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第13章(2)マオside
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しおりを挟む僕は、何も知らなかった。
『彼女の旦那は3年前に、消息不明。その際に、アカリ様とは離縁しています』
何故、胸が痛いんだろうーー?
『彼女も、彼女の子供達も幸せにしたい。
父親になると言う事は、簡単ではないかも知れませんが……。引き離す事は絶対にしません』
アラン、今までに見た事ない位に真剣な眼差しだった。
頼りない兄である僕を、この三年間助けてくれた自慢の弟。
……アランなら、きっとアカリさんを幸せに出来る。
僕にとって、たった一人の大切な弟と、アカリさんが一緒になるんだ。
これ以上にない、喜びの……筈だった。
それなのにーー。
顔が引き攣る。アランの顔を、真っ直ぐみられない。
そんな心の動揺が表れるかのように、手が、震えていた。
落ち着かなきゃ。
笑え。
兄として弟を、応援するんだ……。
「ーーッ!危ないっ!」
えっ……?
叫び声にハッとすると、アランが椅子から立ち上がって、血相を変えて僕の左手を掴んでいた。
「っ……危ないでしょう?そちらの手は……」
「あ……ご、ごめん。ありがとう」
アランに言われて、気付く。自分が上手く物を掴む事が出来ない左手でカップを取ろうとしていた事に……。
三年前、目覚めた時から不自由だった左手。
どうやら僕は元々は左利きだったみたいで、咄嗟の行動や意識して気を付けていないと左手で何でも掴もうとしてしまう。
これまで何度、失敗してグラスを割ったり物を落として壊したりしたか分からない。
近頃はだいぶそんな自分に慣れてきて、意識出来ていたのに……。アランの話が、相当自分にとって衝撃的であり、驚きからくる動揺になったに違いない。
驚きからくる動揺ーー。
僕は、自分の中で渦巻いているモヤモヤを、強引にそう思おうとしていた。
誤魔化すように、アランに微笑む。
「気を付けないとね!
兄がこんなんじゃ、アランも恥ずかしいよね?」
自分なりに明るくしようと、笑って話しかけた。
けど、アランはバツが悪そうな表情をすると、僕から視線を逸らしてホットコーヒーを飲んでいた。
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