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第5章 なんでもない!
第43話 男の人なんて
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「まず高波君は周りのクラスから、滑車が余っていないか聞いてきて」
「え…あ、貴方って確か……」
「早く」
「は、はい!!」
俺は有無を言わさず、高波君を急かさせた。
まずは周囲に物資があるかの確認だ。それがあったらすぐにでも直す事が出来る。
その間に俺はーー
「葵」
「…は、はい」
「まずは落ち着いて深呼吸」
「え、」
「はい、いくよー」
戸惑っている間にも、俺は無理矢理に葵に深呼吸させた。そして、2、3回繰り返し、俺は言った。
「焦れば焦る程、視野は狭まる。緊急時だからこそ冷静に落ち着いて行動しろ。急いだからって良い結果とは限らない」
「わ、分かりました」
「よし」
葵は何処か戸惑いながら頷きを返した。
焦っている、それがどれだけ文化祭に本気になって取り組んでいるか分かる。
葵は文化祭実行委員として、準備を頑張った。
俺という、新しい家族ができ、新しい環境で休まる事も出来なかっただろう。
それでも頑張った。
それなら、それ相応の成果が出ないと不公平だ。ただのちょっとしたトラブル、もっと対策しておけば良かったのに、そう言えばそれまでだがそれじゃあ可哀想だ。
滑車が壊れた。引く事が出来ない。
さぁ、どうする。
考えろ、考えろーー
***
「え、何あの人? モデル?」
「ちょっとカッコよ過ぎね?」
「誰かの知り合いとか?」
「でもさぁ、あの服装…神原さんの……」
「え、あんなカッコよくなかったと思うんだけど……」
あの人が目を瞑って何かを考えているのか、その間、周りに居るクラスメイトが私をチラチラと見ながら呟いている。
説明が欲しいという所なんだろうけど……言わなければならない事でもないし。
そう結論づけた私は、軽く息を吐いて、背を向けていたクラスメイトに呼び掛けた。
「私達には私達に出来る事がある……先輩や友達に私達も聞きに行こう!」
例え高波君が知り合いが多かったとしても、それには限りがあるし、限度もある。
私達も動かないとダメだ。
「うん。じゃあ、頑張ってみようかな」
「う、うん!」
「早く行こう!」
環が真っ先に返事をすると、数人の女子が同意して走り去って行った。私達女子は神輿の方には手を付けていない。
その代わり、一生懸命男子と一緒に盛り上げようと、そう話していたんだ。
「……よし、私も行こう」
少し遅れて、私は駆け出した。そして、それにもっと遅れて男子達が駆け出す。
男の人は、昔から嫌いだ。男女差別だと笑う人がいるかもしれないけど、私にとっては苦手な対象。
父が裏切った…そう感じるから。
それに、何でも怠そうにやる事が私にとっては凄く嫌だった。
どんな時でもふざけて、大人になった時に想い出になる様な事でもふざけて、真面目にやらない。
少しすましてる方がカッコいいって、そう思っているから嫌だ。
「ーーーー、ーーーー」
視線の端に、あの人が神輿の足を見る為地面に膝をつけているのが見えた。
私は、何でも全力で頑張る男の人が、少なからず好きだ。
例えばそれがーー
誰かの為に、頑張っているなら……なおさら……なんてね。私、何考えてるんだか。
私は自虐めいた笑みを浮かべながら、そこから走り去った。
「え…あ、貴方って確か……」
「早く」
「は、はい!!」
俺は有無を言わさず、高波君を急かさせた。
まずは周囲に物資があるかの確認だ。それがあったらすぐにでも直す事が出来る。
その間に俺はーー
「葵」
「…は、はい」
「まずは落ち着いて深呼吸」
「え、」
「はい、いくよー」
戸惑っている間にも、俺は無理矢理に葵に深呼吸させた。そして、2、3回繰り返し、俺は言った。
「焦れば焦る程、視野は狭まる。緊急時だからこそ冷静に落ち着いて行動しろ。急いだからって良い結果とは限らない」
「わ、分かりました」
「よし」
葵は何処か戸惑いながら頷きを返した。
焦っている、それがどれだけ文化祭に本気になって取り組んでいるか分かる。
葵は文化祭実行委員として、準備を頑張った。
俺という、新しい家族ができ、新しい環境で休まる事も出来なかっただろう。
それでも頑張った。
それなら、それ相応の成果が出ないと不公平だ。ただのちょっとしたトラブル、もっと対策しておけば良かったのに、そう言えばそれまでだがそれじゃあ可哀想だ。
滑車が壊れた。引く事が出来ない。
さぁ、どうする。
考えろ、考えろーー
***
「え、何あの人? モデル?」
「ちょっとカッコよ過ぎね?」
「誰かの知り合いとか?」
「でもさぁ、あの服装…神原さんの……」
「え、あんなカッコよくなかったと思うんだけど……」
あの人が目を瞑って何かを考えているのか、その間、周りに居るクラスメイトが私をチラチラと見ながら呟いている。
説明が欲しいという所なんだろうけど……言わなければならない事でもないし。
そう結論づけた私は、軽く息を吐いて、背を向けていたクラスメイトに呼び掛けた。
「私達には私達に出来る事がある……先輩や友達に私達も聞きに行こう!」
例え高波君が知り合いが多かったとしても、それには限りがあるし、限度もある。
私達も動かないとダメだ。
「うん。じゃあ、頑張ってみようかな」
「う、うん!」
「早く行こう!」
環が真っ先に返事をすると、数人の女子が同意して走り去って行った。私達女子は神輿の方には手を付けていない。
その代わり、一生懸命男子と一緒に盛り上げようと、そう話していたんだ。
「……よし、私も行こう」
少し遅れて、私は駆け出した。そして、それにもっと遅れて男子達が駆け出す。
男の人は、昔から嫌いだ。男女差別だと笑う人がいるかもしれないけど、私にとっては苦手な対象。
父が裏切った…そう感じるから。
それに、何でも怠そうにやる事が私にとっては凄く嫌だった。
どんな時でもふざけて、大人になった時に想い出になる様な事でもふざけて、真面目にやらない。
少しすましてる方がカッコいいって、そう思っているから嫌だ。
「ーーーー、ーーーー」
視線の端に、あの人が神輿の足を見る為地面に膝をつけているのが見えた。
私は、何でも全力で頑張る男の人が、少なからず好きだ。
例えばそれがーー
誰かの為に、頑張っているなら……なおさら……なんてね。私、何考えてるんだか。
私は自虐めいた笑みを浮かべながら、そこから走り去った。
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