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4話 舞踏会会場 その1
しおりを挟む「ええと……どうしようかしら……」
マルーク・ウェペリ侯爵が主催している舞踏会。彼が侯爵になったことを称賛してのパーティーらしいけれど……私はかなり緊張していた。パームも一緒に来てくれているけれど、それでも緊張感の方が強い。
「エレナ様、大丈夫ですか? この扉を開けると舞踏会会場が目の前になりますが……」
「わ、分かっているわよパーム……うん、大丈夫……」
「それなら良いのですが……心配です」
ああ……メイドのパームから心配されてしまったわ。侯爵令嬢として失格かもしれない。私はどんなときにも優雅に振る舞わなくてはならないのに……メイドのパームから心配されるのはかなりマズイ気がするわ。まあ、パームは個人的にはお姉さんのような立場だから、ついつい弱音を吐いてしまうということもあるけれど。
「情けない所を見せてしまってごめんなさい……パーム」
「いえ、とんでもないことでございます。私としてはむしろ、エレナ様の弱い部分を見れて嬉しく思います」
「パーム……言ってくれるわね……」
「申し訳ありません、エレナ様。エレナ様は私が幼少の頃から知っていますので……ついつい、妹のように接してしまうのです」
「まあ、それは嬉しくもあるんだけれど……」
パームは確か23歳だっけ? まあ、年上だしお姉さんと呼んでも特に問題はないのかな。ただ、パームに関わり過ぎるのは私の精神衛生上、あまり良くないわね。私の本能がそう告げているような気がした。
「まあ、どうでも良いわ。マルークと会えるのは単純に嬉しいことだし……行くとしましょうか」
「そうですね、エレナ様。緊張感など吹っ切って進んでいくのが良いかと思われますよ」
「パームは本当に……まあ良いわ、向かいましょう」
「はい、畏まりました。エレナ様」
私は心に秘めていた緊張感を吹き飛ばすように、舞踏会会場の扉を勢いよく開けた。この勢いはパームのおかげだと言えると思う。そういう意味では感謝しないといけないわね。
さてさて……マルークは何処に居るのかしら?
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