幸せはあなたと

ヒイロ

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2章.転生

29.

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「お誕生日おめでとう。」

今日は、僕達の家で誕生日会が開かれた。朝から不安で仕方なかった。今日で何かが終わるのか始まるのか…。

誕生日会をすると言ったら騎士団の人達も来ると言い出したらしく、朝から成人のお祝いと言って家にプレゼントをもって来てくれた。ありがとうございます。と何度も言ってる気がする。

「疲れたか?」

「大丈夫。僕のために来てくれたんだもん。」

僕のために人が来てくれるなんて思ってもみなかった。

「ユウはお母さんに似て美人だし。ラウル今度の実践訓練もう少しレベルをあげるか?」

「もちろんです。結婚したユウを変な目でみないように、強化訓練をすべきですね。」

何故?プレゼントを持って来てくれただけでそうなるの?

「二人ともやめなよ。」

「お前にもちょっかい掛ける若いのもいるからなぁー。そんな気力が起きないように強化訓練するしかないな。」

お父さんがそう言うとお母さんが楽しそうに言い出した。

「私が訓練参加しましょうか?」

「いや…みんな救護室に行く羽目になるから止めといた方がいいな…」

お母さんが一番強いってこと?

「レネさんが一番容赦ないんだ。立ち上がれる気力すらなくなるから。みんな担架で運ばれるらしい。みんなレネさんを怖がってる。」

こっそりラウルさんが教えてくれる。お母さん怒ると怖いからなぁ。家でもお母さんが強くて何があっても最後はお父さんが折れるから。二人でクスクスと笑ってると

「ラウルくんも僕と訓練する?」

「えっーと…遠慮しときます。」

お父さんが笑い出す。僕も可笑しくて笑ってるとお母さんから耳を引っ張られた。

午前中はプレゼントを持って来る人の対応に追われた。救護室のみんなも入れ替わりで来てくれておめでとうと言われた。人と関わらず過ごしてきた前世とは違う。もう僕はこの世界の人として生きているんだと思えた。誕生日が終わったら前世は忘れていいんじゃないかと思えた。

お昼はラウルさんが作ってくれた、豪華なランチを食べていると急に三人が立ち上がった。伝書鳥の声が聞こえる。

「マチニマモノガアラワレタ シキュウキテクレ」

「俺が行きます。二人はここでユウを守ってください。」

ラウルさんがすぐに動く。

「俺が行く。」

お父さんが止めるが

「俺の方が早く現場に行けます。すぐに状況は連絡します。今日は三人一緒がいい。」

「ラウルさん…」

心配で腕を掴む。背中を撫でられて強く抱き締められる。

「大丈夫だ。すぐに戻る。ユウ…愛してる。」

「うん。僕も愛してる。」

「何かあったらすぐに連絡しろ。」

「わかりました。では。」

転移魔法を使ったんだろう。消えるまでずっと愛してると言ってくれた。

「何かおかしい。急に街に魔物が現れるなんて。」

「そうだね。誰かが…。」

二人で話をしているが僕には聞こえてこない。それより早く指輪を取りに行かないと。

「ユウ?どこに行くの?」

「指輪…。」

2階に向かう。早く早く指輪を取りに。

「ユウどうしたんだ!!」

「ユウ待って!!どうしたの!」

お父さんとお母さんが追いかけてくる。

2階の部屋に入り本棚の奥の指輪を取って指にはめた。

「ユウくん。良くできました。」

「はい。」

先生が誉めてくれた。
僕の後を追いかけて来た二人が部屋に入ってくる。

「この部屋…。」

「レネ?」

二人が戸惑っている。

「この部屋ここではない何処かと繋がってます。」

「そんなことができるのか?」

「かなり高度の魔法ですね。闇の魔法…。」

先生が僕の肩を抱く。

「ユウ?誰?その人…」

「君は誰だ!!ユウこっちに来なさい!その人から離れるんだ!」

二人とも何を言ってるんだろう…イラリ先生なのに。

「先生だよ。」

「イラリ?イラリは狐の獣人だ。その人ではない。ユウこっちに来るんだ。」

狐の獣人だったんだ先生は。でも何故先生を違う人と言うんだろう?

「ユウの隣にいる人は獣人ではない。そんな耳は見たことないし、しっぽだってないんだ。」

まるで人間みたいだなと思ったけど、僕は見えないから違うと言われてもわからない。

「先生…。」

「大丈夫ですよ。この二人は忘れているだけですから。俺はずっと覚えているのに…この女は!!」

先生が怒りを露にする。

「僕はこんな人は知らない。ユウ騙されちゃ駄目だよ。お母さんの所においで。」

そう言われても、お母さんに従うことが出来ない。

「はははっ。どっちが騙してるんだか!!ユウくんあの女は嘘つきだからね。君がよく知ってるでしょ。エヴァルドも騙されてる。」

「何を言ってる。俺が騙されてるわけないだろう。レネは俺の番だ!!」

「番?確かに番だね。でも貴方はそのせいで苦しんだでしょ。貴方もその人のせいで…その女のせいで…。」

「言ってる意味が分からない。ユウを返してもらいます。」

お母さんが詠唱を始める。

「ユウくんさあ魔法を使って。」

先生の言葉しか聞けない。

「ユウに何をした!!」

「ラウルくんが出ていったら指輪を取りに来るようにと言っただけですよ。」

「じゃあ…街に出たという魔物は…」

「そう俺が準備しました。ラウルくんが邪魔でしたからね。さすがにラウルくんがいるとユウくんを守られてしまいますから。しかも俺が魔物をいくら使っても三人でバッタバッタ倒してくれるもんだから、かなり数が減りましたよ。」

「ふざけるな!!」

「元獣人ですからね…可愛そうに…今日の魔物は強いですよ。なんせラウルくんのお父さんですから。」

「元獣人…お前は一体何者なんだ!!」

「あなたが…一番知ってるのに…。」

先生が悲しそうな声で呟く。僕は先生の言う通り指輪に入ってる魔法を使う。

「魔法よ出て。」

お母さんが詠唱止めてしまった。そして僕の魔法はお母さんに掛かった。

「はははははっ。契約の魔法が掛かった。この世界ではちゃんとあんたも母親やってたんだね…さん。」
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