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第4章 お祭り

第52話 メマの行方

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 俺達は屋台通りから少し離れた運営本部へとやって来ていた。



 ひゅ~~~っ  どんっ



 しかし、迷子の連絡は来ておらず、花火大会の始まりを意味する花火が1発打ち上がった。


「もう始まったか……」
「これからはもっと人も増えて来ます。急いで探しに行きますよ」


 既に、前の歩いて行くルートを事前に決めておかなければならない程に人だかりが出来ている。


 俺と凪さんはメマを探しに、比奈はメマが戻って来た時の為に屋台へと戻っていた。


「一応屋台の通りは探し回ったんだけど見つからなかった。路地にもだ」
「て事は考えられるのは建物の中、あとは……あの中ですか?」


 凪さんはある方向を見据えていた。
 港近くで打ち上げられる花火を観る為に作られた海沿いの観客席。入り口は係員が居て、券を持ってないと入れないのだが……。


「まぁ、セキュリティがばがばだしな……」


 周りは、1本の紐で括られただけの囲い。メマなんか、簡単に潜って中に入れそうだ。


「この中に居るなら、係員の人に相談してみるしかないな」


 凪さんは係員の居る方へと向かう。


「ん? ここから入っちゃった方が早いぞ? 大人も何人かは跨いで中に入ってる。係員の人に言わなくても良いなら言わなくてもーー
「それ、本当に言ってるのか?」


 凪さんを止めようとした途中、俺は前までの口調の凪さんから睨まれ口を閉じる。凪さんは、一度自分を落ち着かせるように大きく息を吐くと言った。


「ここを運営する為にも多大な設置費、人件費、労力が掛かっています。それにも関わらず、それを無視してルールを破ることは私には出来ません」
「そんな事言って、今メマがどうなってるのかも
「貴方も店の責任者の立場なら分かるでしょう?」


 また俺は凪さんに会話を遮られる。


「例え私達が今消費者・客の場合であっても、それを破れば店の信用に関わる。貴方の行動が店のイメージになる。それを踏まえた正しい行動を心掛けて下さい」


 だ、だからってそんな事言われったってメマが……!!


「………それに、命が掛かっているなら尚更他の人の協力が必要でしょう」
「……」
「? どうした? 早く行くぞ」
「…………凪さんって地味にツンデレだよな」
「なっ!? 何をっ!?」


 俺は先程よりも少し軽くなった気持ちで、観覧席会場の入り口まで行くのだった。


 __________



「うー……おとーちゃんのばか………」


 時は遡り、哲平が大男を殴り飛ばした頃。メマはトボトボと港の観覧席にいつの間にか入り込み、トボトボと歩いていた。


「メマ……なにもしてないのに」


 男とぶつかった時、メマは周りを見ていない訳では居なかった。むしろ、周囲に目を光らせていた程に注意を払って楽しんでいたのだ。
 それを、当てつけの様にぶつかってきたのが、あの男……。


「おとーちゃんがあやまるまでかえらないんだから!!」


 大きな声で宣言をするメマ。それを周りに居る大人が見ながらヒソヒソと話す。

 それもそうだ。3~4歳位の子が1人で居るのだ。心配にもなるだろう。


「おまえ、ひとりか?」
「? だれ?」


 しかし、メマの正面に現れたのは大人ではなく、メマと同じぐらいの身長の男の子だった。
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