久々に実家に帰ったら、俺にはライオンの様に凶暴な義妹が出来ていました。父「ごめん、言うの忘れてた。俺再婚した^_^」俺「◯ね」

ゆうらしあ

文字の大きさ
38 / 49
第4章 …ありがとう

第38話 高波くんと俺(兄)

しおりを挟む
「これ、弁当な」
「え…あ、はい。いや!! それよりも何で!!」
「あー…これか? これはちょっとなぁ…」

 俺の制服を見て目を丸くする葵。
 これは俺が葵へと弁当を渡す、数十分前へと戻る。

 *****

「…いやー、どうしたもんか」

 俺はダルダルな格好で校門前に突っ立っていた。いつも着ているグレーのスウェット、手には葵の弁当を持っていた。

 この前文化祭の準備を手伝うと来た時には、格好をビッシリと決めていた。だけど今日は制作をする予定もない。

「……通報されないか?」

 ボサボサの髪をした男が学校をずっと見つめている。

 ハッキリ言おう。通報案件だ。

 だが、時刻はもうお昼。葵がお腹を空かしている。

「……通報された方が都合良いか」
「な訳あるか」
「あ、椿先生」

 呆れた顔で椿先生が大きく溜息を吐くと、前と同じく俺の頭を撫でる。

 これから会う度に、これをやられるのかと思うと顔から火が出そうだ。

「この前挨拶に来た時ぶりだな」
「あの時は色々アドバイスありがとうございました」
「アドバイス? そんな事言ったか?」

 あまり葵達の手伝いをするべきではない、今の文化祭は今の生徒で。

 教えてくれたのは先生の筈だけど…まぁ良いか。先生がそう言うつもりなら俺も何も言わない。

「俺の勘違いだったかもしれないですね」
「あぁ、そうだろうな。で? こんな所で何をしてるんだ、お前は?」

 訝しげに視線を俺に向け、手に持っている物を見て視線を止めた。

「なるほどな…そう言う事なら一回こっちに来い」
「え、何処に行くんですか? そっちは駐車場…」



「で? 何でこうなるんですか?」
「いや~、ピッタリだったな!」

 俺は高校生へと大変身していた。髪はボサボサのまま。服装だけ制服へと変わっていた。

「学校に行って怪しまれない為には変装だろ?」
「いや、変装って……と言うか何で先生の車の中に男子校生の制服が入ってるんですか…」
「いや、その少し生徒会からな…」

 先生は女子生徒から人気がある。
 少し無骨な話し方、滲み出る優しさ、気遣い、普通の男子高校生とは話にならないモテ力。

 そう言えば俺達の代の時にも頼まれてたっけ…。

「まぁ、良いだろ。妹が待ってるんだろ? 早く行ってやれ」
「せめてついて来てくれても
「嫌だ」
「なんで
「1人で行った方が面白そうだから」

 …何故この先生は女子から人気があるのか、不思議でたまらない。

 *****

 あの先生は1度痛い目にあった方が良い。
 俺がどんな思いをして此処に来たと思っているのか理解してない。

 奇異の視線を向けられながら此処まで来るのは本当に苦痛でしかなかった。

「ーーって事があってなぁ」
「へぇ……椿先生って確か美術の…」

 まぁ、この学校の先生だから知ってるだろう。あの人の異常性は今知っただろうが。

「おい、お前」
「ん?」

 そんな時、高波くんが眉間に皺を寄せて俺に話しかけて来た。

「お前は神原さんの何なんだ? さっきから馴れ馴れしくしやがって」

 あ。何か前も聞いた事あるな。

 俺はチラッと隣にいる葵に目を向ける。すると葵は俺から目を逸らす。

 まぁ…髪型もキメてないし…こんなボサボサ頭の奴が知り合いなんて思われたくないよな。

 それを家を出る前に気付けば良かったんだけど…先に謝っておこう…本当に申し訳ない。

「何って、兄だけど?」
「は?」

 その一言は不思議と教室内に響いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

処理中です...