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第14章(2)マオside
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幸せにしなきゃ、って……思った。
今の僕がしなくてはいけない事は、ミネアさんの事を1番に考えて生きて行く事ーー。
そう思って、僕はまず自分に出来る仕事を探す事にしたんだ。
出来る事は限りなく少ないけど、少しずつ、一歩ずつでも変わって……ミネアさんの夫として恥ずかしくない存在になろうと思った。
まだ報告書一つ作るのにいっぱいいっぱいだけど、一つずつ熟していけば、きっといずれは記憶も戻っていい方向に行く筈。
「あ!早く持って行かなくちゃ」
ふと時計を見ると、間もなく17時。
今日も報告書を作るのに定時ギリギリまでかかってしまった。
僕は綺麗にファイリングした報告書を持つと、それを渡しに行く為に席を立った。
「あ、あのっ……報告書、お待たせしました」
「ああッ?うるさいな!そこに置いておけっ……、ッ?!
ーーマ、マオ様!し、失礼致しました!」
定時だと言うのに慌ただしいオフィス内。
報告書を提出しに訪れた僕に思わず怒鳴った上司は、その怒鳴った相手が僕だと気付くとすぐにハッとして席を立って頭を下げた。
「本日もお疲れ様でした!
どうぞ、もうお時間ですのでお帰り下さい」
報告書を両手で丁寧に受け取って、作り笑顔でそう言う。
ーー嫌だな、こういうの……。
僕は部下なのに、会長の孫だというだけで特別扱い。他のみんなはまだ仕事があって、残業で帰れないというのに……。
でも。だからと言って、おそらく僕が残って手伝える事なんて何もないのだろう。
「……はい。
お疲れ様でした、お先に失礼します」
足手まといになるだけ。
そう、言われなくてもわかった僕は頭を下げると、自分の机に戻って荷物をまとめてオフィスを後にした。
幸せにしなきゃ、って……思った。
今の僕がしなくてはいけない事は、ミネアさんの事を1番に考えて生きて行く事ーー。
そう思って、僕はまず自分に出来る仕事を探す事にしたんだ。
出来る事は限りなく少ないけど、少しずつ、一歩ずつでも変わって……ミネアさんの夫として恥ずかしくない存在になろうと思った。
まだ報告書一つ作るのにいっぱいいっぱいだけど、一つずつ熟していけば、きっといずれは記憶も戻っていい方向に行く筈。
「あ!早く持って行かなくちゃ」
ふと時計を見ると、間もなく17時。
今日も報告書を作るのに定時ギリギリまでかかってしまった。
僕は綺麗にファイリングした報告書を持つと、それを渡しに行く為に席を立った。
「あ、あのっ……報告書、お待たせしました」
「ああッ?うるさいな!そこに置いておけっ……、ッ?!
ーーマ、マオ様!し、失礼致しました!」
定時だと言うのに慌ただしいオフィス内。
報告書を提出しに訪れた僕に思わず怒鳴った上司は、その怒鳴った相手が僕だと気付くとすぐにハッとして席を立って頭を下げた。
「本日もお疲れ様でした!
どうぞ、もうお時間ですのでお帰り下さい」
報告書を両手で丁寧に受け取って、作り笑顔でそう言う。
ーー嫌だな、こういうの……。
僕は部下なのに、会長の孫だというだけで特別扱い。他のみんなはまだ仕事があって、残業で帰れないというのに……。
でも。だからと言って、おそらく僕が残って手伝える事なんて何もないのだろう。
「……はい。
お疲れ様でした、お先に失礼します」
足手まといになるだけ。
そう、言われなくてもわかった僕は頭を下げると、自分の机に戻って荷物をまとめてオフィスを後にした。
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