28 / 29
第五章 後日談
灯花と逆襲のモンスター
しおりを挟む
天気の良い朝だった。こんな日は仲の良い恋人と散歩できたら、さぞ楽しいだろうなと思える朝だった。
そんな朝、灯花は再び公園に来ていた。
といっても今日は別に正樹を誘ったわけでは無かった。
朝起きたら、灯花のデビルスマホに挑戦状が届いていたのだ。
『勝負を申し込む。決闘だ。場所は公園、朝○時に待つ。俺は必ずお前に復讐する』
と……
「どこの誰なのでしょうね。このわたしに挑戦しようなんて身の程知らずは」
灯花はエリートの悪魔だ。その実力は古参の幹部には及ばなくても、並の悪魔の中では上位だと自負していた。
挑戦状には差出人の名前は無かった。ただ復讐すると書かれていたから、どこかで恨みは買ったのだろう。
思い当たる節は無かったが。
「まったく、こんな暇があったら、正樹さんとデート……いえ、悪魔の使命を果たしに行きたいんですが……」
無視をして逃げたと思われても癪に障る。後の事を考えると早く終わらせるのが一番だろう。
だが、相手の姿が見当たらない。
「逃げたんでしょうか」
灯花は歩いて探そうとする。だが、すぐにどこかから声がして足を止めた。
「逃げずに来たようだな! トウカ・ヴァイアレート!」
「どこですか! 姿を見せなさい!」
灯花は周囲に目を走らせるが、相手の姿が見えない。よほど隠れるのが上手い奴なのだろうか。
慎重に辺りの景色に目を凝らせて探そうとすると、再び声がした。
「ここだよ、ここ!」
「ここ?」
「お前の足元だ!」
「足元? うわっ」
てっきり、木の陰かどこかに隠れていると思っていたので遠くを探してしまっていた。
見下ろすと、すぐ足元に青い丸っこい奴がいた。まさに灯台元暗しだった。
灯花は慌てて飛びのいて距離を取った。
青い奴は円らな瞳をして見上げてきた。
「俺はお前に殺されたスライム8郎の兄、スライム5郎だ!」
「スライム? ああ」
灯花はその時になってやっと以前にスライムを踏んだことを思い出した。
別に悪気があったわけではない。反省はしていない。
「あれは仕方なかったのです。足元にいたから」
「お前に殺された弟の無念、俺が晴らす! 決闘だ!」
「いいでしょう。そこまで言うなら」
挑まれた決闘だ。スライムぐらいなら灯花の力でどうとでも転がせる。
バトルだ!
灯花は鞭を構えてやる気を見せるが、スライムは条件を出してきた。
「だが、スライムの俺がエリート悪魔のお前と普通に戦っても勝ち目は無いだろう。条件を出させてもらうぞ」
「条件?」
相手は弱者だ。ハンデをくれと言うのなら答えてやるのも強者の務めだろう。
スライムは言う。
「弟を倒した技を俺にも掛けてみろ。耐えきったら俺の勝ちだ!」
「倒した技……?」
何か技を使っただろうか。
灯花は考えた。思い出す前に相手が言った。
「とぼけても無駄だ! 見ていた奴がいるんだぞ! その足で俺の弟を踏み殺したのだろう。さあ、俺にもその技を掛けてみろ!」
「さっさと済ませますか」
「ぐほっ、いきなり!」
灯花は足を上げると容赦なくスライムを踏んだ。
もうスライムと話をするのに飽きてきていた。何が楽しくて朝からこんなことをしないといけないのか。早く正樹の家に行きたかった。
スライムを容赦なく踏む。踏む。踏みつぶそうとねじり込む。だが、スライムはなかなか潰れなかった。
スライムは強気に叫ぶ。
「どうした、トウカ! その程度か! 弟の苦しみはこんなものじゃなかったはずだ。弟を倒した力を見せてみろよ!」
「うるさいですね。それがお望みなら、くれてあげますか」
「ぐあああああ!」
灯花はさらに踏む足の力を強めた。
足の裏で踏まれているスライムが悲鳴を上げる。
何が楽しくてこんなことをしないといけないのか。早く終わらせてしまおう。
灯花は冷酷と知られる悪魔だったが、他者の命を奪うことを喜べるほど残忍でも無かった。だが、相手の望みを聞いてやる慈悲ぐらいは持っていた。
精一杯にスライムを踏む。踏んでやる。
「ん、固いですね」
「どうした、トウカ! エリートと言ってもその程度か! 弟は踏みつぶせても俺は踏みつぶせないようだな!」
「うるさいですよ」
灯花はさらに容赦なく踏んだ。ぐりぐりとねじり込み、さらに力を入れて一気に踏み抜いた。
スライムはよく耐えたが、ついにライフが0になった。
よく頑張ったと褒めるべきだろうが、しょせんはスライムだ。灯花の敵ではない。
踏みつぶされたスライムの姿が光となって消えていく。
「やっとくたばりましたか……」
「よくやってくれたな、トウカ。だが、復讐はこれで終わりではない。俺の兄弟はまだまだいるぞ。必ず誰かが俺達の無念を晴らすだろう。先に地獄で待っているぞ」
「ええーーー」
灯花は自分がスライムのような弱者になど負けるわけがないとは思っていたが、面倒な奴に目を付けられたなと思ったのだった。
そんな朝、灯花は再び公園に来ていた。
といっても今日は別に正樹を誘ったわけでは無かった。
朝起きたら、灯花のデビルスマホに挑戦状が届いていたのだ。
『勝負を申し込む。決闘だ。場所は公園、朝○時に待つ。俺は必ずお前に復讐する』
と……
「どこの誰なのでしょうね。このわたしに挑戦しようなんて身の程知らずは」
灯花はエリートの悪魔だ。その実力は古参の幹部には及ばなくても、並の悪魔の中では上位だと自負していた。
挑戦状には差出人の名前は無かった。ただ復讐すると書かれていたから、どこかで恨みは買ったのだろう。
思い当たる節は無かったが。
「まったく、こんな暇があったら、正樹さんとデート……いえ、悪魔の使命を果たしに行きたいんですが……」
無視をして逃げたと思われても癪に障る。後の事を考えると早く終わらせるのが一番だろう。
だが、相手の姿が見当たらない。
「逃げたんでしょうか」
灯花は歩いて探そうとする。だが、すぐにどこかから声がして足を止めた。
「逃げずに来たようだな! トウカ・ヴァイアレート!」
「どこですか! 姿を見せなさい!」
灯花は周囲に目を走らせるが、相手の姿が見えない。よほど隠れるのが上手い奴なのだろうか。
慎重に辺りの景色に目を凝らせて探そうとすると、再び声がした。
「ここだよ、ここ!」
「ここ?」
「お前の足元だ!」
「足元? うわっ」
てっきり、木の陰かどこかに隠れていると思っていたので遠くを探してしまっていた。
見下ろすと、すぐ足元に青い丸っこい奴がいた。まさに灯台元暗しだった。
灯花は慌てて飛びのいて距離を取った。
青い奴は円らな瞳をして見上げてきた。
「俺はお前に殺されたスライム8郎の兄、スライム5郎だ!」
「スライム? ああ」
灯花はその時になってやっと以前にスライムを踏んだことを思い出した。
別に悪気があったわけではない。反省はしていない。
「あれは仕方なかったのです。足元にいたから」
「お前に殺された弟の無念、俺が晴らす! 決闘だ!」
「いいでしょう。そこまで言うなら」
挑まれた決闘だ。スライムぐらいなら灯花の力でどうとでも転がせる。
バトルだ!
灯花は鞭を構えてやる気を見せるが、スライムは条件を出してきた。
「だが、スライムの俺がエリート悪魔のお前と普通に戦っても勝ち目は無いだろう。条件を出させてもらうぞ」
「条件?」
相手は弱者だ。ハンデをくれと言うのなら答えてやるのも強者の務めだろう。
スライムは言う。
「弟を倒した技を俺にも掛けてみろ。耐えきったら俺の勝ちだ!」
「倒した技……?」
何か技を使っただろうか。
灯花は考えた。思い出す前に相手が言った。
「とぼけても無駄だ! 見ていた奴がいるんだぞ! その足で俺の弟を踏み殺したのだろう。さあ、俺にもその技を掛けてみろ!」
「さっさと済ませますか」
「ぐほっ、いきなり!」
灯花は足を上げると容赦なくスライムを踏んだ。
もうスライムと話をするのに飽きてきていた。何が楽しくて朝からこんなことをしないといけないのか。早く正樹の家に行きたかった。
スライムを容赦なく踏む。踏む。踏みつぶそうとねじり込む。だが、スライムはなかなか潰れなかった。
スライムは強気に叫ぶ。
「どうした、トウカ! その程度か! 弟の苦しみはこんなものじゃなかったはずだ。弟を倒した力を見せてみろよ!」
「うるさいですね。それがお望みなら、くれてあげますか」
「ぐあああああ!」
灯花はさらに踏む足の力を強めた。
足の裏で踏まれているスライムが悲鳴を上げる。
何が楽しくてこんなことをしないといけないのか。早く終わらせてしまおう。
灯花は冷酷と知られる悪魔だったが、他者の命を奪うことを喜べるほど残忍でも無かった。だが、相手の望みを聞いてやる慈悲ぐらいは持っていた。
精一杯にスライムを踏む。踏んでやる。
「ん、固いですね」
「どうした、トウカ! エリートと言ってもその程度か! 弟は踏みつぶせても俺は踏みつぶせないようだな!」
「うるさいですよ」
灯花はさらに容赦なく踏んだ。ぐりぐりとねじり込み、さらに力を入れて一気に踏み抜いた。
スライムはよく耐えたが、ついにライフが0になった。
よく頑張ったと褒めるべきだろうが、しょせんはスライムだ。灯花の敵ではない。
踏みつぶされたスライムの姿が光となって消えていく。
「やっとくたばりましたか……」
「よくやってくれたな、トウカ。だが、復讐はこれで終わりではない。俺の兄弟はまだまだいるぞ。必ず誰かが俺達の無念を晴らすだろう。先に地獄で待っているぞ」
「ええーーー」
灯花は自分がスライムのような弱者になど負けるわけがないとは思っていたが、面倒な奴に目を付けられたなと思ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる