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第2章 開店
第30話 初めて知らん人が来た
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「んー……」
「どうだメマ~? そろそろ降参しても良いんだぞ~」
「や、やっ! まだだもん!!」
俺達はカウンターに座り、オセロをしていた。
今日の(も)お客さんである、トメさん、右京さん、勇樹さんはもう既にご来店済み。つまりーー。
「はい、この角も俺のだな」
「や~っ!!」
暇だ。
ついこの間ホームページなるものを比奈と作ったが、客足も変わらずどうも芳しくない。
「何をしてるんですか……」
「ん? オセロ。比奈もやるか?」
「やりません。これからぎゅーに水をあげに行かないといけないんです」
そう言って比奈は汚れても良い服を上に着て、手袋を嵌める。
「じゃあそれ終わったら一緒に
「その次はカフェの掃除があるので」
おふぅ……俺には十分綺麗に見えるのだが。
「比奈おねーちゃんともやりたかったー……」
残念そうにメマが呟くと、それを聞いていた比奈がメマの頭を優しく撫でる。
「……また今度やろうね?」
「うん……」
うーむ……俺がぎゅーの乳搾りをやりに行くか?
でもこの前やろうとしたら比奈に止められたんだよな~。「やるなら………いえ、何でもありません」とか言われて頑なにやらせてくれなかった。
掃除なら出来ると思うが、俺にとってはもう今の状態で凄い綺麗な状態で、何を手伝えば良いのか分からない。
どうしたもんか……比奈に負担かけ過ぎだよなぁ。
チリンチリンッ
そんな事を思っていると、店の入り口のベルが鳴った。
ん? 誰だこんな中途半端な時間に。源さんか?
「いらっしゃいませ~」
「あ、あの……」
そう思っていつも通り緩く出迎えると、そこに居たのは見知らぬ男性。年頃は俺より少し上ぐらいの普通の人がやって来た。
「此処って、喫茶店で合ってますかね?」
辿々しく、小さな声で男の人は問いかけて来る。
ま、まさかこれって……
「一応、喫茶店KIROっていう名前でやらせて貰ってます」
「あ、良かった~。合ってて。少し雰囲気がアレだったのでその……」
男の人は安堵する様に胸を撫で下ろしている。これは!! もしや!!!
「もしかして、ホームページを見てくださったり?」
「あ、はい。凄く魅力的だったので、有給とって来させて貰いました」
男の人ははにかむ様に笑った。
おー!! まさかのホームページ作戦大成功!?
俺は心の中で歓喜の舞を踊ってしまう。そんな内面を知られない様、口端をピクピクとさせながらーー。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ!!」
そうして俺とメマにとって、初めてと言えるちゃんとしたお客さんの接客が始まるのだった。
____________
今までお客さんで来てくれたのは、所謂知り合い。今の様に、見ず知らずの人ではない訳で……。
やべぇ。会話デッキ作っておくべきだった。
そんな事を思いながら、意味もなくカップを拭く。
「あ、あの私、今日車で来てて店の横の方に止めさせて貰ったんですけど大丈夫でしたか?」
そんな時、カウンターに向かい合う様に座った男性が俺に問い掛ける。
「え、あ、大丈夫ですよ。全然」
「良かった……実は心配だったんですよ。此処に止めたら不法侵入になるんじゃないかとか」
男性は少し恥ずかしげに、頭を掻いた。
あ、そうか。ウチって看板付いてないから、店なのか分からないって事か。今までは店だって分かってる人しか来なかったから……。
駐車場もそうだ。遠くから来た人の為に店の駐車場を何台か分整備しなきゃいけない。
新しい人が来ると、新たな気づきがある。
「すみません。まだ始まったばかりで色々不便な所もあって……」
「いや、そうですよね。最初って誰でも大変ですよね」
おー、理解がある優しい人で良かったぁ。
「ねぇ、ねぇ。なにかたのまないの?」
「え?」
会話途中、耐え切れないといった風にメマはカウンターから顔の上半分を出しながら男性へと話し掛けた。
「メマ、お客様に注文を催促する様な事したらダメだろ」
「はーい……」
メマは分かりやすくシュンっとすると、窓際の方のテーブルをブー垂れた様子で拭く。
「あ、私は全然
「すみません。うちの子、仕事が欲しいみたいで……注文、してくれませんか?」
それを見ていた男性が首を横に振ろうとした時、俺は遮る様に、さっきメマに言った事とは矛盾するお願いをする。
すると、男性はそれにクスッと笑った後、手を挙げる。
「すみませーん、注文良いですかー?」
「! はーい!!」
男性は目の前に居る俺じゃなく、態々遠くにいるメマを呼んだ。
「このお店のオススメを注文したいんですけど……」
「オススメ! えだまめとぎゅうにゅうだよ!!」
「じゃあ、それを2つお願いします」
「かしこましました? しょうしょう、おまちください!!」
かしこまりました、ね。でも、偉いぞ。待って貰えるよう伝えて。
俺はメマの頑張り(牛乳をカップに注いでいる姿)を見ながら、料理(茹でるだけ)をするのだった。
「どうだメマ~? そろそろ降参しても良いんだぞ~」
「や、やっ! まだだもん!!」
俺達はカウンターに座り、オセロをしていた。
今日の(も)お客さんである、トメさん、右京さん、勇樹さんはもう既にご来店済み。つまりーー。
「はい、この角も俺のだな」
「や~っ!!」
暇だ。
ついこの間ホームページなるものを比奈と作ったが、客足も変わらずどうも芳しくない。
「何をしてるんですか……」
「ん? オセロ。比奈もやるか?」
「やりません。これからぎゅーに水をあげに行かないといけないんです」
そう言って比奈は汚れても良い服を上に着て、手袋を嵌める。
「じゃあそれ終わったら一緒に
「その次はカフェの掃除があるので」
おふぅ……俺には十分綺麗に見えるのだが。
「比奈おねーちゃんともやりたかったー……」
残念そうにメマが呟くと、それを聞いていた比奈がメマの頭を優しく撫でる。
「……また今度やろうね?」
「うん……」
うーむ……俺がぎゅーの乳搾りをやりに行くか?
でもこの前やろうとしたら比奈に止められたんだよな~。「やるなら………いえ、何でもありません」とか言われて頑なにやらせてくれなかった。
掃除なら出来ると思うが、俺にとってはもう今の状態で凄い綺麗な状態で、何を手伝えば良いのか分からない。
どうしたもんか……比奈に負担かけ過ぎだよなぁ。
チリンチリンッ
そんな事を思っていると、店の入り口のベルが鳴った。
ん? 誰だこんな中途半端な時間に。源さんか?
「いらっしゃいませ~」
「あ、あの……」
そう思っていつも通り緩く出迎えると、そこに居たのは見知らぬ男性。年頃は俺より少し上ぐらいの普通の人がやって来た。
「此処って、喫茶店で合ってますかね?」
辿々しく、小さな声で男の人は問いかけて来る。
ま、まさかこれって……
「一応、喫茶店KIROっていう名前でやらせて貰ってます」
「あ、良かった~。合ってて。少し雰囲気がアレだったのでその……」
男の人は安堵する様に胸を撫で下ろしている。これは!! もしや!!!
「もしかして、ホームページを見てくださったり?」
「あ、はい。凄く魅力的だったので、有給とって来させて貰いました」
男の人ははにかむ様に笑った。
おー!! まさかのホームページ作戦大成功!?
俺は心の中で歓喜の舞を踊ってしまう。そんな内面を知られない様、口端をピクピクとさせながらーー。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ!!」
そうして俺とメマにとって、初めてと言えるちゃんとしたお客さんの接客が始まるのだった。
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今までお客さんで来てくれたのは、所謂知り合い。今の様に、見ず知らずの人ではない訳で……。
やべぇ。会話デッキ作っておくべきだった。
そんな事を思いながら、意味もなくカップを拭く。
「あ、あの私、今日車で来てて店の横の方に止めさせて貰ったんですけど大丈夫でしたか?」
そんな時、カウンターに向かい合う様に座った男性が俺に問い掛ける。
「え、あ、大丈夫ですよ。全然」
「良かった……実は心配だったんですよ。此処に止めたら不法侵入になるんじゃないかとか」
男性は少し恥ずかしげに、頭を掻いた。
あ、そうか。ウチって看板付いてないから、店なのか分からないって事か。今までは店だって分かってる人しか来なかったから……。
駐車場もそうだ。遠くから来た人の為に店の駐車場を何台か分整備しなきゃいけない。
新しい人が来ると、新たな気づきがある。
「すみません。まだ始まったばかりで色々不便な所もあって……」
「いや、そうですよね。最初って誰でも大変ですよね」
おー、理解がある優しい人で良かったぁ。
「ねぇ、ねぇ。なにかたのまないの?」
「え?」
会話途中、耐え切れないといった風にメマはカウンターから顔の上半分を出しながら男性へと話し掛けた。
「メマ、お客様に注文を催促する様な事したらダメだろ」
「はーい……」
メマは分かりやすくシュンっとすると、窓際の方のテーブルをブー垂れた様子で拭く。
「あ、私は全然
「すみません。うちの子、仕事が欲しいみたいで……注文、してくれませんか?」
それを見ていた男性が首を横に振ろうとした時、俺は遮る様に、さっきメマに言った事とは矛盾するお願いをする。
すると、男性はそれにクスッと笑った後、手を挙げる。
「すみませーん、注文良いですかー?」
「! はーい!!」
男性は目の前に居る俺じゃなく、態々遠くにいるメマを呼んだ。
「このお店のオススメを注文したいんですけど……」
「オススメ! えだまめとぎゅうにゅうだよ!!」
「じゃあ、それを2つお願いします」
「かしこましました? しょうしょう、おまちください!!」
かしこまりました、ね。でも、偉いぞ。待って貰えるよう伝えて。
俺はメマの頑張り(牛乳をカップに注いでいる姿)を見ながら、料理(茹でるだけ)をするのだった。
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