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反乱
訪問 ミル・カルーア視点
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ーーー数日前
「まだ、メレナーデは見つからないのか!?」
父上はイライラした面持ちで謁見の間にいた。なんでも母上の我慢が限界を迎えているらしい。それもこれも全てメレナーデのせいだ。
今まで私はメレナーデが何をしているのか知らなかった。私が遊びに行こうと誘っても「これから職務がありますので...。」、お茶会に誘っても「王子妃教育がありますので…。」と断られてばかりだったからだ。
断られてばかりだと誘いたくなくなってくる。それを良いことに私はお茶会を開いたり友人たちと遊んだりして楽しんだ。
それがまさかこんな事になることになることも知らずにだ。
「ミル様。こちらに決裁の書類がございますのでご確認をお願いいたします。」
財務官が決裁の書類を持って現れた。今まではこんなことはなかったはずだ。
少し不思議そうに決裁書類を見ていると財務官は「今まであなたの代わりにメレナーデ様がやっていたんですよ。やっぱりお飾りの王子だとダメですね。」とため息をついた。
そんな言い方ないだろうと思ったが、言い返す言葉が見つからず黙々と確認をしていく。確認をしていると他の部署の者たちも仕事を持ってやってくる。まさかこんなに仕事があるなんて知らなかった。
そしてオレリーの教育をしている教師が次々と辞めていった。匙を投げたというのが正しいかもしれない。
仕事で忙しいなかオレリーが執務室へ訪ねてきた。
「ミル様、良いことを思いつきました。」ニコニコしながら話しかけるオレリーにはすごく癒される。
「メレナーデ様に戻ってきてもらいましょう。側妃として戻っていただいて、代わりに執務などをこなしてもらうのは良いと思いませんか?」
確かに、その手があったか。この国で側妃を娶ることが禁じられているわけではない。父上は母上以外娶る気がないということもあり側妃はいないが、なかなかお子が産まれないときなどは側妃を娶ることもあったと聞く。
「それは良い考えだな。流石私のオレリー。父上に伝えて早速メレナーデに戻ってきてもらおう。」
執務室をでて父上の元に向かい考えたことを伝えると父上は二言返事で「いいだろう」と仰って下さった。
父上的にも王妃の機嫌が良くなることはとても喜ばしいことのはずだ。
私はメレナーデに戻ってきてもらうため、急いで王都にあるバイヤー侯爵の元を訪ねた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
「突然の来訪申し訳ない。今回は話があってきた。して、メレナーデはどこにいる?」
バイヤー夫妻にメレナーデの居場所を聞くと2人とも知らないと言う。
「わかった。ではメレナーデが戻ったら伝えて欲しいんだが、私の側妃としてもどってくるようにつたえてくれ。」
「側妃としてですか?先日ミル王太子殿下との婚約は白紙になったはずですが…」
たしかに婚約は白紙になったが。メレナーデがいないと執務も滞り、私とオレリーの時間がなくなってしまう。ここは王命ということにしてしまおう。
「これは王命である。直ちにメレナーデに戻るように伝えてくれ。」
そう伝えるときテーブルを叩きながらバイヤー侯爵が
「バカにするのも良い加減にしていただきたい。そもそも側妃としてとはなんですか。私の娘を何だと思っているんだ。王命だろうがあなた達の指示に従う気はない。帰ってくれ。」
少し言い方が悪かったかもしれないとおもったが私もここで引くわけにはいかなかった。
「王命だと言っただろう。王命が聞けないということは国の意見に背くと同義。連れて行け。もしかしたらメレナーデを匿っている可能性もある。邸の中をくまなく探せ。」
護衛達にそう指示を出すとバイヤー侯爵を捕縛し連れていった。
そして私もその後を追う。バイヤー侯爵が連れていかれる姿をバイヤー夫人が涙を流しながら見ていた。
「バイヤー夫人。もし貴方もこの邸にメレナーデを匿っていたらどうなるかわかっていますね?」
半分は見せしめでもある。今後どのようなことになるかもふまえ、バイヤー夫人に伝えた。
早くメレナーデが見つかると良いんだが…
「まだ、メレナーデは見つからないのか!?」
父上はイライラした面持ちで謁見の間にいた。なんでも母上の我慢が限界を迎えているらしい。それもこれも全てメレナーデのせいだ。
今まで私はメレナーデが何をしているのか知らなかった。私が遊びに行こうと誘っても「これから職務がありますので...。」、お茶会に誘っても「王子妃教育がありますので…。」と断られてばかりだったからだ。
断られてばかりだと誘いたくなくなってくる。それを良いことに私はお茶会を開いたり友人たちと遊んだりして楽しんだ。
それがまさかこんな事になることになることも知らずにだ。
「ミル様。こちらに決裁の書類がございますのでご確認をお願いいたします。」
財務官が決裁の書類を持って現れた。今まではこんなことはなかったはずだ。
少し不思議そうに決裁書類を見ていると財務官は「今まであなたの代わりにメレナーデ様がやっていたんですよ。やっぱりお飾りの王子だとダメですね。」とため息をついた。
そんな言い方ないだろうと思ったが、言い返す言葉が見つからず黙々と確認をしていく。確認をしていると他の部署の者たちも仕事を持ってやってくる。まさかこんなに仕事があるなんて知らなかった。
そしてオレリーの教育をしている教師が次々と辞めていった。匙を投げたというのが正しいかもしれない。
仕事で忙しいなかオレリーが執務室へ訪ねてきた。
「ミル様、良いことを思いつきました。」ニコニコしながら話しかけるオレリーにはすごく癒される。
「メレナーデ様に戻ってきてもらいましょう。側妃として戻っていただいて、代わりに執務などをこなしてもらうのは良いと思いませんか?」
確かに、その手があったか。この国で側妃を娶ることが禁じられているわけではない。父上は母上以外娶る気がないということもあり側妃はいないが、なかなかお子が産まれないときなどは側妃を娶ることもあったと聞く。
「それは良い考えだな。流石私のオレリー。父上に伝えて早速メレナーデに戻ってきてもらおう。」
執務室をでて父上の元に向かい考えたことを伝えると父上は二言返事で「いいだろう」と仰って下さった。
父上的にも王妃の機嫌が良くなることはとても喜ばしいことのはずだ。
私はメレナーデに戻ってきてもらうため、急いで王都にあるバイヤー侯爵の元を訪ねた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
「突然の来訪申し訳ない。今回は話があってきた。して、メレナーデはどこにいる?」
バイヤー夫妻にメレナーデの居場所を聞くと2人とも知らないと言う。
「わかった。ではメレナーデが戻ったら伝えて欲しいんだが、私の側妃としてもどってくるようにつたえてくれ。」
「側妃としてですか?先日ミル王太子殿下との婚約は白紙になったはずですが…」
たしかに婚約は白紙になったが。メレナーデがいないと執務も滞り、私とオレリーの時間がなくなってしまう。ここは王命ということにしてしまおう。
「これは王命である。直ちにメレナーデに戻るように伝えてくれ。」
そう伝えるときテーブルを叩きながらバイヤー侯爵が
「バカにするのも良い加減にしていただきたい。そもそも側妃としてとはなんですか。私の娘を何だと思っているんだ。王命だろうがあなた達の指示に従う気はない。帰ってくれ。」
少し言い方が悪かったかもしれないとおもったが私もここで引くわけにはいかなかった。
「王命だと言っただろう。王命が聞けないということは国の意見に背くと同義。連れて行け。もしかしたらメレナーデを匿っている可能性もある。邸の中をくまなく探せ。」
護衛達にそう指示を出すとバイヤー侯爵を捕縛し連れていった。
そして私もその後を追う。バイヤー侯爵が連れていかれる姿をバイヤー夫人が涙を流しながら見ていた。
「バイヤー夫人。もし貴方もこの邸にメレナーデを匿っていたらどうなるかわかっていますね?」
半分は見せしめでもある。今後どのようなことになるかもふまえ、バイヤー夫人に伝えた。
早くメレナーデが見つかると良いんだが…
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