元婚約者の悪あがき……私の幼馴染の公爵令息の前では通じない

ルイス

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4話 周囲の反応 その1

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(ナバット・アレクセイ侯爵令息視点)


「さてと……パーティーに参加したのは良いものの……」

「なんだか、随分と視線を感じますわね。どういうことかしら?」

「あ、ああ……」


 私はメアルに代わる婚約者のレイラ・ウォーン侯爵令嬢とパーティーに参加していた。しかし、何やら周囲からの視線が気になる……私達を見ているような。


「あの方達が……そうなのだろう?」

「ええ、ナバット様とレイラ様という噂があるし……間違いないわね」

「なんということだ……」

「……」


 明らかに私達を見て話をしているようだ。子爵家系から侯爵家系まで幅広い層で噂されているような気がする。一体、なんだというのだ……?


「確かに何か噂されているようだな……一体、何を噂しているのか……」


 少し考えただけで、ある程度は予想出来るが……侯爵令息の私を前にして、ここまでハッキリと話をするなんてな。侯爵家以上の家系であれば分からなくはないが……伯爵家以下の家系も噂しているようだから始末が悪い。


「ナバット様、私、気分が悪くなりそうですわ……」

「レイラ……大丈夫か?」

「ええ、今のところはなんとか」


 レイラにまでこの意味の分からない視線が向かっている。腹立たしいことだ……これは私達への風当たりみたいなものか? おそらくはメアルと婚約破棄をして、レイラと一緒になったことを噂されているのだと思うが……。


「どうやら、メアルと婚約破棄をしてレイラと婚約したことを咎められているようだな……」

「やはりその件に関してのことですのね」

「おそらくな。しかし、たかが伯爵令嬢に対する態度でここまで噂されるものなのか……」

「本当ですわね……」


 レイラは舌打ちをしていたが、私も舌打ちしたい気分だった。くそ……イライラさせてくれるな。


「ナバット様、どうしましょうか? 一人一人に文句を言って回りますか?」

「そうだな……家格の低い連中には文句を言っても良いが……」


 子爵家や伯爵家になら文句を言えるが、流石に侯爵家以上の連中には文句は言えないな。下手なことをすれば、私の家にもダメージが入るかもしれんからな。

 と、そんなことを考えていると……私の視線の先に、見覚えのある人物の姿が見えた。

「あれは……」

「どうかしたんですの、ナバット様?」

「……メアル?」

 向こうは私に気付いていないようだが、明らかにメアルがパーティーに参加していた。隣には長身の男性の姿がある。男性の方は確か、リューガ・サンドフ公爵令息か?

 メアルは私以上に噂されてもおかしくないはずなのに、周囲の連中は特にリアクションをしていなかった……。
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