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2章.転生
28.
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両親にも報告をした。二人とも喜んでくれて、その後ラウルさんと首輪を買いに行った。店員さんは僕を見てすごく心配してくれた。
「すみません。覚えていないんですが、大変ご迷惑をかけたみたいで。」
「いえ。元気そうでよかったです。」
本当に心配してくれてる。ありがとうございますとお礼を言うと、この間来たときに決めた首輪を出された。記憶がないけど僕が決めたらしく、ラウルさんにピッタリの首輪だと思った。
「これと同じデザインでピアスとアンクレットとブレスレットと作れるか?」
「はい。お作りできます。」
店員のモイミールさんが3日後には出来ると言う。
「首輪は一生の物なんです。お互いに信頼し愛し合って番の証として着けていくもの。私達の作った首輪をしている人を見ると、私はこの仕事をしていて良かったと思えるんです。皆幸せになって欲しいと願いながらお作りします。それはどんな形でも。だからぜひ私達に作らせてください。」
「ありがとうございます。お願いします。」
首輪を作らないことは触れずに、僕のサイズを計ってくれる。ラウルさんが側で肩を抱いてくれる。いつか着けることが出来るようになったら、モイミールさんに作ってもらおうと思った。
首輪も出来てラウルさんには着けてもらった。僕もピアスにブレスレットとアンクレットを着けている。すると会う人会う人がおめでとうと言ってくれる。騎士団の人達が僕に会うと、何故かため息をついておめでとうと言う。ラウルさんにそのことを話すと誰だったかと聞かれた。正直に名前を言うと、次の日からその人達がラウルさんにしごかれて、救護室にくることが多くなった。シェルさんが笑いながら僕に
「ユウくんを狙ってた人達だよ。」
と言われても僕には意味が分からなかった。ラウルは苦労するかもね~と言っていた。
あと1ヶ月で僕が前世で死んだ歳になる。不思議な感覚と、不安が押し寄せてくるようになった。夜中も何度も起きてしまいラウルさんが心配してくれる。強く抱き締めてもらわないと安心して眠れない。こんなに幸せなのに何が不安なのか分からなかった。あの人が出てくることもないし結婚生活も上手くいっているし。最近はスキンシップも増えてキスもするし、ゴロゴロタイムも毎日だ。
「ラウルさん…ぎゅっとして。」
真夜中に起きてしまってラウルさんを起こしてしまった。それでも面倒くさがることなく抱き締めて背中を撫でてくれる。最近は毎日何回も起きてしまうので、きっとラウルさんは睡眠不足だろうけど不安で不安でしかたない。
「大丈夫だ。ここにいる。」
「うん…離しちゃやだ。」
「分かってる。眠れそうだったらそのまま寝てしまいな。」
「ごめん…。」
謝るなと耳や髪を撫でてくれる。ラウルさんの匂いがすると本当に安心できる。見えない僕にはこの匂いだけが確かめる手段だから。
それからラウルさんと両親で僕の誕生日会をすると言う話し合いがあった。成人のお祝いだからと三人で楽しそうに準備の話をしていた。しかし僕の不安は消えることがなく、眠れなくなったりいきなり泣き出したりと情緒不安定になり仕事にも行けなくなった。救護室の皆が心配してお見舞いにも来てくれた。ラウルさんも仕事を休んだり休めない日はお母さんかお父さんが来てくれる。相変わらず先生の行方も分からない。何故こんなに不安なのか…前世の歳に追い付いてしまうからなのか…。
「ユウくん。術も完璧。あと3日で全てが終わるよ。君が解放される。俺の復讐も終わる。楽しみだね。」
「はい。」
「誕生日にはこの指輪をしていてね。契約魔法が入っているこの指輪。ここに隠して置くからね。」
本棚の奥に本で隠すように置かれた。
「はい。」
「ユウくん。そのブレスレットもアンクレットもピアスも似合ってる。かなり強い魔法が掛けられてるけど。ラウルくんも君の心配してるんだね。誕生日には俺もお祝いしてあげるから。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、3日後に。」
「はい。」
「ユウ。お待たせ。今日は何しようか?」
「今日もお母さんの隣に座っていたい。」
「今日も甘えん坊さんかなぁ~。」
「お母さん…僕お母さんの子供だよね?」
誕生日が怖い。今まで過ごしてきた時間が全てなくなるような気がしてならない。
「そうだよ。僕がお腹を痛めて産んだ子供…大切な宝物。」
「お母さん。僕を離さないでくれる?」
「何があっても離さないよ。」
「何があっても?」
「何があっても。」
本当に宝物のように大切に抱き締めてくれる。みんなも僕のおかしくなってることに気がついてる。それでもなにも言わず側に寄り添ってくれる。誕生日が来ても大丈夫って何故か思えないことが、不安で不安でお母さんに抱きついた。
そして僕は誕生日を迎えた。
「すみません。覚えていないんですが、大変ご迷惑をかけたみたいで。」
「いえ。元気そうでよかったです。」
本当に心配してくれてる。ありがとうございますとお礼を言うと、この間来たときに決めた首輪を出された。記憶がないけど僕が決めたらしく、ラウルさんにピッタリの首輪だと思った。
「これと同じデザインでピアスとアンクレットとブレスレットと作れるか?」
「はい。お作りできます。」
店員のモイミールさんが3日後には出来ると言う。
「首輪は一生の物なんです。お互いに信頼し愛し合って番の証として着けていくもの。私達の作った首輪をしている人を見ると、私はこの仕事をしていて良かったと思えるんです。皆幸せになって欲しいと願いながらお作りします。それはどんな形でも。だからぜひ私達に作らせてください。」
「ありがとうございます。お願いします。」
首輪を作らないことは触れずに、僕のサイズを計ってくれる。ラウルさんが側で肩を抱いてくれる。いつか着けることが出来るようになったら、モイミールさんに作ってもらおうと思った。
首輪も出来てラウルさんには着けてもらった。僕もピアスにブレスレットとアンクレットを着けている。すると会う人会う人がおめでとうと言ってくれる。騎士団の人達が僕に会うと、何故かため息をついておめでとうと言う。ラウルさんにそのことを話すと誰だったかと聞かれた。正直に名前を言うと、次の日からその人達がラウルさんにしごかれて、救護室にくることが多くなった。シェルさんが笑いながら僕に
「ユウくんを狙ってた人達だよ。」
と言われても僕には意味が分からなかった。ラウルは苦労するかもね~と言っていた。
あと1ヶ月で僕が前世で死んだ歳になる。不思議な感覚と、不安が押し寄せてくるようになった。夜中も何度も起きてしまいラウルさんが心配してくれる。強く抱き締めてもらわないと安心して眠れない。こんなに幸せなのに何が不安なのか分からなかった。あの人が出てくることもないし結婚生活も上手くいっているし。最近はスキンシップも増えてキスもするし、ゴロゴロタイムも毎日だ。
「ラウルさん…ぎゅっとして。」
真夜中に起きてしまってラウルさんを起こしてしまった。それでも面倒くさがることなく抱き締めて背中を撫でてくれる。最近は毎日何回も起きてしまうので、きっとラウルさんは睡眠不足だろうけど不安で不安でしかたない。
「大丈夫だ。ここにいる。」
「うん…離しちゃやだ。」
「分かってる。眠れそうだったらそのまま寝てしまいな。」
「ごめん…。」
謝るなと耳や髪を撫でてくれる。ラウルさんの匂いがすると本当に安心できる。見えない僕にはこの匂いだけが確かめる手段だから。
それからラウルさんと両親で僕の誕生日会をすると言う話し合いがあった。成人のお祝いだからと三人で楽しそうに準備の話をしていた。しかし僕の不安は消えることがなく、眠れなくなったりいきなり泣き出したりと情緒不安定になり仕事にも行けなくなった。救護室の皆が心配してお見舞いにも来てくれた。ラウルさんも仕事を休んだり休めない日はお母さんかお父さんが来てくれる。相変わらず先生の行方も分からない。何故こんなに不安なのか…前世の歳に追い付いてしまうからなのか…。
「ユウくん。術も完璧。あと3日で全てが終わるよ。君が解放される。俺の復讐も終わる。楽しみだね。」
「はい。」
「誕生日にはこの指輪をしていてね。契約魔法が入っているこの指輪。ここに隠して置くからね。」
本棚の奥に本で隠すように置かれた。
「はい。」
「ユウくん。そのブレスレットもアンクレットもピアスも似合ってる。かなり強い魔法が掛けられてるけど。ラウルくんも君の心配してるんだね。誕生日には俺もお祝いしてあげるから。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、3日後に。」
「はい。」
「ユウ。お待たせ。今日は何しようか?」
「今日もお母さんの隣に座っていたい。」
「今日も甘えん坊さんかなぁ~。」
「お母さん…僕お母さんの子供だよね?」
誕生日が怖い。今まで過ごしてきた時間が全てなくなるような気がしてならない。
「そうだよ。僕がお腹を痛めて産んだ子供…大切な宝物。」
「お母さん。僕を離さないでくれる?」
「何があっても離さないよ。」
「何があっても?」
「何があっても。」
本当に宝物のように大切に抱き締めてくれる。みんなも僕のおかしくなってることに気がついてる。それでもなにも言わず側に寄り添ってくれる。誕生日が来ても大丈夫って何故か思えないことが、不安で不安でお母さんに抱きついた。
そして僕は誕生日を迎えた。
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