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第1章 記憶と兄妹
第2思 桜咲高校大失踪事件1
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哀檻家
said kanade
今日も兄に、気を使わせてしまった。
自分がいるせいで、頭の良い兄は高校進学を諦めた。
自分が働けないせいで、頑張り屋の兄は一人、遅くまでバイトや就職面接の練習をしなければならない。
自分を守ったせいで、優しい兄は自分なんかと親族から追い出されてしまった。
兄の食器が随分前から使われていない事から、兄が自分の為に朝食をとっていないことを奏は知っている。
14歳の少女は考える。今のままでいいのかと。
答えは二年前から決まっている。
良い筈がないと。
しかし、今の自分に出来る事などたかが知れてる。
例えば将来なんの役に立つのかも分からない勉強。
例えば兄に心配をかけないよう、何も気付かない振りをして、明るく振る舞う事。
例えば.....それ以上何も思い付かない自分が情けなくてしょうがない。
やはり、自分も働くべきだ。
今日、兄が帰ってきたら一度真面目に相談してみよう。
そう考えていた。
なのに.....
その日、兄は帰って来なかった。
次の日も、その次の日も、兄は帰って来なかった。
「どう、して......」
兄も両親と同じように自分を置いて何処かへ行ってしまったのだろうか。
そんな筈は無い。
あの兄が、そんな事する筈が無い。
ならばどうして?
兄の身に何かあった?
犯罪に巻き込まれた?
そうだ。それしかない。
事件になっているかもしれない。
しかし、調べたくとも哀檻家には、電話も新聞も、ましてやテレビなどという高級家電は一切無い。
兄は無理してケータイを持たせてくれようとしたが、断ってしまった。
自分一人では何も分からない?
ならば誰かに聞けばいい。
奏は学校で多くの交流を作っていた。
別に友人など必要ない。兄さえ居ればいいと本人は思っていたようだが、それだと兄が心配するという理由から、彼女は多くのコミュニティを作っていた。
奏は次の日学校で何があったかを友人に聞くことに決め、その日は布団に潜った。
said kanade
今日も兄に、気を使わせてしまった。
自分がいるせいで、頭の良い兄は高校進学を諦めた。
自分が働けないせいで、頑張り屋の兄は一人、遅くまでバイトや就職面接の練習をしなければならない。
自分を守ったせいで、優しい兄は自分なんかと親族から追い出されてしまった。
兄の食器が随分前から使われていない事から、兄が自分の為に朝食をとっていないことを奏は知っている。
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答えは二年前から決まっている。
良い筈がないと。
しかし、今の自分に出来る事などたかが知れてる。
例えば将来なんの役に立つのかも分からない勉強。
例えば兄に心配をかけないよう、何も気付かない振りをして、明るく振る舞う事。
例えば.....それ以上何も思い付かない自分が情けなくてしょうがない。
やはり、自分も働くべきだ。
今日、兄が帰ってきたら一度真面目に相談してみよう。
そう考えていた。
なのに.....
その日、兄は帰って来なかった。
次の日も、その次の日も、兄は帰って来なかった。
「どう、して......」
兄も両親と同じように自分を置いて何処かへ行ってしまったのだろうか。
そんな筈は無い。
あの兄が、そんな事する筈が無い。
ならばどうして?
兄の身に何かあった?
犯罪に巻き込まれた?
そうだ。それしかない。
事件になっているかもしれない。
しかし、調べたくとも哀檻家には、電話も新聞も、ましてやテレビなどという高級家電は一切無い。
兄は無理してケータイを持たせてくれようとしたが、断ってしまった。
自分一人では何も分からない?
ならば誰かに聞けばいい。
奏は学校で多くの交流を作っていた。
別に友人など必要ない。兄さえ居ればいいと本人は思っていたようだが、それだと兄が心配するという理由から、彼女は多くのコミュニティを作っていた。
奏は次の日学校で何があったかを友人に聞くことに決め、その日は布団に潜った。
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