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〈52〉令嬢の戦力 4
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「毎日をのびのびと!? 余を引き取って、ありがとうだと!? キサマ! 死人の分際で生意気な口をきくな!!」
「……死人?」
「あぁ、そうだ! メアリはすでに死んでいる! 神々がそう告げたのだ!」
「……あら、そうだったの」
意味がわからないのだけど、リアム殿下の中では、そうなっているみたい。
神々が、なんて言っているから、たぶん教会の関係ね。
「一応聞くわ。ここにいる私は何者なのかしら?」
「知れたこと! キサマは、禁術で操られている死体に決まっている! マリリンが見ている幻と同じだ!」
「……なるほどね」
死んだはずの私が生きているのも、
自分に惚れているはずのマリリンが、そっぽを向いているのも、
すべては白竜を名乗る者が、禁術を使ったから。
「……最低限の筋は、通っているみたい。リアム殿下にしては、出来の良い答弁よ。驚いたわ」
「キサマ! バカにしているのか!!」
「いいえ、純粋な気持ちで褒めているの」
自分にとって都合が良すぎるけど、ほんの少しだけでも理解が出来る部分があるだなんて、すごい進歩だと思う。
余の言葉が理解出来ないのは、お前が無能だからだ、と言われていた頃が懐かしい。
そんな思いを胸に、クスリと肩をすくめていると、不意に鋭い視線が突き刺さった。
無視するのは、やめたみたい。
「悪役のくせに、アドリブで話してるんじゃないわよ! イベントを正確にやりなさいよね!!」
「イベント?」
「……ちっ! 使えないバグが!!」
どこまでも苛立ちながら、男爵令嬢が殺意のこもった視線を向けてくる。
何を言っているのかもわからないけど、その苛立ちは嫌でも伝わっていた。
何をそんなに? なんて思うのだけど、リアム殿下と同じタイプなら、悩むだけ無駄よね。
それにしても、
「ドレイク殿下。アドリブや、イベントって、何の話しをしているのだとーー」
「だから!!!! 糞みたいな声しか当ててもらえないクズキャラが! 白竜様に話しかけるなって言ってるだろうが!!!!」
「あら、そうだったわね。ごめんなさい」
軽く会釈をすると、彼女の怒りが更に燃え上がって見えた。
あまりにも対処が面倒で、顔を下げたドレイク殿下と視線をあわせて、肩をすくめる。
「死ねよ! すぐ、死ねよ!!」
どうやら、それもダメだったみたい。
おそらくだけど、私がドレイクと仲良くしているのが気に入らないのだと思う。
「1つ聞くわね? マリリンさんは、リアム殿下と婚約したのではないの?」
お金のため、地位のため、国の発展のため。
理由はわからないのだけど、男爵家から王家に嫁ぐのであれば、吟遊詩人が語り継ぐほどの功績だ。
本人も望んでいたと思うのだけど、どう見ても違うみたい。
「ノーマルエンドと婚約? そんなもの、前座よ、前座! サブイベントに決まってんだろ! こんなクソ王子の婚約者なんて、絶対にイヤよ!」
お前も登場人物なら、進行表くらい把握しとけよな!
なんて、令嬢があざ笑う。
理解出来ない部分が多いけど、リアム殿下との婚約はイヤだ、の部分だけは、この上なく同意出来てしまった。
「それで? あなたはどうしたいのかしら?」
「決まってるじゃない! 私は白竜様と結婚するの! それが主人公の運命だもの!!」
「……そう言っているけど?」
「悪いね。キミみたいな子と結婚する気はないよ」
「いいえ! そんなことはないです! 白竜様は、私と結婚する以外の未来はないんです」
「…………」
ダメね。
この子には、何を言っても無意味みたい。
さてと、どうしたものかしら。
リリたちの到着までは、もう少し時間が必要だから……。
などと思っていると、不意に周囲が慌ただしくなった。
聞こえてくるのは、焦りを含んだ男性の声と、馬の駆ける音。
「メアリ嬢! 無事か!?」
「ラテス殿下……?」
聞こえて来た声に振り向くと、立派な馬に跨がった王子様が単身で駆け寄っていた。
「すまない、待たせてしまったね」
颯爽と馬から下りたラテス殿下が、リアムと男爵令嬢に向けて剣を抜く。
緊張感をまとったまま、メアリを守るように肩を並べた。
「どうしてここに?」
「天空を回る白き竜の姿は、王都のどこからでも見えるからね。背に乗る人物の存在を聞いて、駆けてきたんだ」
「そうね。確かに愚問だったわ」
王都での出来事は、王宮に伝わり、王子にも伝わる。
小さな子でも予想出来ることを聞くなんて、私も言葉の通じない2人に当てられていたみたい。
「ラテス! 一度や二度に飽きたらず、また余の邪魔をするのか!」
「いえいえ。それは心外ですね。私は国をより良い方向へと導く、そのお手伝いをしているだけですよ」
「キサマぁ!!!!」
ラテスと、リアム。
2人の王子が向かい合って、にらみ合う。
「準備は整ったわね」
口元に優雅な笑みを浮かべたメアリが周囲を見渡して、静かに微笑んでいた。
「……死人?」
「あぁ、そうだ! メアリはすでに死んでいる! 神々がそう告げたのだ!」
「……あら、そうだったの」
意味がわからないのだけど、リアム殿下の中では、そうなっているみたい。
神々が、なんて言っているから、たぶん教会の関係ね。
「一応聞くわ。ここにいる私は何者なのかしら?」
「知れたこと! キサマは、禁術で操られている死体に決まっている! マリリンが見ている幻と同じだ!」
「……なるほどね」
死んだはずの私が生きているのも、
自分に惚れているはずのマリリンが、そっぽを向いているのも、
すべては白竜を名乗る者が、禁術を使ったから。
「……最低限の筋は、通っているみたい。リアム殿下にしては、出来の良い答弁よ。驚いたわ」
「キサマ! バカにしているのか!!」
「いいえ、純粋な気持ちで褒めているの」
自分にとって都合が良すぎるけど、ほんの少しだけでも理解が出来る部分があるだなんて、すごい進歩だと思う。
余の言葉が理解出来ないのは、お前が無能だからだ、と言われていた頃が懐かしい。
そんな思いを胸に、クスリと肩をすくめていると、不意に鋭い視線が突き刺さった。
無視するのは、やめたみたい。
「悪役のくせに、アドリブで話してるんじゃないわよ! イベントを正確にやりなさいよね!!」
「イベント?」
「……ちっ! 使えないバグが!!」
どこまでも苛立ちながら、男爵令嬢が殺意のこもった視線を向けてくる。
何を言っているのかもわからないけど、その苛立ちは嫌でも伝わっていた。
何をそんなに? なんて思うのだけど、リアム殿下と同じタイプなら、悩むだけ無駄よね。
それにしても、
「ドレイク殿下。アドリブや、イベントって、何の話しをしているのだとーー」
「だから!!!! 糞みたいな声しか当ててもらえないクズキャラが! 白竜様に話しかけるなって言ってるだろうが!!!!」
「あら、そうだったわね。ごめんなさい」
軽く会釈をすると、彼女の怒りが更に燃え上がって見えた。
あまりにも対処が面倒で、顔を下げたドレイク殿下と視線をあわせて、肩をすくめる。
「死ねよ! すぐ、死ねよ!!」
どうやら、それもダメだったみたい。
おそらくだけど、私がドレイクと仲良くしているのが気に入らないのだと思う。
「1つ聞くわね? マリリンさんは、リアム殿下と婚約したのではないの?」
お金のため、地位のため、国の発展のため。
理由はわからないのだけど、男爵家から王家に嫁ぐのであれば、吟遊詩人が語り継ぐほどの功績だ。
本人も望んでいたと思うのだけど、どう見ても違うみたい。
「ノーマルエンドと婚約? そんなもの、前座よ、前座! サブイベントに決まってんだろ! こんなクソ王子の婚約者なんて、絶対にイヤよ!」
お前も登場人物なら、進行表くらい把握しとけよな!
なんて、令嬢があざ笑う。
理解出来ない部分が多いけど、リアム殿下との婚約はイヤだ、の部分だけは、この上なく同意出来てしまった。
「それで? あなたはどうしたいのかしら?」
「決まってるじゃない! 私は白竜様と結婚するの! それが主人公の運命だもの!!」
「……そう言っているけど?」
「悪いね。キミみたいな子と結婚する気はないよ」
「いいえ! そんなことはないです! 白竜様は、私と結婚する以外の未来はないんです」
「…………」
ダメね。
この子には、何を言っても無意味みたい。
さてと、どうしたものかしら。
リリたちの到着までは、もう少し時間が必要だから……。
などと思っていると、不意に周囲が慌ただしくなった。
聞こえてくるのは、焦りを含んだ男性の声と、馬の駆ける音。
「メアリ嬢! 無事か!?」
「ラテス殿下……?」
聞こえて来た声に振り向くと、立派な馬に跨がった王子様が単身で駆け寄っていた。
「すまない、待たせてしまったね」
颯爽と馬から下りたラテス殿下が、リアムと男爵令嬢に向けて剣を抜く。
緊張感をまとったまま、メアリを守るように肩を並べた。
「どうしてここに?」
「天空を回る白き竜の姿は、王都のどこからでも見えるからね。背に乗る人物の存在を聞いて、駆けてきたんだ」
「そうね。確かに愚問だったわ」
王都での出来事は、王宮に伝わり、王子にも伝わる。
小さな子でも予想出来ることを聞くなんて、私も言葉の通じない2人に当てられていたみたい。
「ラテス! 一度や二度に飽きたらず、また余の邪魔をするのか!」
「いえいえ。それは心外ですね。私は国をより良い方向へと導く、そのお手伝いをしているだけですよ」
「キサマぁ!!!!」
ラテスと、リアム。
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「準備は整ったわね」
口元に優雅な笑みを浮かべたメアリが周囲を見渡して、静かに微笑んでいた。
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