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第9章 (1)最後の想い出
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しおりを挟むな、なに?
みんなどうしたの?
訳が分からず頭に?マークを浮かべていると、使用人達が微笑んだ。
「切ってしまわれたら、ダメです」
「ほら、バロン様は大食いだから!
きっと一口じゃ足りないと思いますよ?」
「そうですよ!
絶対に丸々一個食べたいと思います!」
みんな、「そうそう!」と頷きながら私に言う。
ーーやっと、分かった。
その姿に、みんなが「お菓子作りを教えてほしい」と言ってきた、本当の理由が分かった。
一人だと、私が作れないからだ。
作りたくても自分からは作りたいと言えない私を、みんなが誘って、助けてくれたのだ。
私がバロンに、このチョコレートケーキを渡せるように……。
「みんな、ありがとう。
ちゃんとバロンに、渡すね!」
優しい気遣いに感謝して私が笑顔で答えると、みんなホッとして嬉しそうに微笑んでくれた。
見守ってくれている人達がいる。
例え叶う事がなくても、私の恋を……。
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