夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

☆リサーナ☆

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第13章(2)マオside

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ーーガッシャーン……ッ!!
「すみません!失礼しましたっ……!!」

店内に響く物音と叫び声。

「!!……っ、あ……」

ハッと我に返って、僕はアカリさんからパッと離れた。
さっきまで彼女の鼓動以外聞こえなかった音が一気に耳に入って来て、慌てて辺りを見渡す。

幸い、さっきの物音と叫び声は僕達が原因ではなく他ごとで粗相をした店員さんによるもの。奥の通路先であるこの場所は死角になっていて、誰にも見られてはいなかった。
でも……。

僕は……今、っ……何をしようとしてッ……。

自分は今間違いなく弟と、その想いを裏切ような行為をアカリさんにしようとしていた。しかも、自分には婚約者がいる身でありながら……。

こんな事、許される筈がない。
婚約者がいながら、別の女性に触れたいと思うなんてーー……。

自分の中に沸いた信じられない感情を疑いつつ、身体に響くうるさい鼓動が嘘ではない事を告げているようだった。


「っ……すみま、せん。少しっ……具合が悪くてッ」

苦し紛れに口から漏れた声は、心の動揺を誤魔化しきれていない証。
アカリさんの顔が見られなくて、僕は俯いたままその場から離れようとした。

「っ……待って下さい!」

逃げるように歩き出した僕を呼び止めたアカリさんが、僕の手に、何かをギュッと握らせる。

「これ、私の……ポケ電の番号ですっ」

彼女の声が、震えてた。
何故だか、分かる気が……する。今アカリさんがどんな表情をしているのか、見なくても分かる気がした。
顔を真っ赤にして、声を絞り出して、自分の気持ちを伝えてくれてる。

っ……そんな事、ある訳ないのに。
そんな事、あっていい筈ないのにーー……ッ。

僕の心の中で、アカリさんは真っ直ぐに、他の誰でもない僕の事を見つめてくれていた。

「っーー……ダメですよ!ッ……こんな所、アランに見られたらっ……誤解されてしまう」

「!……マオさん?」

都合の良い、夢のような妄想を振り払うように、僕はゆっくりアカリさんの手を解くと、渡されたメモ用紙を返した。
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