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第19章(3)マオside
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しおりを挟む「さ、マオ様。パーティーにお戻り下さ……」
「ーー駄目なんだ」
「え?」
「っ……それじゃ駄目なんだよ!」
僕は会場に戻るよう促すディアスの腕を掴んで、目と目を合わせて自分の気持ちを訴える。
「"今"じゃなきゃ、駄目なんだよ!
今動かなかったら……僕はずっと立ち止まったままなんだ!」
「……」
「っ……そんなの、嫌だッ!
自分で決めて、自分で進みたいっ……。例えその先がどんな道でも、僕はしっかり生きたいんだ!!」
今から自分が進もうとしている人生が、正しいのかなんて分からない。
記憶を失くす以前の自分が、今の自分を知ったらどう思うかなんて……分からない。
でも、今の僕が僕だから。
それが例え、過去の自分と違う選択や意志だとしても、構わない。後悔しない。
運命の神に逆らってでも、足掻いてでも、僕は僕に負けたくない。
そして……。
僕が愛したたった1人の女性と、ずっと一緒に微笑っていたいんだ。
それは、僕がようやく見付けた夢だった。
想いが溢れて、その想いが涙になって頬をつたり落ちる。
冬の寒さで冷えた頬に、その涙は熱いくらいで……。その温度は、今の僕の心の暖かさだと思った。
この暖かさを教えてくれたのは、アカリさん。
彼女へのこの想いの先がどうなろうとも、彼女と巡り逢えた事を、きっと僕は心から神様に感謝出来る。
これから僕の起こす行動が祖父の逆鱗に触れて、この命を奪われようとも……。
「……たくさん、迷惑かけてごめんね」
俯いて、ただ黙って僕の話を聞いてくれたディアスに謝りながら微笑った。
ディアスはこれまでにたくさん自分を助けてくれた。もうこれ以上巻き込んで迷惑をかけてはいけない、っと一歩足を後ろに下げて、触れていた腕を離そうとした。
しかし、その時……。
「それが例え、束の間の幸福だとしても……ですか?」
ディアスがポツリ、呟くように言った。
「貴方様もやはり、リオン様と同じなのですね……」
そう言って顔を上げたディアスの瞳と、僕の瞳が重なる。
そしてその表情は、諦めたような口調とは反対にとても優しいものだった。
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