久々に実家に帰ったら、俺にはライオンの様に凶暴な義妹が出来ていました。父「ごめん、言うの忘れてた。俺再婚した^_^」俺「◯ね」

ゆうらしあ

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第4章 …ありがとう

第37話 弁当を送りに

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「あの…昨日の事は忘れて下さい」
「…分かった…分かったから手を離してくれないか?」
「…ふんっ」

 葵と風呂に入った翌日の早朝。俺は朝食を作っている途中、葵に胸倉を掴まれていた。
 そんな俺は両手を上げ、葵から目線を逸らし、葵はそんな俺を見て、乱暴に俺の胸倉から手を離すと、大きくそっぽを向いて家から出て行った

 まぁ、何があって昨日、あんな行動までしたのか分からないが…忘れて欲しい程に後悔はしてるって事らしい。

 朝練があるのか、それとも文化祭の準備があるのか随分早くに出て行ったが…。

「朝ご飯食べてないけど…大丈夫か?」

 俺はそんな心配をしていた。
 葵はコンビニとかは高くて入る事がないらしい。それに加え、俺が作った弁当も持っていかなかった。


 葵はだ。過度な心配は迷惑になるが、これぐらいの心配はしても普通だろう。昼に弁当でも持って行ってやるか?

 そんな事を考えながら、俺は作っていた味噌汁を啜るのだった。


 *

「葵、大丈夫?」
「うるさい環」
「そう怒んないでって…まさかそんな事になると思わなかったんだってー」

 陸上部の朝練中、私は環に話しかけられていた。

「棒読み!! 環の作戦なんて聞かなければ良かった!!」
「ご、ごめんって…!」

 昨日の作戦は、環によって教えて貰っていた作戦だった。さっきその報告をするとーー

『え!? 本当にやったの!?』

 と大声で笑い出したのだ。許せない。

「でもお兄さんとの距離は一気に縮まったんじゃない?」
「き、距離!? 私はあの人が疲れてるかもってやっただけで…そんな事を思ってやった訳では…!!」
「コラー!! 何やってるー!!」
「「あ」」

 練習中に話していた所為か、顧問の先生の怒号が飛び、私達は急いで練習を再開したのだった。



「やっとお昼、だ」
「良かったね。葵ってば朝から顔色悪いんだもん」
「元を辿れば環の所為なんだからね…」
「そうなの? 可愛い冗談のつもりだったんだけど、ごめんね?」

 環は舌を出して笑う。すると、それを近くで見て居た男子達が「おぉ…」と唸り声の様な声を上げる。

「またそうやってふざけて…」

 机に項垂れていた私は、大きくため息を吐きながらカバンに手を伸ばす。

 すると、ある事に気づく。

「あ」

 カバンの中にいつも入れてあるお弁当がない。

 そうだ。今日は朝飛び出してお弁当を持って来るの忘れてたんだ。

 その事に気付き、私はまた大きくため息を吐く。

「どうしたの葵?」
「ん? あー、私お弁当忘れて来ちゃった」
「え! 朝も食べて来てないんでしょ!」
「んー、まぁ、朝昼食べないだけでは死にはしないでしょ?」
「もー…節約し過ぎじゃない? 今日ぐらいは良いでしょ?」

 環が心配そうに眉を顰める。

「でも…何か、勿体無いし」

 私はママ達が離婚してから節約する事を心掛けていた。
 その為もあってか、今でも本当に必要な物以外は買わない様にしているし、コンビニ等に行く事などない様にしていた。

 でも晩御飯までお預けかぁ…文化祭もあともう少しであるし、学校でしか出来ない事もいっぱいあるから家で作業も出来ない。

 体力を温存してやらないと。
 そう思っていると、私の前に環が徐ろに自分のお弁当を出して来る。

「ほら、私の分けてあげる」
「えっ…いいの?」
「倒れられても困るしね」
「た、たまき~…!!」
「ちょっ! ちょっと葵!」

 流石は私の幼馴染!!

 私は環にしなだれかかり、環は恥ずかしそうに頰を赤く染める。

「か、神原さん! 良かったらこれ食べなよ!」

 そんな私達の下に高波くんがやって来て、売店で買って来たのか、メロンパンを差し出して来てくれた。

 …まぁ嬉しいのだが、下心が見え見えのニヤけ顔をしている。

「ごめん。大丈夫だから」
「え…」

 高波くんとは文化祭の準備を手伝って貰い、前よりは仲良くなってそこそこは話す様になった。廊下であったら挨拶をするぐらいには。

 しかし、そこまでの関係だった。

 お腹は減ってるけど、男子から食べ物を貰うぐらいなら食べない方がマシ。


 そう思って環のお弁当に手をつけようとした、その瞬間ーー


 ガラガラガラッ


「葵ー、弁当持って来たぞー」


 髪をボサボサにした人、何故かウチの制服を着た人ーー

 私の義兄が教室へと入って来たのだ。それに私と環は目を丸くする。

「な、何で此処に…!?」
「お、葵。弁当忘れたろ?」

 その人はそんな事を言いながら、呑気に私の方へと歩んで来るのだった。
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