荒地に配属された食いしん坊聖女。いつの間にかラスボス認定されていたようです。

ゆずこしょう

文字の大きさ
5 / 105
食いしん坊聖女は婚約破棄される。

婚約破棄!?

しおりを挟む
「はぁ…婚約破棄ですか。」


婚約破棄という言葉を聞きため息を吐くアンネリーゼ。そもそも、婚約してもいないのに破棄も何も無いのだが…。


「そうだ。そして、私はレリア・ゴモリーと婚約する。レリアはお前と違って顔も可愛らしいし、胸も大きく女性らしい体つきをしていて柔らかいんだ。お前とは大違いだ!!」


レリアはアンネリーゼに勝ったとでも思っているのか勝ち誇った笑みを浮かべていた。

が、アンネリーゼは14歳。まだまだ成長途中の身体なのだ。そしてレリアは20歳。体格に差ができても仕方がないというものである。


14歳に勝って嬉しいものなのだろうか。


胸を強調するためか、少し肌けたドレスを着ていて貴族の令嬢というよりも娼婦にしか見えない。





……



………


「はぁ…その話まだ続きますか?」


心底どうでも良いというように返せば、自分たちの計画が思い通りに進んだとでも思っているのか2人はしたり顔でこちらを見る。


そもそも、2人が恋人同士であろうがどうでも良い。


ただひとついわせてもらうとすれば「いや、お前らも浮気してたんかーい!!」である。


まぁ、アンネリーゼは浮気などしてもいなければ恋人がいたことすらないのだが…。


周りの人達も同じことを思っているようで、コソコソと「人のこと言えないじゃない」と言っている。


「私の事が今更好きと言っても遅いからな?お前が浮気をしたのが悪いのだ。」





……


………


エルネストの言葉が理解できず、キョトンとした顔で首を傾げる。



「好き?誰が誰のことをでしょうか?」




もう婚約破棄で終わりでいいのではないかと思っていたのだが…まだ話を続けるつもりのようだ。しかも今までに出てこなかった言葉まで出てきた。



「いや、話の流れでわかるだろう?お前が私のことを好きということだが…?」


アンネリーゼを指さしたあと自分を指さす。





……


………



アンネリーゼは少し考える素振りをしてから自分の手のひらをポンっと叩いた。


思考回路が止まった脳がやっと動きだしたらしい。


「あ~…それは全くないんで安心してください。それに良かったではありませんか。私のような(浮気していない)女ではなく、そこの娼婦のような女が良いと言うことですよね?どうぞお幸せに。」


「娼婦のような女だと…?」


考えるのが面倒になったアンネリーゼは適当に頷く。正直2人がやってきてから30分以上は経っているのだ。

照り焼きは冷めてからも美味しいが、出来たてが一番美味しい。こんな事で揉めるくらいなら早くご飯を食べたいと思うのも仕方がないだろう。


「えぇ…そもそもこの国でそんな肌を露出するドレスを着るのは娼婦くらいなもの。まして聖女であれば尚更です。だから娼婦の人と結婚するのですよね?」


アンネリーゼ自身、ドレスなんてその人に似合っていればなんでもいいのではと思っているが、貴族、聖女としての矜恃は大切にしなければならないと思っている。


ただ、今目の前にいるレリアはどこからどう見てもその矜恃を見失っていた。胸元はガバッと開き、何かあればすぐポロリと見えてしまうのではないかというようなネグリジェに近いドレス。髪は情事後なのではないかと言うように乱れており、香水の瓶をそのまま被ったのではないかと思うほど匂いがきつい。


思っていた言葉をそのまま口にすれば、二人の顔は茹でタコのように真っ赤になっていく。


(青くなったり白くなったり赤くなったり…忙しい人ね。)


「まるでカメレオンみたい…」


ボソッと言った一言がエルネストにも聞こえていたのか真っ赤な顔のまま怒鳴り始めた。


「お、お前…本当にいい加減にしろよ?こんな可憐で美しいレリアになんて言うことを言うんだ!!」



「可憐…美しい…ですか?」


その言葉に首を傾げていれば、ずっと笑うのを我慢していたケルネリウスが笑い出すと、それを皮切りに他の皆も声を上げて笑い始める。


「ハッハッハ…いやぁ…エルネスト王太子殿下はレリア嬢のような女性が待っているのだタイプということですよね?アンネリーゼとは全然違いますし、仕方ないですよねぇ。」


レリアを見たあとエルネストの方に近づいていけばエルネストにしか聞こえないような小さな声でボソリと一言伝える。


「うん…俺はこんな女より断然アンネリーゼの方がタイプだな。」


エルネストの肩をポンポン叩くと、アンネリーゼに向き直って今度は皆に聞こえるように


「良かったじゃないか、アンナ。これで(婚約はしていないが)結婚しなくて済むぞ!!(だからさっさとこの話を終わらせろ!!)」



と、伝えれば、アンネリーゼもケルネリウスの言いたいことを理解したのか、それに続くように話始めた。


「そうね…私はお眼鏡に叶わなかったようですし、婚約破棄いたしましょう(婚約してないけど。)この話はこれで終わりで良いですかね?そろそろ食事を終わらせなければなりませんので…」

そう伝えれば周りにいた人たちも時間を確認してそそくさと席に戻り食事を再開した。


時刻は18:30。


19時からは夜の祈りの時間と入浴などが待っている。


(それと先ほど撒き散らした紙もなにかあった時のために拾って修復しておいた方がいいわね…。)


これからやらなければならないことを考えて自分のご飯を作り直しに行くため厨房に足を向ければ、それを無視されたと勘違いしたエルネストが地団駄を踏む。


「無視するな!!私はこの国の王太子だぞ!!頭にきたぞ!!アンネリーゼ、お前をアウローラ大神殿並びに王都から追放し、プロセルピナ神殿への異動を命ずる。今笑ったお前たち全員だ。わかったな!?」


頭にくるようなことは一切していないのだが…


アウローラ大神殿にいるのは大聖女アンネリーゼが集めた聖女、神官のみ。味方の居ないところに突っ込んできたのはエルネストなのだからこうなることは何となく想像がついていたはずだ。


(きっとレリアに唆されてそのままホイホイ着いてきたのね。怒りやすいところといい、わがままなエロガキなところといい…初めて会った時から何も変わっていないわね。)


アンネリーゼとエルネストが会ったのはアンネリーゼがまだまだ5歳だった時。エルネストとは5つ年が離れているため、10歳だった。


そして初めて言った一言が「こんなちんちくりんと結婚したくない。俺は大人な女性が好きなんだ!!」だったのである…。


その時のアンネリーゼの気持ちは「(お前に言われたくねーよ)」だった。


「そして、アウローラ大神殿にはレリア・ゴモリーを大聖女として置くことにする。これは次期国王であるエルネスト・ルシフェールの命令だ!!明日すぐここを出ていくように…わかったな?」


それだけ言うとズカズカと食堂から2人は出ていった。


嵐のように過ぎ去っていく2人をみて、アンネリーゼとケルネリウスは笑顔で手を振る。


「はぁーい!!明日にはここを出ていけばいいのね。わかったわ。お2人もどうかお元気で!!」


それにつられて他の人たちも笑顔で手を振った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

薄幸ヒロインが倍返しの指輪を手に入れました

佐崎咲
ファンタジー
義母と義妹に虐げられてきた伯爵家の長女スフィーナ。 ある日、亡くなった実母の遺品である指輪を見つけた。 それからというもの、義母にお茶をぶちまけられたら、今度は倍量のスープが義母に浴びせられる。 義妹に食事をとられると、義妹は強い空腹を感じ食べても満足できなくなる、というような倍返しが起きた。 指輪が入れられていた木箱には、実母が書いた紙きれが共に入っていた。 どうやら母は異世界から転移してきたものらしい。 異世界でも強く生きていけるようにと、女神の加護が宿った指輪を賜ったというのだ。 かくしてスフィーナは義母と義妹に意図せず倍返ししつつ、やがて母の死の真相と、父の長い間をかけた企みを知っていく。 (※黒幕については推理的な要素はありませんと小声で言っておきます)

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

無能だと追放された「雑用係」のハル、現代の知恵(ライフハック)を駆使したら、呪われた魔王城が聖域化して伝説の賢者と呼ばれ始めた

ユネ
ファンタジー
「君のような無能な掃除係は必要ない!」 勇者パーティーからゴミのように捨てられた雑用係のハル。だが彼女には、前世で培った【家事のプロとしてのライフハック】があった。 ​移り住んだのは、誰もが恐れる『呪われた魔王城』。しかしハルにとっては、ただの「掃除のしがいがある大型物件」に過ぎなかった! 重曹とクエン酸で呪いを浄化し、アルミホイルで魔物を除け、ジャガイモの皮で伝説の鏡を蘇らせる。 ​魔法より便利な知恵で、お城はいつの間にか世界一快適な聖域に。 一方、ハルを失った勇者たちは、汚部屋と化した拠点と自らの無知に絶望することになり――。 ​これは、一人の「掃除好き」が知恵と工夫だけで異世界に革命を起こし、最高のスローライフを手に入れるまでの物語。

処理中です...