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第4章 …ありがとう
第36話 フェイズ3
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「ありがとう。スッキリした」
「寝るなら寝ると言って下さい」
時刻は20時を過ぎた頃。俺は葵と向かい合って座り、葵の作ったカレーを食べていた。
膝枕をされて目を閉じた俺はいつの間にか眠っていたらしく、もう2時間程時間が経っていた。
「どうですか? 美味しいですか?」
「美味しい」
「ふふっ…そ、そうですか」
偽りなく、葵の作ったカレーは美味しい。でもそんな反応が返って来るとは思わなかったな…。
「…よし。これでフェイズ2までは成功…でもこれからはちょっと…」
葵は何処か口角を上げて、不気味な笑みを浮かべたり、眉間に皺を寄せたりを繰り返している。ハッキリ言って意味が分からないが…
「ご馳走様。じゃ、俺風呂入って来るな」
一先ずは風呂だ。急に葵が膝枕なんてして来るから、変な汗をかいてしまった。
「は…はい…」
俺は食器をキッチンへと運ぶと、そのままリビングを後にして着替えを部屋から持ち、風呂へと向かった。
「はぁー」
ザァーッ
俺は頭からシャワーを浴びて項垂れる。
那由さんには"大嫌い"と言われ、葵には膝枕をされた上に料理まで作って貰った。
恐らくーー
どちらも大学の事が原因で起こった出来事だ。那由さんとは別れた時の事を思い出させ、葵には大学の事を話している時冷たく接してしまった。
「…大学に行かなかったら…こうはなってなかった」
絵から離れ、何処かの企業に就職して、那由さんともなんだかんだで上手く行ったのかもしれない。
今となってはたられはでしかない話だが。
キュッ
シャワーの蛇口を閉めると、石鹸を手に取る。
これ以上ウダウダしてても仕方がない。早く風呂から上がって絵を描こう、そう思った時だった。
「あ、あの…」
風呂場の曇りガラスに人影が映る。
「葵か? どうした?」
「いえ、その…シャンプーってありましたっけ?」
「ん? あぁ、この青の容器のか?」
何処かオシャレなシャンプーが置いてある。中心には赤いバラが描かれていて、俺の使うやっすいシャンプーとは違う高級感を醸し出している。
俺はそれを手に取ると、容器を振り、中身の確認をする。
「いや…まだ入ってるぞ」
ガラガラガラッ
「失礼します…」
「え……」
背後から扉の開閉の音、そしてさっきまで少し篭っていた葵の声が風呂場へと響き渡った。
今の俺は1人で風呂に入っていた。勿論タオルなんて持っていない。
そう。つまりスッポンポンな訳だ。
「いやいやいや!!? な、何で入って来てんだよ!!?」
俺は咄嗟に股間を手で隠し、お尻丸出しの姿で葵へと叫んだ。
後ろにはバスタオルを巻いた葵の姿があった。女性らしいラインが明確に出ており、俺は自然とそこに釘付けになっていた。
「あ、そ、その…か、身体をす、すみ…!」
顔は赤らめて目は伏せている葵は、途切れ途切れに呟く。
それは風呂場で反響し、俺の耳に緊張しているという感情がダイレクトに伝わって来ていた。
「す…隅…」
羞恥と緊張の感情が織り混ざった様なそんな表情だ。そりゃあそうだろう。家族とは言え裸同然の姿を見せているんだ。そんな顔にもなる。
「隅々まで洗おうか……?」
「……ん?」
何か今…葵が何か言ったような…
「あ、葵」
そう思って、一度聞こうと思ったその時だった。
「な、なんでもありません!!!」
ガラガラガラッ
葵はそう言うと、大きな声で叫び風呂場から出て行った。
ドタバタッ
そして大きな物音を立てる。着替えでもしてるのか、布が擦れてるような、そんな音が聞こえる。
「こんなの出来る訳ないでしょーっ!!?」
誰に言ってるのか、脱衣所から出たであろう葵の少し離れた所から響く声に俺は目を閉じた。
「義妹…妹…家族…」
俺はまたシャワーの蛇口を捻ると、今度は冷水を頭から被り、冷静さを取り戻すのだった。
「寝るなら寝ると言って下さい」
時刻は20時を過ぎた頃。俺は葵と向かい合って座り、葵の作ったカレーを食べていた。
膝枕をされて目を閉じた俺はいつの間にか眠っていたらしく、もう2時間程時間が経っていた。
「どうですか? 美味しいですか?」
「美味しい」
「ふふっ…そ、そうですか」
偽りなく、葵の作ったカレーは美味しい。でもそんな反応が返って来るとは思わなかったな…。
「…よし。これでフェイズ2までは成功…でもこれからはちょっと…」
葵は何処か口角を上げて、不気味な笑みを浮かべたり、眉間に皺を寄せたりを繰り返している。ハッキリ言って意味が分からないが…
「ご馳走様。じゃ、俺風呂入って来るな」
一先ずは風呂だ。急に葵が膝枕なんてして来るから、変な汗をかいてしまった。
「は…はい…」
俺は食器をキッチンへと運ぶと、そのままリビングを後にして着替えを部屋から持ち、風呂へと向かった。
「はぁー」
ザァーッ
俺は頭からシャワーを浴びて項垂れる。
那由さんには"大嫌い"と言われ、葵には膝枕をされた上に料理まで作って貰った。
恐らくーー
どちらも大学の事が原因で起こった出来事だ。那由さんとは別れた時の事を思い出させ、葵には大学の事を話している時冷たく接してしまった。
「…大学に行かなかったら…こうはなってなかった」
絵から離れ、何処かの企業に就職して、那由さんともなんだかんだで上手く行ったのかもしれない。
今となってはたられはでしかない話だが。
キュッ
シャワーの蛇口を閉めると、石鹸を手に取る。
これ以上ウダウダしてても仕方がない。早く風呂から上がって絵を描こう、そう思った時だった。
「あ、あの…」
風呂場の曇りガラスに人影が映る。
「葵か? どうした?」
「いえ、その…シャンプーってありましたっけ?」
「ん? あぁ、この青の容器のか?」
何処かオシャレなシャンプーが置いてある。中心には赤いバラが描かれていて、俺の使うやっすいシャンプーとは違う高級感を醸し出している。
俺はそれを手に取ると、容器を振り、中身の確認をする。
「いや…まだ入ってるぞ」
ガラガラガラッ
「失礼します…」
「え……」
背後から扉の開閉の音、そしてさっきまで少し篭っていた葵の声が風呂場へと響き渡った。
今の俺は1人で風呂に入っていた。勿論タオルなんて持っていない。
そう。つまりスッポンポンな訳だ。
「いやいやいや!!? な、何で入って来てんだよ!!?」
俺は咄嗟に股間を手で隠し、お尻丸出しの姿で葵へと叫んだ。
後ろにはバスタオルを巻いた葵の姿があった。女性らしいラインが明確に出ており、俺は自然とそこに釘付けになっていた。
「あ、そ、その…か、身体をす、すみ…!」
顔は赤らめて目は伏せている葵は、途切れ途切れに呟く。
それは風呂場で反響し、俺の耳に緊張しているという感情がダイレクトに伝わって来ていた。
「す…隅…」
羞恥と緊張の感情が織り混ざった様なそんな表情だ。そりゃあそうだろう。家族とは言え裸同然の姿を見せているんだ。そんな顔にもなる。
「隅々まで洗おうか……?」
「……ん?」
何か今…葵が何か言ったような…
「あ、葵」
そう思って、一度聞こうと思ったその時だった。
「な、なんでもありません!!!」
ガラガラガラッ
葵はそう言うと、大きな声で叫び風呂場から出て行った。
ドタバタッ
そして大きな物音を立てる。着替えでもしてるのか、布が擦れてるような、そんな音が聞こえる。
「こんなの出来る訳ないでしょーっ!!?」
誰に言ってるのか、脱衣所から出たであろう葵の少し離れた所から響く声に俺は目を閉じた。
「義妹…妹…家族…」
俺はまたシャワーの蛇口を捻ると、今度は冷水を頭から被り、冷静さを取り戻すのだった。
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