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水族館で魚が美味そうに見えても口にしてはいけない
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池田山に行ってから、一週間が経過した。今日は日曜日、キティの帰国まであと一週間である。
俺はその日、名古屋駅にいた。
名古屋駅でキティを待っていた。
先日のことである。放課後、ジョギングをし終えた俺をキティは部室で待っていた。あと少しで帰国してしまう友人ともっと話しておくべきなのかもしれないが、なんだか照れくさくて、特別何かをすることはなかった。上高地では毎日のように話していたというのに。
キティは俺に、次の日曜に水族館に行きたいといった。名古屋の水族館は日本で一番の広さを誇る。最後の観光をするには悪くないだろう。俺はキティの申し出を聞き入れた。
本当のことを言うと、二年の部員全員で、行きたかったのだが、生憎ほかのメンバーは全員用事があるというので、俺たちの二人だけとなってしまった。
それにしても雄大は釣りぐらい日程をずらせばいいのに。木曽川で釣りなんていつでもできるだろうが。
やがて、キティがやってきた。
「すみません、待ちましたか?」
「いや、今来たところだ」
「……行きましょうか」
「そうだな」
さすが、日曜とあって、水族館は混雑していた。開館四年の水族館が閑散としていても困るだろうが。
入館するのに大分時間がかかってしまったが、中は適度に人がばらけていて、鑑賞するのには困らなかった。
「ここの目玉って何なんですか?」
「確か、亀かな?」
アカウミガメのふ化に成功したとかどうとか。世界初か、日本初かは忘れた。
「イルカとか、ペンギンとかもいるらしい」
「そうなんですか」
周りの客は、大抵が家族連れか、カップルであった。まあ、予想できたことではあるが。
ぐるぐると水族館を回って様々な海洋生物を見た。小魚をはじめ、サメなどの大型魚類、亀や、ペンギンや、イルカなどなど。
キティはすごく楽しそうだった(街を歩くだけで目を輝かさせる彼女であるので、当然と言えば当然だが)。さすがに、海洋生物学者ではない俺は、キティの質問すべてに答える努力はしたが、答えられないこともたくさんあった。今度図書館で魚の本でも読んでみようかなと思うのだった。
複数種の魚が泳ぐ、水槽を見ているとき、イワシの群れを見た俺はとっさに、
「なんかうまそうだな」
と言ってしまった。水族館でさすがにこれは、失言だと思ったが、キティは、
「実は私もそう思っちゃいました」
と言って笑った。
ぷらぷらと歩いてゆき、人が少ないところに来た。展示されているのは地味な川魚たちで、ぶっちゃけて言うと、素人目にはどれも同じに見えた。
それでもキティは興味津々に水槽を覗き込んでは、あの流木に隠れている、だとか、あっちの魚とここが違うだとかをあげてみせて、俺はまるで、小さな妹を連れて歩いているような気さえした。
そんなキティであったが、随分と薄暗いところに来た時に、一瞬固まり、見る見るうちに赤い顔になった。
「どうした」
俺はキティに近づいて行って尋ねる。そして、キティの視線の先を見ると、若いカップルが熱い抱擁をかわし、キスをしていた。
自粛しろよ、と俺は舌打ちをして、キティの手を取って、その場をさっと離れた。
「びっくりしましたね」
休憩所で、カップの中の飲み物をかき混ぜながら、キティが言う。
「そうだな。恋は盲目っていうからな。まったく周りの目を考えてほしいよ。……あ、お前の国だと、外でキスするのは普通なのか?」
「まあそうですね。よく見かけます。日本人はシャイですよね」
「まあそうだな。そもそも未婚の男女が一緒にいること自体よくないって言う風潮が最近まであったからな。逢引きって言葉があるくらいだし。
今でも大分ましになったと思うが、ヨーロッパ人に比べたらシャイなんだろうな」
「あの、美山さんって、誰かとお付き合いしたことありますか?」
「ないよ」
「じゃあ、キスも?」
「あるわけないだろ」
「今してみますか?」
えっ。こいつは一体何言ってんだ。キティはそういって瞳を閉じ、唇を俺のほうへ近づけてくる。とっさに手を顔の前に持ってくる。
「おい、ちょっ、キティ、公衆の面前で」
不覚にも俺はパニックになって固まってしまった。心臓が早鐘のごとく拍動している。
うふふふ、笑い声が聞こえる。見るとキティは腹を抱えて笑っている。
「冗談ですよ。美山さん、慌てすぎです」
まったく、質の悪い冗談だ。
「全く笑えんぞ」
「じゃあこれで勘弁してください」
そういってキティは俺の頬に軽く口づけをした。それからすたっと立って、
「じゃあ、行きましょうか」
「おお」
俺は上の空で答えた。
「あっ」
「どうした?」
「今、山岸さんがいたような」
「雄大が?そんなわけ。他人の空似だろ」
だってあいつは木曽川で釣りをしているんだから。
「そうですか……」
俺たちはイルカショーを見てから、水族館を後にした。
電車の中で話はキティの国のことについて移っていた。
「前に私の国のことを話しましたよね」
「ああ」
「それで、この前、蛍を見た時、北アイルランドに来るといい、と私言いましたよね」
「言ったな」
「撤回です。北アイルランドは今危ないです。皆さんを危険な目にあわせるわけにはいきません」
「……お前は、そんなところに帰ろうとしているのか? 落ち着くまで日本にいたほうがいいんじゃないか」
「それは……魅力的な提案ですね」
「だろう」
「でも無理です」
「どうして?」
「北アイルランドは私の故郷ですから。私の家族がいて、私の育った町があって。そして日本に負けないくらいきれいな風景もあります。いくら危険であっても私にはかけがえのない、故郷なんです」
「そういうものか。……やっぱり、アイルランド人の血を引くお前は、南部と合併して一つの国になりたいという気持ちがあるのか?」
「私は……IRAは好きではありません。人を殺して得た国がよい国だとは思えません」
「……お前たちカトリック系は、連合王国の中じゃ、少数派だ。差別されてきた歴史もある。自分たちの身を守る必要もあるだろ」
「そうだとしても、そのやり方に暴力を含めるわけにはいきません。憎しみはさらなる憎しみを生みます。何の解決にもならないのです」
「じゃあ、戦わずに屈するというのか?」
「戦い方は一つじゃないですよ。つまりこぶしを握ることが唯一の戦い方ではありません。
私達にはいろんな権利があります。カトリック系のアイリッシュは確かにその権利の一部を認められていないような状況なのかもしれません。ですが権利を守るために戦わなければならないのは、どの国民も一緒ですよ。日本人もそうです」
「日本人が?」
「ええ。例えば、日本の人が、自分たちの意見を国に言うためにはどうしますか?」
「一番効きそうなのは、政治家になるとか、官僚のトップを目指すとかかな」
「そうですね。でもそれをできるのは一部の人です」
「他だったら、選挙に行って、自分の意見に近い政治家を選ぶってとこか?」
「そうです。それも戦いなんですよ。権利というものは、不思議なもので、自然と与えられるもののように言われることが多いですが、実はそれを持ち続けるためには、それを持ち続けようとする強い意志が必要なのです。先ほどの例で言いますと、選挙に行かない人は戦っておりませんし、周りに流されて投票する人も正確には戦っていません。そういう人たちには、厳しい言い方ですが、権利を保持する資格はないのです」
「なるほどねえ」
キティの言わんとすることは何となくわかった。
「じゃあ、もし血を流さないで、お前たちアイルランド人が再び一つになれるとしたらどうだ?やっぱりうれしいのか?現実的な問題は無視しての話だ」
「んー、それはどうなんでしょうね。確かに私はブリテンの人とは違います。アイルランド人の血を引いていることに誇りも持っています。ですが、私は北アイルランド人であると同時に、連合王国の一員でもあるのです。今となっては、スコットランド人も、イングランド人も、ウェールズ人も北アイルランド人もみな同じく、連合王国の国民なのです。北アイルランドに住むブリテンの人も、北アイルランドで生まれているんです。短いながらもそこには歴史があり、文化があります。それをひっくり返してまで、アイルランドを統合する価値があるとは私には思えませんね」
俺はこの、北アイルランドから来た少女が、俺よりずっと、広く世界を見ているのだと思った。
俺はその日、名古屋駅にいた。
名古屋駅でキティを待っていた。
先日のことである。放課後、ジョギングをし終えた俺をキティは部室で待っていた。あと少しで帰国してしまう友人ともっと話しておくべきなのかもしれないが、なんだか照れくさくて、特別何かをすることはなかった。上高地では毎日のように話していたというのに。
キティは俺に、次の日曜に水族館に行きたいといった。名古屋の水族館は日本で一番の広さを誇る。最後の観光をするには悪くないだろう。俺はキティの申し出を聞き入れた。
本当のことを言うと、二年の部員全員で、行きたかったのだが、生憎ほかのメンバーは全員用事があるというので、俺たちの二人だけとなってしまった。
それにしても雄大は釣りぐらい日程をずらせばいいのに。木曽川で釣りなんていつでもできるだろうが。
やがて、キティがやってきた。
「すみません、待ちましたか?」
「いや、今来たところだ」
「……行きましょうか」
「そうだな」
さすが、日曜とあって、水族館は混雑していた。開館四年の水族館が閑散としていても困るだろうが。
入館するのに大分時間がかかってしまったが、中は適度に人がばらけていて、鑑賞するのには困らなかった。
「ここの目玉って何なんですか?」
「確か、亀かな?」
アカウミガメのふ化に成功したとかどうとか。世界初か、日本初かは忘れた。
「イルカとか、ペンギンとかもいるらしい」
「そうなんですか」
周りの客は、大抵が家族連れか、カップルであった。まあ、予想できたことではあるが。
ぐるぐると水族館を回って様々な海洋生物を見た。小魚をはじめ、サメなどの大型魚類、亀や、ペンギンや、イルカなどなど。
キティはすごく楽しそうだった(街を歩くだけで目を輝かさせる彼女であるので、当然と言えば当然だが)。さすがに、海洋生物学者ではない俺は、キティの質問すべてに答える努力はしたが、答えられないこともたくさんあった。今度図書館で魚の本でも読んでみようかなと思うのだった。
複数種の魚が泳ぐ、水槽を見ているとき、イワシの群れを見た俺はとっさに、
「なんかうまそうだな」
と言ってしまった。水族館でさすがにこれは、失言だと思ったが、キティは、
「実は私もそう思っちゃいました」
と言って笑った。
ぷらぷらと歩いてゆき、人が少ないところに来た。展示されているのは地味な川魚たちで、ぶっちゃけて言うと、素人目にはどれも同じに見えた。
それでもキティは興味津々に水槽を覗き込んでは、あの流木に隠れている、だとか、あっちの魚とここが違うだとかをあげてみせて、俺はまるで、小さな妹を連れて歩いているような気さえした。
そんなキティであったが、随分と薄暗いところに来た時に、一瞬固まり、見る見るうちに赤い顔になった。
「どうした」
俺はキティに近づいて行って尋ねる。そして、キティの視線の先を見ると、若いカップルが熱い抱擁をかわし、キスをしていた。
自粛しろよ、と俺は舌打ちをして、キティの手を取って、その場をさっと離れた。
「びっくりしましたね」
休憩所で、カップの中の飲み物をかき混ぜながら、キティが言う。
「そうだな。恋は盲目っていうからな。まったく周りの目を考えてほしいよ。……あ、お前の国だと、外でキスするのは普通なのか?」
「まあそうですね。よく見かけます。日本人はシャイですよね」
「まあそうだな。そもそも未婚の男女が一緒にいること自体よくないって言う風潮が最近まであったからな。逢引きって言葉があるくらいだし。
今でも大分ましになったと思うが、ヨーロッパ人に比べたらシャイなんだろうな」
「あの、美山さんって、誰かとお付き合いしたことありますか?」
「ないよ」
「じゃあ、キスも?」
「あるわけないだろ」
「今してみますか?」
えっ。こいつは一体何言ってんだ。キティはそういって瞳を閉じ、唇を俺のほうへ近づけてくる。とっさに手を顔の前に持ってくる。
「おい、ちょっ、キティ、公衆の面前で」
不覚にも俺はパニックになって固まってしまった。心臓が早鐘のごとく拍動している。
うふふふ、笑い声が聞こえる。見るとキティは腹を抱えて笑っている。
「冗談ですよ。美山さん、慌てすぎです」
まったく、質の悪い冗談だ。
「全く笑えんぞ」
「じゃあこれで勘弁してください」
そういってキティは俺の頬に軽く口づけをした。それからすたっと立って、
「じゃあ、行きましょうか」
「おお」
俺は上の空で答えた。
「あっ」
「どうした?」
「今、山岸さんがいたような」
「雄大が?そんなわけ。他人の空似だろ」
だってあいつは木曽川で釣りをしているんだから。
「そうですか……」
俺たちはイルカショーを見てから、水族館を後にした。
電車の中で話はキティの国のことについて移っていた。
「前に私の国のことを話しましたよね」
「ああ」
「それで、この前、蛍を見た時、北アイルランドに来るといい、と私言いましたよね」
「言ったな」
「撤回です。北アイルランドは今危ないです。皆さんを危険な目にあわせるわけにはいきません」
「……お前は、そんなところに帰ろうとしているのか? 落ち着くまで日本にいたほうがいいんじゃないか」
「それは……魅力的な提案ですね」
「だろう」
「でも無理です」
「どうして?」
「北アイルランドは私の故郷ですから。私の家族がいて、私の育った町があって。そして日本に負けないくらいきれいな風景もあります。いくら危険であっても私にはかけがえのない、故郷なんです」
「そういうものか。……やっぱり、アイルランド人の血を引くお前は、南部と合併して一つの国になりたいという気持ちがあるのか?」
「私は……IRAは好きではありません。人を殺して得た国がよい国だとは思えません」
「……お前たちカトリック系は、連合王国の中じゃ、少数派だ。差別されてきた歴史もある。自分たちの身を守る必要もあるだろ」
「そうだとしても、そのやり方に暴力を含めるわけにはいきません。憎しみはさらなる憎しみを生みます。何の解決にもならないのです」
「じゃあ、戦わずに屈するというのか?」
「戦い方は一つじゃないですよ。つまりこぶしを握ることが唯一の戦い方ではありません。
私達にはいろんな権利があります。カトリック系のアイリッシュは確かにその権利の一部を認められていないような状況なのかもしれません。ですが権利を守るために戦わなければならないのは、どの国民も一緒ですよ。日本人もそうです」
「日本人が?」
「ええ。例えば、日本の人が、自分たちの意見を国に言うためにはどうしますか?」
「一番効きそうなのは、政治家になるとか、官僚のトップを目指すとかかな」
「そうですね。でもそれをできるのは一部の人です」
「他だったら、選挙に行って、自分の意見に近い政治家を選ぶってとこか?」
「そうです。それも戦いなんですよ。権利というものは、不思議なもので、自然と与えられるもののように言われることが多いですが、実はそれを持ち続けるためには、それを持ち続けようとする強い意志が必要なのです。先ほどの例で言いますと、選挙に行かない人は戦っておりませんし、周りに流されて投票する人も正確には戦っていません。そういう人たちには、厳しい言い方ですが、権利を保持する資格はないのです」
「なるほどねえ」
キティの言わんとすることは何となくわかった。
「じゃあ、もし血を流さないで、お前たちアイルランド人が再び一つになれるとしたらどうだ?やっぱりうれしいのか?現実的な問題は無視しての話だ」
「んー、それはどうなんでしょうね。確かに私はブリテンの人とは違います。アイルランド人の血を引いていることに誇りも持っています。ですが、私は北アイルランド人であると同時に、連合王国の一員でもあるのです。今となっては、スコットランド人も、イングランド人も、ウェールズ人も北アイルランド人もみな同じく、連合王国の国民なのです。北アイルランドに住むブリテンの人も、北アイルランドで生まれているんです。短いながらもそこには歴史があり、文化があります。それをひっくり返してまで、アイルランドを統合する価値があるとは私には思えませんね」
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