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17話 アーチェの意思 その1
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ニーナの話とお父様の言葉……それらを鑑みて、私はこのままじゃいけない気がしてきた。
私の拒絶めいた言葉には驚いているようだ。
「アーチェ……一体、何を言っているんですか? 私達は昔から幼馴染として生活してきたじゃないですか。さっきも言ったけれど、色々と楽しい思い出だってあるし……いきなり、悲しいこと言わないで欲しいです……」
ニーナは悲しそうな表情を見せているけれど……何かがおかしい。
「ウォーレスもそう思いますよね?」
「あ、ああ……! 勿論だよ! 私だってアーチェとはもう一度、婚約したいと思っているんだし……!」
「……」
お父様も弟のフォルセは、敢えてなのか何も言わない……もしかしたら、私が現時点でどのように考えているのかの表明を待っているのかもしれない。ここは正念場ね……。
冷静になって見てみると……ウォーレスは完全にニーナに操られているように見える。ニーナの言葉には善悪の区別をすることなく同意する傾向にあるようだ。
それで、ニーナはというと……。
「ニーナ……私は幼馴染という関係に固執し過ぎていたと思うわ。今更になって気付くいうのは遅すぎるけれど、私の成長の糧として受け入れて欲しいの。親友なら……頷いてくれるわよね?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいアーチェ。幼馴染の関係性に固執するのがどうして悪いんですか? 以前はあなたとウォーレスが婚約していましたし、現在は私が婚約しています。幼馴染同士……伯爵家同士の関係が強まるのは貴族社会にとって喜ばしいことでしょう?」
「それは……」
ニーナの言っていることは、深く考えなければ正しいようにも思える。私とウォーレスとニーナ……3人が一緒になって各々の伯爵家の力を強めると考えれば悪くないのかもしれない。でも、ニーナは肝心なことを言っていない。おそらくは論点をずらして、私を納得させようとしているのだろうけど……。
お父様やフォルセのブレない意思に後押しされて、私は成長出来ていると実感できる。
「アーチェ姉さま、ご自分の考えを述べる時期かと思われます。現在の思いをしっかりと……」
「そうね……ありがとうフォルセ」
「しっかりと自分の思いを伝える時だ、アーチェ」
「はい、お父様……」
お父様はともかくとして、弟であるフォルセに学ばされるのは、ちょっとだけ反省した方が良いかもしれないけれど……まあ、その辺りは今は考えないようにしておこう。私は良い家族を持ったということで。
「ニーナ、論点のすり替えが過ぎるわ。先ほども言ったけれど、私は考えを変えたの……もう、幼馴染という関係性には固執しない。そもそも、ニーナの方が好きだと言っていたウォーレスだし、それが原因で婚約解消になった。その時点で通常の幼馴染という関係は崩れ去っていたのよ。今までの私が固執していただけで……」
「ちょっと待ってください、アーチェ……。私はウォーレスがフリーになった時に婚約をしただけで……直接的には関係ありませんよ?」
「それ何回も言っているけれど、私のことを親友と言うなら、婚約解消の直後にウォーレスと婚約なんてしないでしょう? まず、責任逃れをしている時点でおかしいし……」
ニーナの言っていることは事実ではあるけれど、私の心情を考えてくれているのであれば、婚約を断るか、最低でも事前の相談はするはずだ。その辺りの考えに至らなかったなんて……私は本当に幼馴染という呪縛に取りつかれて、物事の視野が極端に狭くなっていたのだと思う。
はあ……お父様やフォルセ達には本当に迷惑を掛けてしまったわ。
「アーチェ……本当に言っているの、それ?」
「ニーナ……ええ、本当よ。私はウォーレスとニーナとは今後、しばらく会うつもりはないわ。いいえ、出来れば他人の関係になって欲しいわね。あなた達は私の知らないところで幸せになってね、陰ながら応援はしているわ」
「……」
ニーナはめずらしく、敬語ではなくなっていた。表情としては普通だったけれど、彼女の心の中は相当に焦っているのかもしれない。これで納得してくれれば良いんだけれど……。
私の拒絶めいた言葉には驚いているようだ。
「アーチェ……一体、何を言っているんですか? 私達は昔から幼馴染として生活してきたじゃないですか。さっきも言ったけれど、色々と楽しい思い出だってあるし……いきなり、悲しいこと言わないで欲しいです……」
ニーナは悲しそうな表情を見せているけれど……何かがおかしい。
「ウォーレスもそう思いますよね?」
「あ、ああ……! 勿論だよ! 私だってアーチェとはもう一度、婚約したいと思っているんだし……!」
「……」
お父様も弟のフォルセは、敢えてなのか何も言わない……もしかしたら、私が現時点でどのように考えているのかの表明を待っているのかもしれない。ここは正念場ね……。
冷静になって見てみると……ウォーレスは完全にニーナに操られているように見える。ニーナの言葉には善悪の区別をすることなく同意する傾向にあるようだ。
それで、ニーナはというと……。
「ニーナ……私は幼馴染という関係に固執し過ぎていたと思うわ。今更になって気付くいうのは遅すぎるけれど、私の成長の糧として受け入れて欲しいの。親友なら……頷いてくれるわよね?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいアーチェ。幼馴染の関係性に固執するのがどうして悪いんですか? 以前はあなたとウォーレスが婚約していましたし、現在は私が婚約しています。幼馴染同士……伯爵家同士の関係が強まるのは貴族社会にとって喜ばしいことでしょう?」
「それは……」
ニーナの言っていることは、深く考えなければ正しいようにも思える。私とウォーレスとニーナ……3人が一緒になって各々の伯爵家の力を強めると考えれば悪くないのかもしれない。でも、ニーナは肝心なことを言っていない。おそらくは論点をずらして、私を納得させようとしているのだろうけど……。
お父様やフォルセのブレない意思に後押しされて、私は成長出来ていると実感できる。
「アーチェ姉さま、ご自分の考えを述べる時期かと思われます。現在の思いをしっかりと……」
「そうね……ありがとうフォルセ」
「しっかりと自分の思いを伝える時だ、アーチェ」
「はい、お父様……」
お父様はともかくとして、弟であるフォルセに学ばされるのは、ちょっとだけ反省した方が良いかもしれないけれど……まあ、その辺りは今は考えないようにしておこう。私は良い家族を持ったということで。
「ニーナ、論点のすり替えが過ぎるわ。先ほども言ったけれど、私は考えを変えたの……もう、幼馴染という関係性には固執しない。そもそも、ニーナの方が好きだと言っていたウォーレスだし、それが原因で婚約解消になった。その時点で通常の幼馴染という関係は崩れ去っていたのよ。今までの私が固執していただけで……」
「ちょっと待ってください、アーチェ……。私はウォーレスがフリーになった時に婚約をしただけで……直接的には関係ありませんよ?」
「それ何回も言っているけれど、私のことを親友と言うなら、婚約解消の直後にウォーレスと婚約なんてしないでしょう? まず、責任逃れをしている時点でおかしいし……」
ニーナの言っていることは事実ではあるけれど、私の心情を考えてくれているのであれば、婚約を断るか、最低でも事前の相談はするはずだ。その辺りの考えに至らなかったなんて……私は本当に幼馴染という呪縛に取りつかれて、物事の視野が極端に狭くなっていたのだと思う。
はあ……お父様やフォルセ達には本当に迷惑を掛けてしまったわ。
「アーチェ……本当に言っているの、それ?」
「ニーナ……ええ、本当よ。私はウォーレスとニーナとは今後、しばらく会うつもりはないわ。いいえ、出来れば他人の関係になって欲しいわね。あなた達は私の知らないところで幸せになってね、陰ながら応援はしているわ」
「……」
ニーナはめずらしく、敬語ではなくなっていた。表情としては普通だったけれど、彼女の心の中は相当に焦っているのかもしれない。これで納得してくれれば良いんだけれど……。
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