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第2章 (1)バロンとヴァロンとバロン
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しおりを挟む二人きりの時は呼び捨てで敬語はなし、って約束したけど……。
一応バロンは今、勤務中。
万が一誰かに知られては大変と、人の出入りが多い時間帯は警戒している。
「……それで?
どの記事にそんなに興味を引かれましたか?」
漂ういい香りに癒され「少し休憩!」と紅茶をすする私から、バロンはひょいっと新聞を取り上げると広げられていた記事を見つめる。
「……。お嬢様もファンなんですか?
この”何でも屋”の……」
暫く眺めていたと思ったら、バロンはふぅっと溜め息を吐いて、つまらなそうに机に新聞を置いた。
その言葉に首を傾げる私。
「?……私も?」
「ええ。
この家の使用人達も噂してましたから……。
”引き受けたどんな仕事も熟す何でも屋”。
まさに、”伝説の夢の配達人”だと……」
バロン口から出た”伝説の夢の配達人”。
そう、それは新聞の記事に載ってた人物。
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