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最終章 (3)夢の言葉は魔法の呪文
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しおりを挟む言葉にならない叫びが、涙となって溢れた時だった。
「……シュウ。ちょっと待った」
書類を書くシュウさんの筆を止める、静かだけどビシッとした声。
ずっと黙っていたヴァロンが、口を開いた。
「はい?ヴァロン、何でしょう?」
「俺達の仕事は、報酬金を受け取った時点で依頼完了。……だよな?」
ヴァロンの声に、私も思わず彼を見ていた。
話しながらカートに歩み寄った彼は、積まれた札束の一冊を手に取り、パラパラとめくる。
「ですね。
そのお金を受け取り、領収書と依頼完了書を作成すれば……。今回の仕事は終了です」
問い掛けに笑顔で答える、シュウさん。
その答えを聞いて「ふ~ん」と頷く、ヴァロン。
この時。
二人のやり取りを見ていた私は、馬鹿な事にすっかり忘れていたの。
昔も、召使いの時も……。
彼が、私を不幸にした事なんて、一度もなかった事をーー。
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