じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。

ゆうらしあ

文字の大きさ
2 / 67
第1章 店を作ろう

第2話 カフェ作ろう

しおりを挟む
 もっと時間が掛かると思ったが、草刈りが終わったのは始めて次の日の事だった。


「おぉ、結構広いな」


 草刈りした後、特有の草の青臭い匂いが漂ってくる。今の広さ的には、俺の実家が全部で10個ぐらい(言い過ぎ)入るぐらいの草原が広がっている。

 まぁ…あちこちに刈られた大量の草も纏められてあるんだが。


「うーん…気持ちーなー…」


 俺はそこに思い切って寝転んだ。
 学生の時ぶりの運動、それも自然の中で自分の土地を手入れしたとなれば清々しさが段違いだ。


「………ふぅー」


 これからどうするか。
 一旦落ち着いた後、俺はふと思う。

 店を自分で建てる…のはハッキリ言って無理だろう。俺がモノづくりの才能があってDIYを得意にしていたとしても、素人が家級の建物を作るなんて普通に無理がある。

 だからと言って、此処に業者を呼んで建物を依頼するのも無しだ。
 貯金はあるものの、カフェを始めるにも結局金は掛かる。それなら、最終的には食べ物関係に金を掛けないといけない。


「……あ、そうだ」


 そこである事を思いついた俺は、起き上がると集落の方へと足を運んだ。





「源さーん」
「ん? おー! 哲平かー!」


 実家の隣。そこには白髪で短髪のタンクトップの源さんが斧を片手に薪を割っている。見るのは俺が就職する前だから…大体10年ぐらい前か。


「久しぶり」
「おう! 随分と老けたなぁ?」
「ははっ、源さんは全然変わらないね。しかもまだ元気に薪割りしてるの?」
「ったりめーよぉっ! そこらの70代と比べんじゃねぇよお!!」


 源さんは手首で鼻先を擦り上げた。
 そしてひとしきり2人で笑った後、源さんが真顔になり、少し話しづらそうに口を開く。


「鉄さんの事…その、なんだ。気の毒だったな」


 ……いつも豪胆でパワフルな源さんでも、流石に気を遣うか。

 俺は気にした様子を見せず、それに口角を上げて答えた。


「まぁ流石に歳だったからね。年に数回は会ってて、まさかあんな元気なままポックリいくとは俺も思ってなかったよ」
「……そうか。そうだよな。もう歳………って、鉄さんって84だったよな!? それだと後5年で俺もあっち側に行く事になるんだが!?」

「……」
「……」

「あー…そんな事よりも、源さんに頼みたい事があるんだけど」
「あからさまに無視してんじゃねえ!!」


 俺は押し迫って来る源さんの事を気にせずに言った。


「実はじいちゃんから土地を貰って、そこにカフェを作りたいと思ってるんだ」
「カフェを? こんな田舎でか?」
「昔からの夢だったんだ……爺さんに譲られたのも何かの転機だと思ってさ…」


 源さんは昔からモノづくりをしてる人だった。実家にも手作りの木の棚やテーブル、物置小屋を作ってくれたりしていた。

 実力は確かな筈だ。


「だから良かったらなんだけど……俺に作り方の指導を…」
「ふっ…そうか」


 源さんは鼻下を人差し指で擦る。


「任せろ。昔は"天才大工 源ちゃん"って言われていた、この俺にな」


 そんな名前で呼ばれていたのか…

 源さんはカッコよく決めた後、突然自分の家の方へと小走りで向かう。


「まぁ、取り敢えずは設計からだな」


 帰って来ると、源さんは図面を引く専用の用紙、鉛筆に定規を持って出て来る。


「待ってよ、源さん。その前に値段の相談なんだけど…」
「バカ言ってんじゃねぇよ!!」


 耳がキーンっとする…


「俺は昔から鉄さんには世話になってた……それに孫同然の哲平が自分の夢の為に俺を頼ってくれたんだ。指導するってだけで金なんて取らねぇよ」


 げ、源さん…俺の事をそんな風に思ってたなんて……


「どういうカフェにしたいんだ?」


 源さんは、しわくちゃなぎこちない笑顔を浮かべて聞いてくる。

 ありがたいな……これに応えないのは野暮ってもんだよな。


「あの場所の雰囲気に合った感じのカフェにしたいんだ」
「場所の雰囲気か」


 そう。何処かアンニュイな感じの……雰囲気が良い店にしたい。


「そういうなら最初に場所を見せて貰わねぇとな」
「あ、案内するよ」


 俺は源さんを連れて、土地まで一緒に歩くのだった。



「はぁ~…年寄りには厳しい道のりだな」


 土地までの獣道のような道のりを経て、源さんは来た道を見て呟く。

 そうか。道も整備しないとお年寄りには厳しいのか。
 俺は色々やる事を考えながら、源さんに土地を見せる。


「此処がじいちゃんに譲って貰った土地だよ」
「ほぉー…鉄さんがまさかこんな所を持ってるとはなぁ」


 源さんは腰に手を当てて、周りの木を見上げながら中へと入って行く。


「作るとしたら此処ぐらいか?」
「そうだね。この真ん中に小屋みたいなこじんまりしてるやつを作りたいと思ってる」
「ふむふむふむ……なるほど。まぁ、大体は分かった。材料はあるのか?」
「それはまだ。木材とかは色々設計図とか決めた後に買った方が良いと思って」


 長さとかあるだろうし。無駄に買ったりしたら金が勿体無いしね。


「良い判断だ。そうだな…明日は俺と一緒に材料の買い出しとして、明後日から作業にから取り掛かるか」
「随分…早いね?」


 もっとのんびりやっても良いかなぁなんて……頼んでる立場ではあるけど思ってたりもしてたんだけど?


「あたぼーよ! もう大体頭の中に設計は出来た!! やるからには最速でだ!!」


 源さんは随分やる気みたいだ。


(どうなるかなー…どんなカフェが出来るのかなー…)


 俺はその日の内に源さんに依頼出来た事に安心し、ワクワクしながら眠りについた。
 だけど俺は源さんの実力、そしてせっかちさを見誤っていたんだ。





「おっふ」
「いや~、なんだか気合入っちまったのかよ! 午前中の内に全部作っちまった!!」


 それは、黒く、なんかドロドロしたイメージが見て取れる。例えるなら森にある近所では幽霊屋敷と有名な洋館を小さくした感じ。





 うん。ちゃんと細かく設計すれば良かった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

処理中です...