど? NPCを殺してもペナルティーがないどころか経験値が増えるって事はこのゲームってPK(プレーヤーキラー)も推奨しているって事だよね。キミもいきなり土の勇者を倒したくらいだし」
「お前達勇者は魔族に対するために召喚されたんだ。そしてこれは魔族と人間の戦争でもある。俺も王国騎士を殺したから、そこは文句を言うつもりはない。しかし、経験値を稼ぐために何の関係もない人間や魔族を手にかけたのか?」
俺は不意に腹の底から嫌悪感が湧き上がってきた。
俺もこれまで手が汚れていないわけではない。しかし、俺なりに理由があってのことだった。決して経験値や楽しみのためでは無かった。倒さなくて良いならば、それに越したことはなかった。
しかし、こいつは何の躊躇もなく、それこそゲームのように人や魔族を殺してきたのだろう。そう考えると、俺はこいつが好きになれなかった。
「ゲームキャラに人間も魔族も関係ないだろう。さすがに貴族や王族に手を出すとゲームオーバーやペナルティがある可能性があるから、手を出さなかったけどね。ねえ、ねえ、知っている? 意外と村人でも経験値高いんだよ」
「……それで、いきなり俺を刺して、何をしたいんだ?」
「そうそう、それだよ。その鎧の入手方法を聞こうと思ったんだ。ああ、さっきのナイフに毒を塗っていたから、解毒剤をネタにしようかと思ったんだった。あ! もしかしたら、ワンプレーヤーアイテムかもしれないから、キミが死んだら僕がもらえるかな?」
炎夏は本来の細身の成人男性に戻り、槍を手に構えた。
どうやら炎夏はこれ以上、俺から情報を引き出せないと判断したようだった。
『治療終了です。毒抜きは完了しました』
炎夏の言葉と同時にナビちゃんの力強い声が響く。
「ほら、やっぱり気がついていない。勇者召喚からの魔王討伐なんて、ゲーム以外であると思っているのか? それにログインしたときに自分の見た目も変わっただろう。この世界はフルダイブロールプレイングゲームに決まってるだろう」
確かに見た目も変わって若くなっているが、それは亀千年にもらったものでキャラメイキングなどしたからではない。
しかし、ここがゲームの世界でないとも言い切れない。俺は炎夏の話に少し興味が湧いた。
「じゃあ、お前も元々はそんな姿じゃないと言うことだな」
「ああ、そうだよ。リアルの僕は中学三年生だよ」
「……なあ、この世界。お前が言うところのこのゲームにログインしたときのことを覚えているか?」
「……それは、家のベッドで横になって……ログインしたけど」
それまで自信満々に話していた炎夏は少し言いよどんだ。
そんな様子を見ながら俺は続けて疑問をぶつけてみた。
「俺はログインした記憶が無いんだが、これって本当にゲームなのか?」
「絶対そうだ。魔族を倒してもNPCを倒しても経験値が入るんだぜ。それに極めつけはこのスキル。見てなよ。リライトコード!!」
その言葉と同時に炎夏の姿はRPGゲームに出てきそうな勇者の格好になった。
鎧兜に聖剣っぽい剣。先ほどまでの炎夏の姿とは全く違っていた。
「何だ、それは?」
「プログラムを書き換えて見た目を変えただけだよ。スキルとはいえこんなことが出来るって、どう考えてもゲームだろう」
ただの変身スキルじゃないのか? それよりも気になることを言っていたな。
「なあ、さっき、NPCって言わなかったか? どういう意味だ?」
「何だ、ゲームしない人? ノンプレーヤーキャラクター。オレたちのようなプレーヤーが操っているキャラクターじゃなくて、コンピューターが操っているキャラクターだよ」
「いや、それくらいは知っている。お前が言うNPCっていうのは普通の人間や非戦闘員の魔族の事を指しているのかって事だ」
「そうだけど? NPCを殺してもペナルティーがないどころか経験値が増えるって事はこのゲームってPK(プレーヤーキラー)も推奨しているって事だよね。キミもいきなり土の勇者を倒したくらいだし」
「お前達勇者は魔族に対するために召喚されたんだ。そしてこれは魔族と人間の戦争でもある。俺も王国騎士を殺したから、そこは文句を言うつもりはない。しかし、経験値を稼ぐために何の関係もない人間や魔族を手にかけたのか?」
俺は不意に腹の底から嫌悪感が湧き上がってきた。
俺もこれまで手が汚れていないわけではない。しかし、俺なりに理由があってのことだった。決して経験値や楽しみのためでは無かった。倒さなくて良いならば、それに越したことはなかった。
しかし、こいつは何の躊躇もなく、それこそゲームのように人や魔族を殺してきたのだろう。そう考えると、俺はこいつが好きになれなかった。
「ゲームキャラに人間も魔族も関係ないだろう。さすがに貴族や王族に手を出すとゲームオーバーやペナルティがある可能性があるから、手を出さなかったけどね。ねえ、ねえ、知っている? 意外と村人でも経験値高いんだよ」
「……それで、いきなり俺を刺して、何をしたいんだ?」
「そうそう、それだよ。その鎧の入手方法を聞こうと思ったんだ。ああ、さっきのナイフに毒を塗っていたから、解毒剤をネタにしようかと思ったんだった。あ! もしかしたら、ワンプレーヤーアイテムかもしれないから、キミが死んだら僕がもらえるかな?」
炎夏は本来の細身の成人男性に戻り、槍を手に構えた。
どうやら炎夏はこれ以上、俺から情報を引き出せないと判断したようだった。
『治療終了です。毒抜きは完了しました』
炎夏の言葉と同時にナビちゃんの力強い声が響く。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜
くまみ
ファンタジー
前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?
「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。
仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。
病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。
「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!
「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」
魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。
だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。
「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」
これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。
伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる