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2章.転生
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『は…とり…はとり。』
どこかで僕を呼ぶ声がする。羽鳥?僕の名字?懐かしい。羽鳥って呼ばれるのは何年くらいぶりだろう。でも、誰が呼んでるの?
目を開ける。久しぶりに光が見える。目が見えてる?
しかも見覚えある人が立っている。藤崎くん?
「羽鳥…久しぶりだな。」
「藤崎くん?」
死んでから何年経っているか分からないけど、高校時代と変わらない藤崎くんが僕の前に立っていた。
「時間がないから手短に言う。お前は転生した。その世界にお前の命を狙ってる人がいる…。お前を手に入れようと…ゆがんでしまったんだ…お前が死んだことで。気をつけてくれ。周りに絶対お前を守ってくれる人がいる。今度は絶対幸せになってほしい。」
早口で言われて理解が出来ない。
「待ってよ。何を言ってるの?僕を殺そうとしてる人?藤崎くんが何でそんなこと知ってるの?」
「俺も死んだんだ。俺はちゃんと寿命で。お前が何で死んだかも誰も教えてくれなかった…お前の苦しみも知らないで…俺はお前が与えられるはずだった幸せを奪ったんだ。すまない…。」
「もう、終わったことだよ。今、僕幸せだよ。」
「いや、そっちに…あの人が…くそっ、あの人が邪魔しやがる。女神に俺が転生する前に会わせてくれとお願いしたんだ。謝りたかった。本当にすまなかった。ごめんな。羽鳥…お前に…ヤバいそろそろ…絶対今度こそ幸せになってくれ…諦めないで…その目も傷付いてるだけだ。傷が癒えれば見える…今度こそ…おに…ちゃん…幸せになっ…て…」
消えてしまった。消えると同時に光が消える。また真っ暗になる。すると声が聞こえる。藤崎くんとは違う声…聞いたことがあるような。
「ゆ…う。ゆう…ここにおいで…」
怖い。誰?腕を掴まれる。この人なの僕の命を狙ってる人?川で溺れた時と同じような気がした。腕を振り払ってるのに振りほどけない。パパ、ママ、助けて…晴一…。
するとあの匂いがした。この人の元に行きたい。この匂いの近くに。匂いの方に掴まれてない手を伸ばす。
「大丈夫か。」
目が覚めるとラウルさんの声がした。何でラウルさんがいるの?ピクニックから会ったことがなかった。
「ユウ君大丈夫か?メーレンさんもすぐ来るから。」
僕は窓ガラスにぶつかって、頭から血を流して倒れたらしい。しかもその時、たまたま近くを歩いていたラウルさんが、ガラスの割れる音に気づいて入ってきたみたいで。ラウルさんは家にパパの伝言を伝えに行く途中だったらしい。
「団長の子供、お前から魔物の気配がした。何かあったか?」
魔物の気配。あの声に掴まれた右手が震える。
藤崎くんが言ってた僕を手に入れようとするあの人って。でも、いきなり女神にとか言われても信じられない。あれは僕が見た前世の夢なのかもしれない。藤崎くんが出てくる幻なのかも。現実と夢かわからなくなる。まるで本の中の世界。転生、魔法、魔物。もしかしてこの世界も僕の見ている夢の中だったりする?
「おい、聞いてるのか?何を震えてるんだ。寒いのか?」
ラウルさんが寝ている僕を抱き抱えた。
「冷えてるじゃないか。おい、毛布とかないのか?」
マッテイスさんが持ってきますと出ていった。あの匂いに包まれる。やっぱり僕はこの人のそばにいたい。胸の中に顔を埋める。離れたくない。
「おい、お前のお母さんじゃないぞ。そんなに引っ付くな。お…い。」
引き離されそうになってしがみつく。慌ててるラウルさんがちょっと可愛い。
「ユウ!!」
ママの声が聞こえた。離れたくなかったけどママに手を伸ばす。
「怪我したってユウ…。どうしてこんなことに?」
「ママ…。」
額が痛い。きっと怪我してる。周りに迷惑かけて何をやってるんだ僕は。身体が温かくなる。ママの治癒魔法だ。
「ユウその右手首は?ラウルくん家の子をこんなに強く握ったんですか?」
ママが怒ってる。指痕まで付いてるとラウルさんに詰めよってる。手首に指痕?あれは夢じゃない?
「俺は寒そうにしていたから、抱き抱えただけだ。手首なんて触ってない。」
ゾクッとした。藤崎くんが言ってたあの人って…あの人のことだろう。僕を殺そうとしている?僕が本当に憎いんだろう。虐待を受けていた過去を思い出す。また閉じ込める気なんだ。藤崎くんが言ってた、手に入れるって。昔の癖で丸くなる。身体を小さく、蹴られる範囲を小さくして顔を守って。身体が震える。
「どうした?寒いのか。」
「ユウ、ママが抱っこするからこっちにおいで。」
周りの声も聞こえないように耳を塞ぐ。聞きたくないなのに、頭の中にあの人の声が聞こえる。『お前の幸せだと思うことは絶対与えない』
やっと幸せに過ごせると思ったのに。
「…たすけて…」
ずっと言いたかった言葉。叶わない言葉。
「ユウ助けるよ。誰からも。ユウを傷つけさせたりはしない!!ママが守る。」
「お前みたいな小さなガキくらい俺が守ってやるから。大丈夫だ。」
二人の温かい手が頭に乗せられる。
「ママぁ~怖いんだ。僕…ずっとずっと…。」
わんわん泣き出した僕を二人は泣き止むまでずっと待っててくれた。守ってくれる人がこの世界にはいるよ。僕の弟…藤崎くん…
どこかで僕を呼ぶ声がする。羽鳥?僕の名字?懐かしい。羽鳥って呼ばれるのは何年くらいぶりだろう。でも、誰が呼んでるの?
目を開ける。久しぶりに光が見える。目が見えてる?
しかも見覚えある人が立っている。藤崎くん?
「羽鳥…久しぶりだな。」
「藤崎くん?」
死んでから何年経っているか分からないけど、高校時代と変わらない藤崎くんが僕の前に立っていた。
「時間がないから手短に言う。お前は転生した。その世界にお前の命を狙ってる人がいる…。お前を手に入れようと…ゆがんでしまったんだ…お前が死んだことで。気をつけてくれ。周りに絶対お前を守ってくれる人がいる。今度は絶対幸せになってほしい。」
早口で言われて理解が出来ない。
「待ってよ。何を言ってるの?僕を殺そうとしてる人?藤崎くんが何でそんなこと知ってるの?」
「俺も死んだんだ。俺はちゃんと寿命で。お前が何で死んだかも誰も教えてくれなかった…お前の苦しみも知らないで…俺はお前が与えられるはずだった幸せを奪ったんだ。すまない…。」
「もう、終わったことだよ。今、僕幸せだよ。」
「いや、そっちに…あの人が…くそっ、あの人が邪魔しやがる。女神に俺が転生する前に会わせてくれとお願いしたんだ。謝りたかった。本当にすまなかった。ごめんな。羽鳥…お前に…ヤバいそろそろ…絶対今度こそ幸せになってくれ…諦めないで…その目も傷付いてるだけだ。傷が癒えれば見える…今度こそ…おに…ちゃん…幸せになっ…て…」
消えてしまった。消えると同時に光が消える。また真っ暗になる。すると声が聞こえる。藤崎くんとは違う声…聞いたことがあるような。
「ゆ…う。ゆう…ここにおいで…」
怖い。誰?腕を掴まれる。この人なの僕の命を狙ってる人?川で溺れた時と同じような気がした。腕を振り払ってるのに振りほどけない。パパ、ママ、助けて…晴一…。
するとあの匂いがした。この人の元に行きたい。この匂いの近くに。匂いの方に掴まれてない手を伸ばす。
「大丈夫か。」
目が覚めるとラウルさんの声がした。何でラウルさんがいるの?ピクニックから会ったことがなかった。
「ユウ君大丈夫か?メーレンさんもすぐ来るから。」
僕は窓ガラスにぶつかって、頭から血を流して倒れたらしい。しかもその時、たまたま近くを歩いていたラウルさんが、ガラスの割れる音に気づいて入ってきたみたいで。ラウルさんは家にパパの伝言を伝えに行く途中だったらしい。
「団長の子供、お前から魔物の気配がした。何かあったか?」
魔物の気配。あの声に掴まれた右手が震える。
藤崎くんが言ってた僕を手に入れようとするあの人って。でも、いきなり女神にとか言われても信じられない。あれは僕が見た前世の夢なのかもしれない。藤崎くんが出てくる幻なのかも。現実と夢かわからなくなる。まるで本の中の世界。転生、魔法、魔物。もしかしてこの世界も僕の見ている夢の中だったりする?
「おい、聞いてるのか?何を震えてるんだ。寒いのか?」
ラウルさんが寝ている僕を抱き抱えた。
「冷えてるじゃないか。おい、毛布とかないのか?」
マッテイスさんが持ってきますと出ていった。あの匂いに包まれる。やっぱり僕はこの人のそばにいたい。胸の中に顔を埋める。離れたくない。
「おい、お前のお母さんじゃないぞ。そんなに引っ付くな。お…い。」
引き離されそうになってしがみつく。慌ててるラウルさんがちょっと可愛い。
「ユウ!!」
ママの声が聞こえた。離れたくなかったけどママに手を伸ばす。
「怪我したってユウ…。どうしてこんなことに?」
「ママ…。」
額が痛い。きっと怪我してる。周りに迷惑かけて何をやってるんだ僕は。身体が温かくなる。ママの治癒魔法だ。
「ユウその右手首は?ラウルくん家の子をこんなに強く握ったんですか?」
ママが怒ってる。指痕まで付いてるとラウルさんに詰めよってる。手首に指痕?あれは夢じゃない?
「俺は寒そうにしていたから、抱き抱えただけだ。手首なんて触ってない。」
ゾクッとした。藤崎くんが言ってたあの人って…あの人のことだろう。僕を殺そうとしている?僕が本当に憎いんだろう。虐待を受けていた過去を思い出す。また閉じ込める気なんだ。藤崎くんが言ってた、手に入れるって。昔の癖で丸くなる。身体を小さく、蹴られる範囲を小さくして顔を守って。身体が震える。
「どうした?寒いのか。」
「ユウ、ママが抱っこするからこっちにおいで。」
周りの声も聞こえないように耳を塞ぐ。聞きたくないなのに、頭の中にあの人の声が聞こえる。『お前の幸せだと思うことは絶対与えない』
やっと幸せに過ごせると思ったのに。
「…たすけて…」
ずっと言いたかった言葉。叶わない言葉。
「ユウ助けるよ。誰からも。ユウを傷つけさせたりはしない!!ママが守る。」
「お前みたいな小さなガキくらい俺が守ってやるから。大丈夫だ。」
二人の温かい手が頭に乗せられる。
「ママぁ~怖いんだ。僕…ずっとずっと…。」
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