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食いしん坊聖女は婚約破棄される。
えっ?誰が誰の婚約者ですか?
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「そうよ!!私見ていたんだから。貴女が男の人と楽しそうに王都を歩いている姿をね。エルネスト王太子殿下っていう婚約者がいながら…って…え!?」
アンネリーゼの言葉が聞こえていなかったのかペラペラと話すレリア。
きっとレリアが見た相手はケルネリウスの事だろう。ケルネリウスはアンネリーゼの護衛でもあるため、買い出しなどがあれば一緒に王都に出かけることも多い。
先ほどのアンネリーゼの言葉の意味を理解したのか、レリアの言葉がピタリと止まった。
「やっと止まりましたね。勝手に話し始めて静まるまで10分もかかりましたよ。」
わざとらしく懐中時計を見るアンネリーゼ。恐らく話の半分は聞いていなかっただろう…
「え?も何も、私に婚約者なんていなかったはずですよ?なんて言ったって私が神殿入りしたの8歳の時ですし、10歳で大聖女となっていましたからね。神殿に入る前はいくつか縁談のお話をいただいていましたが、神殿に入ると聖女見習いから聖女に上がるまで神殿から出られないですし、その間に縁談の話はなくなったと聞いております。」
昔のことを思い出そうと頬に手を当てて考える。
神殿に入る少し前、アンネリーゼが公爵家の出ということもありエルネスト王太子殿下と婚約の話が出たことがあった。
だが、婚約が決まるよりも前に神殿に入り、大聖女となったため、それ以上話を進めることが出来ずお蔵入りになったのだ。
(そもそも、エルネストと結婚したくなくて神殿に入ったのよね。王妃なんて面倒でしかないし。だから、勝手に話が進むなんてないはずなんだけど…。)
「そ、そんなことは無いはずだ!!父上も言っていたぞ。アンネリーゼが婚約者だと…この婚約証明書にもアンネリーゼの名前が入っているではないか!!」
わざわざ婚約証明書を持ってきたらしいエルネストはアンネリーゼが見えるように顔の前へと持ってきた。
仕方なくアンネリーゼが婚約証明書を読む。
"エルネスト・ルシフェールとアンネリーゼ・ラファリエールの婚約を認めるものとする。
XX年XX月XX日
エルネスト・ルシフェール (エドワーズ・ルシフェール)
アンネリーズ・ラファリエール (ダミアン・ラファリエール)"
…
……
………
「あれ。この婚約証明書…私の名前間違えてますよ?アンネリーズってなっています。私の名前はアンネリーゼ。これでは私が婚約者になった証になっていませんね?」
アンネリーゼの言葉を聞いて、ケルネリウスも「そんなわけないだろう」と近づいてきた。
「ほら、ここ見てちょうだい?」
指をさしながら綴りが間違えているところを伝えればケルネリウスだけでなくエルネストも証明書を覗き込む。
「アンネリーゼじゃなくてアンネリーズになっているでしょ?」
「ぷっ…本当だ。最後の1文字抜けてアンネリーズになっていやがる。これじゃあ、この婚約は無効だな!!」
ケルネリウスは法的な書類でこんな間違いするなんてと笑っていたが、エルネストは未だ信じられないのか、アンネリーゼから書類を奪い取り血眼に婚約証明書を見ていた。
そんなに見たところで変わるわけではないのだが…。
「お父様がこんな間違いをするとは思いませんし、私に婚約者がいればお父様が教えてくれるはず。まして王妃教育も受けていないこんな小娘が、王妃になれるわけないじゃないですか。」
アンネリーゼが食堂にいる人達に聞こえるように話せば「確かに」と皆がうなずく。
そもそもアンネリーゼは顔は良いが性格は少し変わっている。
食に関してはどこまでも貪欲だが、それ以外に関してはそこまで興味が無いのだ。
自分の周りにいる人たちや関わったことがある人たちが傷つけられるのは寝覚めが悪いと動くが、それ以外はどうでもいいと思っている。
見た目は聖女のようだが、根っからの聖女かと聞かれれば誰もが首を横に振るだろう。
ここで長年働いてきた人たちはそれを理解しているため、アンネリーゼが出来ない(やらない)ことをやってくれている。
いわゆる適材適所と言うやつだ。
「ひ、ひどっ!!」
「確かに」と即答で返され、その言葉に反射するように言葉を返すアンネリーゼだが、口元は笑っている。
それをみたエルネストは自分が笑われたと思ったと勘違いしたのか強く拳を握り、顔を紅潮させて声を荒げた。
「い、い、いい加減にしろよ!!人をバカにしやがって…そもそも父上が言っていたのだから嘘なわけないだろうが!!」
あまりの声の大きさに先ほどまでコミカルなやり取りをしていた人達もシーンと静まり返る。
エルネストの父と言うことはルシフェール国の国王陛下だ。
(そう言えばお父様が言っていたわね。狡猾で自分の利益しか考えていない国王だと…もしかしたらエルネスト自身も国王の前では単なる駒にすぎないと言うことかしら。)
元々婚約の話が出た時、ラファリエール家は乗り気ではなく、アンネリーゼの父、ダミアンもアンネリーゼが早く神殿に入れるようにと話をつけてくれていた。
『アンネリーゼ。8歳のお前に話す話ではないが、このままではエルネスト王太子殿下と婚約する可能性が高い。わがまま王太子と結婚して王妃となるか、この家から出て聖女になるか選びなさい。』
それでもアンネリーゼが選べるようにと自分たちの利益ではなく子供の事を考えてくれたダミアン達は良き両親達だと言えるだろう。
8歳であれば「お姫様になれるの!?」と王妃の方を選ぶ女の子がほとんどだろうが、そこはアンネリーゼ。
即断即決で「聖女になります。」と言ったのだからさすがである。
「と、と、とにかくだ!!お前のような浮気する女と結婚できない。本日をもってアンネリーゼ・ラファリエールとの婚約は破棄させてもらおう!!」
目の前で婚約証明書をビリビリと破き天に向かって投げるとヒラヒラと破れた紙切れが舞い散った。
「「「「(あぁ~…あれ一体誰が掃除すると思っているのかしら…)」」」」
その舞い散った紙を見て皆の心の声が重なった瞬間だった。
アンネリーゼの言葉が聞こえていなかったのかペラペラと話すレリア。
きっとレリアが見た相手はケルネリウスの事だろう。ケルネリウスはアンネリーゼの護衛でもあるため、買い出しなどがあれば一緒に王都に出かけることも多い。
先ほどのアンネリーゼの言葉の意味を理解したのか、レリアの言葉がピタリと止まった。
「やっと止まりましたね。勝手に話し始めて静まるまで10分もかかりましたよ。」
わざとらしく懐中時計を見るアンネリーゼ。恐らく話の半分は聞いていなかっただろう…
「え?も何も、私に婚約者なんていなかったはずですよ?なんて言ったって私が神殿入りしたの8歳の時ですし、10歳で大聖女となっていましたからね。神殿に入る前はいくつか縁談のお話をいただいていましたが、神殿に入ると聖女見習いから聖女に上がるまで神殿から出られないですし、その間に縁談の話はなくなったと聞いております。」
昔のことを思い出そうと頬に手を当てて考える。
神殿に入る少し前、アンネリーゼが公爵家の出ということもありエルネスト王太子殿下と婚約の話が出たことがあった。
だが、婚約が決まるよりも前に神殿に入り、大聖女となったため、それ以上話を進めることが出来ずお蔵入りになったのだ。
(そもそも、エルネストと結婚したくなくて神殿に入ったのよね。王妃なんて面倒でしかないし。だから、勝手に話が進むなんてないはずなんだけど…。)
「そ、そんなことは無いはずだ!!父上も言っていたぞ。アンネリーゼが婚約者だと…この婚約証明書にもアンネリーゼの名前が入っているではないか!!」
わざわざ婚約証明書を持ってきたらしいエルネストはアンネリーゼが見えるように顔の前へと持ってきた。
仕方なくアンネリーゼが婚約証明書を読む。
"エルネスト・ルシフェールとアンネリーゼ・ラファリエールの婚約を認めるものとする。
XX年XX月XX日
エルネスト・ルシフェール (エドワーズ・ルシフェール)
アンネリーズ・ラファリエール (ダミアン・ラファリエール)"
…
……
………
「あれ。この婚約証明書…私の名前間違えてますよ?アンネリーズってなっています。私の名前はアンネリーゼ。これでは私が婚約者になった証になっていませんね?」
アンネリーゼの言葉を聞いて、ケルネリウスも「そんなわけないだろう」と近づいてきた。
「ほら、ここ見てちょうだい?」
指をさしながら綴りが間違えているところを伝えればケルネリウスだけでなくエルネストも証明書を覗き込む。
「アンネリーゼじゃなくてアンネリーズになっているでしょ?」
「ぷっ…本当だ。最後の1文字抜けてアンネリーズになっていやがる。これじゃあ、この婚約は無効だな!!」
ケルネリウスは法的な書類でこんな間違いするなんてと笑っていたが、エルネストは未だ信じられないのか、アンネリーゼから書類を奪い取り血眼に婚約証明書を見ていた。
そんなに見たところで変わるわけではないのだが…。
「お父様がこんな間違いをするとは思いませんし、私に婚約者がいればお父様が教えてくれるはず。まして王妃教育も受けていないこんな小娘が、王妃になれるわけないじゃないですか。」
アンネリーゼが食堂にいる人達に聞こえるように話せば「確かに」と皆がうなずく。
そもそもアンネリーゼは顔は良いが性格は少し変わっている。
食に関してはどこまでも貪欲だが、それ以外に関してはそこまで興味が無いのだ。
自分の周りにいる人たちや関わったことがある人たちが傷つけられるのは寝覚めが悪いと動くが、それ以外はどうでもいいと思っている。
見た目は聖女のようだが、根っからの聖女かと聞かれれば誰もが首を横に振るだろう。
ここで長年働いてきた人たちはそれを理解しているため、アンネリーゼが出来ない(やらない)ことをやってくれている。
いわゆる適材適所と言うやつだ。
「ひ、ひどっ!!」
「確かに」と即答で返され、その言葉に反射するように言葉を返すアンネリーゼだが、口元は笑っている。
それをみたエルネストは自分が笑われたと思ったと勘違いしたのか強く拳を握り、顔を紅潮させて声を荒げた。
「い、い、いい加減にしろよ!!人をバカにしやがって…そもそも父上が言っていたのだから嘘なわけないだろうが!!」
あまりの声の大きさに先ほどまでコミカルなやり取りをしていた人達もシーンと静まり返る。
エルネストの父と言うことはルシフェール国の国王陛下だ。
(そう言えばお父様が言っていたわね。狡猾で自分の利益しか考えていない国王だと…もしかしたらエルネスト自身も国王の前では単なる駒にすぎないと言うことかしら。)
元々婚約の話が出た時、ラファリエール家は乗り気ではなく、アンネリーゼの父、ダミアンもアンネリーゼが早く神殿に入れるようにと話をつけてくれていた。
『アンネリーゼ。8歳のお前に話す話ではないが、このままではエルネスト王太子殿下と婚約する可能性が高い。わがまま王太子と結婚して王妃となるか、この家から出て聖女になるか選びなさい。』
それでもアンネリーゼが選べるようにと自分たちの利益ではなく子供の事を考えてくれたダミアン達は良き両親達だと言えるだろう。
8歳であれば「お姫様になれるの!?」と王妃の方を選ぶ女の子がほとんどだろうが、そこはアンネリーゼ。
即断即決で「聖女になります。」と言ったのだからさすがである。
「と、と、とにかくだ!!お前のような浮気する女と結婚できない。本日をもってアンネリーゼ・ラファリエールとの婚約は破棄させてもらおう!!」
目の前で婚約証明書をビリビリと破き天に向かって投げるとヒラヒラと破れた紙切れが舞い散った。
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