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第3章 はぁ。
第28話 帰り道
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「あの…今日はありがと」
「い、いや! 良いんだ!! 気にしないで!! また手伝うよ!!」
時刻は午後7時頃。俺は昇降口前で葵と高波くんと言われていた男子の話を見守っていた。
「最初、まさか葵のお兄さんだったとは気づきませんでしたよ…」
「そうだよね、この髪型だとね」
そんな中、俺は環ちゃんと2人を待っている間、世間話をしていた。
そう言えばこの姿見せるの初めてだったな。環ちゃんにも、葵にも。
俺は基本的に製作をする時は、ワックスで髪をキメて集中してやる事にしている。これをやれば頭が冴え渡って、いつもの自分と変わった気になれるから。しかもこれをやれば、何故か皆んな声を掛けてこず、製作がやりやすい。
何故かは分からないが。
「はぁ、お待たせ」
葵が大きく溜息を吐きながら、此方へとやって来る。
「あ、無事に終わった?」
「無事にって…普通に話して来ただけだけど」
ん?葵と高波くんの間に何かあるのか?
葵と環ちゃんの話でそう思った俺だが、余計な事をまた言ってもこんがらがるだけだと判断し、そのまま帰路へと向かったのだった。
「今日で大分作業が進みました。ありがとうございます」
「お役に立てて何より。また手伝って欲しい時は言ってくれ」
葵が素直に頭を下げて来るのに対して俺は、すぐに頭を上げさせる様に言う。
こういう関連なら幾らでも手伝える事はあるからな。遠慮せずに言って欲しい。
「葵のお兄さんって物知りなんですね! とても勉強になりました!」
「物知りって言っても少し美術関係に特化してるだけだよ」
「それでも凄いです!! あんな事知ってる人なんてそうそう居ませんよ~!」
本音なのか、それとも気を遣っているのか…環ちゃんが俺を持ち上げてくる。お世辞でも嬉しい。
しかしーー
「……上には上がいるよ。俺なんて世界で見れば底辺の底辺だ」
「せ、世界ですか…」
テンション高く言ってくる環ちゃんに俺は言う。
そう。これが現実だ。
父さんの息子だって持て囃された俺でも、世界では底辺。日本では中の下と言った所だ。自信満々に言える事ではない。
それに加え、知識があったとしても美術関係を仕事にして生活して行ける人は上位の中でも一握り。知識があったとて、宝の持ち腐れ、センスがない者は淘汰される世界だ。
そんな世界で俺は、ただの有象無象に過ぎない。俺は凄い奴ではない。
「そんな事ありません。それは断言できます」
しかし、そこで隣で話を聞いてただけの葵が突然話に入って来る。
「…へぇ、断言と来たか。何故か聞いてもいいか?」
まさか葵が否定してくるなんて思いもしなかった。だけど、俺が世界の底辺っていう意見を変える気はないが?
「……貴方の大学は美術大学の中でも最高レベルの大学であると聞きました」
「えっ!? そうなの!?」
葵が言った事に対し、環ちゃんが反応を見せる。
葵、親父から聞いたな…?
そう。俺の大学は世界でもトップクラスの美術大学だ。その為、世界の天才が良く集まり、切磋琢磨する。日本で言う東大の世界版と言った所だ。
「そんな所に通っている貴方は少なからず、世界の上の方には居るのでは? そんな狭き門に合格したのだから」
葵は言い切ると、何処か胸を張りドヤ顔を決めている。そして、そんなドヤ顔を見せている葵を微笑ましく見る環ちゃん。
はは……何も知らない癖に。
「はぁ。なるほど? それで?」
「「え?」」
俺が聞き返すと、2人は目を丸くして此方を向いた。
「それでって…いや、その…」
「…それで終わりか? なら早く帰ろう。実はまだ飯の準備してないんだ」
俺は努めて明るく言うと、2人の先を歩いて行った。
「い、いや! 良いんだ!! 気にしないで!! また手伝うよ!!」
時刻は午後7時頃。俺は昇降口前で葵と高波くんと言われていた男子の話を見守っていた。
「最初、まさか葵のお兄さんだったとは気づきませんでしたよ…」
「そうだよね、この髪型だとね」
そんな中、俺は環ちゃんと2人を待っている間、世間話をしていた。
そう言えばこの姿見せるの初めてだったな。環ちゃんにも、葵にも。
俺は基本的に製作をする時は、ワックスで髪をキメて集中してやる事にしている。これをやれば頭が冴え渡って、いつもの自分と変わった気になれるから。しかもこれをやれば、何故か皆んな声を掛けてこず、製作がやりやすい。
何故かは分からないが。
「はぁ、お待たせ」
葵が大きく溜息を吐きながら、此方へとやって来る。
「あ、無事に終わった?」
「無事にって…普通に話して来ただけだけど」
ん?葵と高波くんの間に何かあるのか?
葵と環ちゃんの話でそう思った俺だが、余計な事をまた言ってもこんがらがるだけだと判断し、そのまま帰路へと向かったのだった。
「今日で大分作業が進みました。ありがとうございます」
「お役に立てて何より。また手伝って欲しい時は言ってくれ」
葵が素直に頭を下げて来るのに対して俺は、すぐに頭を上げさせる様に言う。
こういう関連なら幾らでも手伝える事はあるからな。遠慮せずに言って欲しい。
「葵のお兄さんって物知りなんですね! とても勉強になりました!」
「物知りって言っても少し美術関係に特化してるだけだよ」
「それでも凄いです!! あんな事知ってる人なんてそうそう居ませんよ~!」
本音なのか、それとも気を遣っているのか…環ちゃんが俺を持ち上げてくる。お世辞でも嬉しい。
しかしーー
「……上には上がいるよ。俺なんて世界で見れば底辺の底辺だ」
「せ、世界ですか…」
テンション高く言ってくる環ちゃんに俺は言う。
そう。これが現実だ。
父さんの息子だって持て囃された俺でも、世界では底辺。日本では中の下と言った所だ。自信満々に言える事ではない。
それに加え、知識があったとしても美術関係を仕事にして生活して行ける人は上位の中でも一握り。知識があったとて、宝の持ち腐れ、センスがない者は淘汰される世界だ。
そんな世界で俺は、ただの有象無象に過ぎない。俺は凄い奴ではない。
「そんな事ありません。それは断言できます」
しかし、そこで隣で話を聞いてただけの葵が突然話に入って来る。
「…へぇ、断言と来たか。何故か聞いてもいいか?」
まさか葵が否定してくるなんて思いもしなかった。だけど、俺が世界の底辺っていう意見を変える気はないが?
「……貴方の大学は美術大学の中でも最高レベルの大学であると聞きました」
「えっ!? そうなの!?」
葵が言った事に対し、環ちゃんが反応を見せる。
葵、親父から聞いたな…?
そう。俺の大学は世界でもトップクラスの美術大学だ。その為、世界の天才が良く集まり、切磋琢磨する。日本で言う東大の世界版と言った所だ。
「そんな所に通っている貴方は少なからず、世界の上の方には居るのでは? そんな狭き門に合格したのだから」
葵は言い切ると、何処か胸を張りドヤ顔を決めている。そして、そんなドヤ顔を見せている葵を微笑ましく見る環ちゃん。
はは……何も知らない癖に。
「はぁ。なるほど? それで?」
「「え?」」
俺が聞き返すと、2人は目を丸くして此方を向いた。
「それでって…いや、その…」
「…それで終わりか? なら早く帰ろう。実はまだ飯の準備してないんだ」
俺は努めて明るく言うと、2人の先を歩いて行った。
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