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第3章 (3)夏がきて……。
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しおりを挟むそして同時に湧き上がってくる、”嫌だ”という感情。
思わず「そんなの嫌ッ!」と、口から出そうになった私の代わりに、冷静な言葉で止めに入ってくれたのは側に居たローザ。
「お待ち下さいませ。モニカ様。
バロンはここに来てまだ日も浅く、召し使いとしても特別な教養を受けてはおりません。
大切なお客様を持て成すのは、まだ早いかと……」
相手に対して失礼とも、不快とも受け取られない見事なローザの言葉。
彼女は事実を述べているだけなのかも知れないが、私にとってローザの対応はすごく嬉しかった。
これならきっと、モニカ様も諦めてくれる。
そう思ったが……。
私のそんな淡い期待は無駄だった。
「えっ?特別な教養を受けてないって……。本当なの?」
「はい。
ですからモニカ様の世話役は、私が……」
「すごいじゃない!
じゃあ、バロンは天才なのね!」
驚いた様子だったモニカ様の表情はすぐに感動の眼差しに変わり、ローザの申し出を遮ってバロンを見上げて話し続ける。
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