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第4章 …ありがとう
第33話 告白(過去)
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「だからぁ! 世理はこっちの方が絶対良いって言ってるでしょ!?」
「いやいやいや! 何を決めつけているんですか!? 俺はこっちの方が良いんですよ!?」
部活が終わって居残りの製作を終え、少し遅めの帰り道。俺達は商店街の服屋で言い争いをしていた。
「こっちの方が暗い性格の世理にはピッタリ!!」
「暗い性格だからこそ暗い感じの服装の方が似合うんですよ!!」
「あのー…」
「「何!!」」
「もうそろそろ閉店なのですが…」
「「あ、出ます」」
俺達は2人で店員に言うと、店から出た。
「はぁー…楽しかったぁ…」
「もう疲れました。早く帰りましょう」
「えー…もう帰るのもなー…」
帰り道。俺達は白い息を吐きながら駅へと向かっていた。
那由さんの家は厳格な家系をしている。
その為、自由な事をするのは高校までと言われており、時間も今だけはそれなりにルーズとされている。
その所為もあってか、那由さんは今をよく楽しもうとしている。最近は俺と一緒に帰るのだが、毎日夜遅くに帰っている。
「ハックシュンッ!!」
「那由さん、俺に付き合わなくても良いんですよ?」
「別に良いでしょ! こんな日に1人っていうのも虚しいし」
時は12月24日、世に言うクリスマスイブ。学校で遅くまで製作をした後、那由さんに誘われて商店街に来ていた。
「まぁ、そうですけど…あまり遅くなったら親御さんが心配しますよ?」
「…今親の話はしないでよ」
那由さんは親の事はあまり好ましく思ってはいない。自分を育ててくれたとは言え、自分の未来を縛る親に随分嫌気が差している様だ。
「「…」」
ハッキリ言ってそう言われると何も言えない。俺は親父の事が嫌いだが、感謝はしているからだ。
…先生が言っていたのはこういう事だったのかもしれない。
お互いの刺激になる…親に嫌気が差している那由さん、親父の事は嫌いだが感謝している俺。
似ている様で、大きな違いだ。
部活の先生がそこまで家庭の事情を理解しているのかは分からないが…椿先生って何かと鋭そうだからな。
そして長い沈黙が続き、那由さんが沈黙を破った。
「別に世理の練習に嫌で付き合ってる訳じゃないんだよ?」
「え"、そうなんですか?」
「何でそこでそんな顔するのよ!?」
だっていつも「いつ終わるのよー」とかって絵を描いてる俺にプレッシャー掛けてくるからてっきり…
「……私は好きで世理の練習に付き合ってる…いずれは自分の為になると思って…悪い?」
「あ、あぁ。そうですよね。分かってました」
俺達が話し始めたのは先生がきっかけを作ったからだ。それが役に立つと那由さんは本能的に理解しているって事なのか?
那由さんは大きく鼻で息を吐くと、突然真面目そうな表情を浮かべて俺の方を見て来る。
「……あのさー…世理」
「はい? 何ですか?」
こういう事最近多いんだよな。真剣な表情で話し掛けて、俺の様子を楽しんだ後にたわいも無い話をする。
ジュースならもう奢らないし、荷物も持ちませんよ?
「良かったら私と付き合ってみない?」
……ん? もしかしたら俺の耳がおかしくなってしまったのかもしれない。幻聴が聞こえた。
「もう一回「は言わないから」
…。
「それは、あの、恋愛的な付き合うって事…ですか?」
そう言うと那由さんは俯いた後、小声で言った。
「……そうだけど?」
「……本気で言ってます?」
…見た感じ、冗談で言ってる様には見えない。
「ほ、本気も本気!!」
あぁ…それならもう答えは決まってる。
「あの「この際貴方と付き合って色んな経験をしてみたいのよ!!」
「……なるほど。じゃあ付き合ってみますか」
「本当!?」
「はい」
その時の那由さんは本当に嬉しそうに笑っていた。
だけどーー
この時の少しの沈黙に、俺が想いをぶつけていたら結果は違っていたのだろうか。
12月24日、20時頃。
俺は初めて告白? され、初めて彼女が出来た。
「いやいやいや! 何を決めつけているんですか!? 俺はこっちの方が良いんですよ!?」
部活が終わって居残りの製作を終え、少し遅めの帰り道。俺達は商店街の服屋で言い争いをしていた。
「こっちの方が暗い性格の世理にはピッタリ!!」
「暗い性格だからこそ暗い感じの服装の方が似合うんですよ!!」
「あのー…」
「「何!!」」
「もうそろそろ閉店なのですが…」
「「あ、出ます」」
俺達は2人で店員に言うと、店から出た。
「はぁー…楽しかったぁ…」
「もう疲れました。早く帰りましょう」
「えー…もう帰るのもなー…」
帰り道。俺達は白い息を吐きながら駅へと向かっていた。
那由さんの家は厳格な家系をしている。
その為、自由な事をするのは高校までと言われており、時間も今だけはそれなりにルーズとされている。
その所為もあってか、那由さんは今をよく楽しもうとしている。最近は俺と一緒に帰るのだが、毎日夜遅くに帰っている。
「ハックシュンッ!!」
「那由さん、俺に付き合わなくても良いんですよ?」
「別に良いでしょ! こんな日に1人っていうのも虚しいし」
時は12月24日、世に言うクリスマスイブ。学校で遅くまで製作をした後、那由さんに誘われて商店街に来ていた。
「まぁ、そうですけど…あまり遅くなったら親御さんが心配しますよ?」
「…今親の話はしないでよ」
那由さんは親の事はあまり好ましく思ってはいない。自分を育ててくれたとは言え、自分の未来を縛る親に随分嫌気が差している様だ。
「「…」」
ハッキリ言ってそう言われると何も言えない。俺は親父の事が嫌いだが、感謝はしているからだ。
…先生が言っていたのはこういう事だったのかもしれない。
お互いの刺激になる…親に嫌気が差している那由さん、親父の事は嫌いだが感謝している俺。
似ている様で、大きな違いだ。
部活の先生がそこまで家庭の事情を理解しているのかは分からないが…椿先生って何かと鋭そうだからな。
そして長い沈黙が続き、那由さんが沈黙を破った。
「別に世理の練習に嫌で付き合ってる訳じゃないんだよ?」
「え"、そうなんですか?」
「何でそこでそんな顔するのよ!?」
だっていつも「いつ終わるのよー」とかって絵を描いてる俺にプレッシャー掛けてくるからてっきり…
「……私は好きで世理の練習に付き合ってる…いずれは自分の為になると思って…悪い?」
「あ、あぁ。そうですよね。分かってました」
俺達が話し始めたのは先生がきっかけを作ったからだ。それが役に立つと那由さんは本能的に理解しているって事なのか?
那由さんは大きく鼻で息を吐くと、突然真面目そうな表情を浮かべて俺の方を見て来る。
「……あのさー…世理」
「はい? 何ですか?」
こういう事最近多いんだよな。真剣な表情で話し掛けて、俺の様子を楽しんだ後にたわいも無い話をする。
ジュースならもう奢らないし、荷物も持ちませんよ?
「良かったら私と付き合ってみない?」
……ん? もしかしたら俺の耳がおかしくなってしまったのかもしれない。幻聴が聞こえた。
「もう一回「は言わないから」
…。
「それは、あの、恋愛的な付き合うって事…ですか?」
そう言うと那由さんは俯いた後、小声で言った。
「……そうだけど?」
「……本気で言ってます?」
…見た感じ、冗談で言ってる様には見えない。
「ほ、本気も本気!!」
あぁ…それならもう答えは決まってる。
「あの「この際貴方と付き合って色んな経験をしてみたいのよ!!」
「……なるほど。じゃあ付き合ってみますか」
「本当!?」
「はい」
その時の那由さんは本当に嬉しそうに笑っていた。
だけどーー
この時の少しの沈黙に、俺が想いをぶつけていたら結果は違っていたのだろうか。
12月24日、20時頃。
俺は初めて告白? され、初めて彼女が出来た。
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