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1章.現代
15.
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今日なんと晴一より早く目が覚めた。眠り過ぎたせいもあるだろうけど楽しみだったから。晴一はまだ寝てる。
「ひげ伸びてる。」
顎をさわるとチクチクする。今何時かな。外は明るいからそんなに早くないとは思うんだけど。こんなにじっくり晴一の顔を見たことないからと、さっきからじーっと見ているが起きる気配はない。ちょっとつまらなくなって頬や鼻とか触ってみる。唇をふにふにと摘まんでいたら手を取られた。
「誰だ。いたずらしてるのは。」
まだ、眠りから完全に覚めてないのか、半分目が閉じた状態の晴一が僕の顔にチュッ、チュッと音をたてて唇を付けてくる。嬉しくて僕も瞼にお返しをした。
「ヤバい。完全に目が覚めた。」
ぎゅっと抱き締められて更に唇が降り注ぐ。
「ちょっとだけ長いキスしていいか?」
この行為ってキスだったんだ。晴一の癖かと思ってた。
「長い短いってあるの?」
チュッと唇にキスをしてくる。
「これが短いキス。で、これが…」
唇が重なる。そして唇を舐められる息が苦しくなって口を開けると晴一の舌が入ってきた。びっくりして舌を引っ込めると追いかけるように、晴一の舌が絡んできた。クチュクチュと音がする。息が苦しくなって腕を掴むと唇を離れた。
「くるしぃ…。」
ははって笑って鼻で息してと言うと、もう一度と深く口付けられた。歯の裏側まで舐められてぴくっと反応すると背中を撫でられぼーっとしてきた。
「これ以上やったら俺がヤバいな。」
ぽんぽんと背中を叩かれ終わりになった。涼しい顔して準備してくると出ていってしまった。酸素が足りなくてクラクラした。あれが長いキス。嵐の中に放り込まれたようだった。ドキドキが止まらない。
「今日1日僕の心臓持つかな?」
準備して部屋に帰ってきた晴一が僕にと服を持ってきた。白いシャツにジーンズ。靴下にスニーカーだ。サイズもぴったりだった。よく見ると晴一と同じ格好だった。いつから準備してたんだろう?
着てきた服でいいよと、言ったらデートだからと押しきられた。季節は夏なので帽子も被らされ車に乗せられた。
「これ晴一の車?」
「そう、家から車で通ってるからね。」
車に詳しくないけど外車だ。ハンドルが逆だから。晴一大きいから外車じゃないときっと窮屈だろうし。日本の軽自動車に乗ってたらと想像したら可笑しくなった。
「また、変なこと想像してないか?」
何でバレるかなぁ。この車晴一の匂いがする。僕の右手は晴一の左手に捕まっている。デートは手を繋ぐのが当たり前と言われて、乗ったときからこの状態。あのキスからずっと晴一にドキドキしてるから、離してほしいけど指が絡み合うように握られていて、さっきからドキドキが伝わるんじゃないかと心配してる。
「優は、顔に出るから分かりやすい。一見無表情に見えるんだけどな。」
そっかだからあの人にすぐに気付かれてしまうのか。気を付けないと。
それから映画始まるまで、見るときに食べる物とか飲み物を買った。ポップコーンは初めて食べる。何味がいいか聞かれたけど、食べたことないと言うとびっくりしていた。今度作ってやると言われた。一番人気のキャラメル味にした。
薄暗い席に座ってあのシリーズの最新作を見る。右手は繋いだままで、ポップコーンは間に置いた。始まると大画面で見る迫力に僕は、ずっと晴一の手をぎゅっと握りしめていた。映画が終わり店内が明るくなる。気付くと腕に抱きつく形で手を握りしめていた。ポップコーンは甘くて美味しかったけど、結局最初に食べてから映画に夢中で全く食べてなかった。晴一が全部食べてくれた。
「あっ、ごめん。痛くなかった?」
手を離そうとすると晴一が離さないと握りこんできた。
「ははっ、大丈夫。優、映画見るときはいつもこんな感じだぞ。」
うっ、知らなかった。パンフレットも買いたかったが、持って帰るとあの人に捨てられるのが分かっていたので晴一が買って、俺が持ってるからいつでも見ていいと言ってくれた。それに熊のキーホルダー。これは主人公を危ない場面になると現れるヒールという熊の魔法使い。捨てられるかもと思ったけどこの小さな、ぬいぐるみのキーホルダーだったら隠して持って帰れる。嬉しくて子供のようにはしゃいで定員さんに笑われた。
それから予約してあるレストランに向かう。向かうまで僕は映画を見たことに興奮してて、ずっと晴一に腕を絡ませ映画の感想を言ってた気がする。終始晴一はニコニコしていた。
「何が食べたい?」
「晴一が作らないんだったら、別に何でもいい。」
メニューを見ていた晴一がメニュー表で見えなくなった。ガバッと顔を上げた晴一の顔が赤くなってる。
「今日死ぬかもしれない…。」
「えっ?大丈夫?もう帰ろう。晴一、病院行こう。」
そういう意味じゃないからと、慌てて止められた。晴一が病気だったら大変なのに。
晴一がメニューを決めてくれて、鯵フライ定食を2つ頼む。いつも洋食が多いから新鮮な鯵はホクホクして美味しかった。でも、晴一のご飯が食べたいと思った。食べている間も映画の話で盛り上がり、食べきれないご飯は晴一が食べてくれた。
お腹いっぱいで近くの公園に飲み物を買って休憩する。
「晴一、今日はありがとう。今までの人生で一番嬉しかった。一生の思い出になったよ。本当にありがとう。」
お礼を言うと晴一は辛そうな顔をする。たまに見る顔だ。そんな顔をしないでほしくて、僕は晴一の頬に手を当てる。
「優、これからだってもっといい思い出は作れる。俺が作ってやる。」
晴一が頬に当ててた手をとり真剣な顔で
「優、高校を出たら一緒に暮らしてほしい。好きだ。ずっと一緒にいよう。」
嬉しかった。でも僕は首を振る。そんなことは無理だから。晴一、僕は信じられないんだ。今まで信じても叶うことはなかった。裏切られたくはないんだ。晴一は僕の手を強く握りしめ誓うように、キスをしてくれた。
僕はこの日を一生忘れない。
この一週間が終わった後から、僕は晴一と会うことはなかった。
「ひげ伸びてる。」
顎をさわるとチクチクする。今何時かな。外は明るいからそんなに早くないとは思うんだけど。こんなにじっくり晴一の顔を見たことないからと、さっきからじーっと見ているが起きる気配はない。ちょっとつまらなくなって頬や鼻とか触ってみる。唇をふにふにと摘まんでいたら手を取られた。
「誰だ。いたずらしてるのは。」
まだ、眠りから完全に覚めてないのか、半分目が閉じた状態の晴一が僕の顔にチュッ、チュッと音をたてて唇を付けてくる。嬉しくて僕も瞼にお返しをした。
「ヤバい。完全に目が覚めた。」
ぎゅっと抱き締められて更に唇が降り注ぐ。
「ちょっとだけ長いキスしていいか?」
この行為ってキスだったんだ。晴一の癖かと思ってた。
「長い短いってあるの?」
チュッと唇にキスをしてくる。
「これが短いキス。で、これが…」
唇が重なる。そして唇を舐められる息が苦しくなって口を開けると晴一の舌が入ってきた。びっくりして舌を引っ込めると追いかけるように、晴一の舌が絡んできた。クチュクチュと音がする。息が苦しくなって腕を掴むと唇を離れた。
「くるしぃ…。」
ははって笑って鼻で息してと言うと、もう一度と深く口付けられた。歯の裏側まで舐められてぴくっと反応すると背中を撫でられぼーっとしてきた。
「これ以上やったら俺がヤバいな。」
ぽんぽんと背中を叩かれ終わりになった。涼しい顔して準備してくると出ていってしまった。酸素が足りなくてクラクラした。あれが長いキス。嵐の中に放り込まれたようだった。ドキドキが止まらない。
「今日1日僕の心臓持つかな?」
準備して部屋に帰ってきた晴一が僕にと服を持ってきた。白いシャツにジーンズ。靴下にスニーカーだ。サイズもぴったりだった。よく見ると晴一と同じ格好だった。いつから準備してたんだろう?
着てきた服でいいよと、言ったらデートだからと押しきられた。季節は夏なので帽子も被らされ車に乗せられた。
「これ晴一の車?」
「そう、家から車で通ってるからね。」
車に詳しくないけど外車だ。ハンドルが逆だから。晴一大きいから外車じゃないときっと窮屈だろうし。日本の軽自動車に乗ってたらと想像したら可笑しくなった。
「また、変なこと想像してないか?」
何でバレるかなぁ。この車晴一の匂いがする。僕の右手は晴一の左手に捕まっている。デートは手を繋ぐのが当たり前と言われて、乗ったときからこの状態。あのキスからずっと晴一にドキドキしてるから、離してほしいけど指が絡み合うように握られていて、さっきからドキドキが伝わるんじゃないかと心配してる。
「優は、顔に出るから分かりやすい。一見無表情に見えるんだけどな。」
そっかだからあの人にすぐに気付かれてしまうのか。気を付けないと。
それから映画始まるまで、見るときに食べる物とか飲み物を買った。ポップコーンは初めて食べる。何味がいいか聞かれたけど、食べたことないと言うとびっくりしていた。今度作ってやると言われた。一番人気のキャラメル味にした。
薄暗い席に座ってあのシリーズの最新作を見る。右手は繋いだままで、ポップコーンは間に置いた。始まると大画面で見る迫力に僕は、ずっと晴一の手をぎゅっと握りしめていた。映画が終わり店内が明るくなる。気付くと腕に抱きつく形で手を握りしめていた。ポップコーンは甘くて美味しかったけど、結局最初に食べてから映画に夢中で全く食べてなかった。晴一が全部食べてくれた。
「あっ、ごめん。痛くなかった?」
手を離そうとすると晴一が離さないと握りこんできた。
「ははっ、大丈夫。優、映画見るときはいつもこんな感じだぞ。」
うっ、知らなかった。パンフレットも買いたかったが、持って帰るとあの人に捨てられるのが分かっていたので晴一が買って、俺が持ってるからいつでも見ていいと言ってくれた。それに熊のキーホルダー。これは主人公を危ない場面になると現れるヒールという熊の魔法使い。捨てられるかもと思ったけどこの小さな、ぬいぐるみのキーホルダーだったら隠して持って帰れる。嬉しくて子供のようにはしゃいで定員さんに笑われた。
それから予約してあるレストランに向かう。向かうまで僕は映画を見たことに興奮してて、ずっと晴一に腕を絡ませ映画の感想を言ってた気がする。終始晴一はニコニコしていた。
「何が食べたい?」
「晴一が作らないんだったら、別に何でもいい。」
メニューを見ていた晴一がメニュー表で見えなくなった。ガバッと顔を上げた晴一の顔が赤くなってる。
「今日死ぬかもしれない…。」
「えっ?大丈夫?もう帰ろう。晴一、病院行こう。」
そういう意味じゃないからと、慌てて止められた。晴一が病気だったら大変なのに。
晴一がメニューを決めてくれて、鯵フライ定食を2つ頼む。いつも洋食が多いから新鮮な鯵はホクホクして美味しかった。でも、晴一のご飯が食べたいと思った。食べている間も映画の話で盛り上がり、食べきれないご飯は晴一が食べてくれた。
お腹いっぱいで近くの公園に飲み物を買って休憩する。
「晴一、今日はありがとう。今までの人生で一番嬉しかった。一生の思い出になったよ。本当にありがとう。」
お礼を言うと晴一は辛そうな顔をする。たまに見る顔だ。そんな顔をしないでほしくて、僕は晴一の頬に手を当てる。
「優、これからだってもっといい思い出は作れる。俺が作ってやる。」
晴一が頬に当ててた手をとり真剣な顔で
「優、高校を出たら一緒に暮らしてほしい。好きだ。ずっと一緒にいよう。」
嬉しかった。でも僕は首を振る。そんなことは無理だから。晴一、僕は信じられないんだ。今まで信じても叶うことはなかった。裏切られたくはないんだ。晴一は僕の手を強く握りしめ誓うように、キスをしてくれた。
僕はこの日を一生忘れない。
この一週間が終わった後から、僕は晴一と会うことはなかった。
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