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第17章(1)雪side
17-1-5
しおりを挟む「サクラさん、いきなり訪ねて来てすまないねぇ~。
私は二人の祖母の亜希。昨日二人がお世話になったそうで、お礼に伺ったんだけど……。
良かったら、コレだけでも受け取ってもらえないかね?」
ハル君とリンちゃんの祖母、亜希さん。すごく優しい声で、何となくその人の人柄が表れてる気がした。
それに、
「あ!このにおいスコーン?」
「おばあちゃんのスコーン、わたしもたべたーい」
「!……これっ!あんた達のはお家にあるから!」
楽しそうな、賑やかな三人のやり取り。
扉に近付いて覗き穴から覗くと、それは誰がどう見ても仲の良い祖母と孫。
……。
わざわざ、訪ねて来てくれたんだもん。もう一度だけ……。
それで、「もう今後は来ないで」って、伝えよう。
何も言わずに追い返し、そのままになってしまうのはやはり良くない気がした。
オレは鍵を解除するとゆっくり扉を開けて、控え目に顔を覗かせた。
「あ!サクラちゃん!」
「おはよう!サクラちゃん!」
「お、おはよう。ハル君、リンちゃん」
オレが姿を見せると二人はすごく喜んで、可愛い笑顔を見せてくれた。こんな無邪気な子供に「もう来ないで」って言わなきゃいけないのだと思うと、胸が痛む。
一瞬躊躇して話を切り出せないでいると、口を開いたのは亜希さんだった。
「こりゃあ、驚いたねぇ……。本当に妖精さんみたいじゃないか」
オレを見て驚く亜希さんに、ハル君とリンちゃんは「でしょでしょ!」と得意気な顔で微笑ってた。
……やっぱりオレ、目立つ……よね。
魔物としての特性が少しずつ表れてくるのと同時に、瞳は以前よりもハッキリとした水色になり、髪も透き通った白髪になってきて……。容姿もますます、人間離れしてきている気がした。
改めて普通ではない自分を実感したオレが俯くと、その様子に気付いた亜希さんが言う。
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