村娘の婚約破棄騒動に幼馴染の領主様はお怒りです

ルイス

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3話 幼馴染との会話 その1

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「レンネ……! 久しぶりだね!」

「あ、アレック様……お久しぶりでございます……!」


 私は3年振りの幼馴染との再会にとても緊張してしまっていた。当時は普通に話していたけれど、今のアレックは伯爵様になっているのだ……敬語を使う以外の選択肢がなかった。


「レンネ、今までのように普通に話してくれた方が助かるんだが……」

「そ、そうは言われましても……アレック様は伯爵様……この地の領主様になるのですし」


 村娘の家系の家に伯爵様が来ている段階で、既におかしい……いくら幼馴染とはいえ、普通に言葉を交わすことは難しかった。彼は色々と事情があったらしく、私と同じ歳にして伯爵家の当主になっている。私とは全く地位が違うのだ。

「なら、私から命令させて貰おうかな? 普通に話しなさい」

「ちょ、アレック……それはズルいんじゃないかしら?」

「ははは、その言葉遣いを待っていたんだよ! 久しぶりだな」

「え、ええ……久しぶりね。アレック」


 完全にアレックの術中に嵌ってしまったようだわ……私は敬語を使っていたのが馬鹿馬鹿しくなってしまった。アレックは昔からこういう性格だったわね……。


「コホン、父さんは家に戻っていることにしよう。後は若い者達で済ませなさい」

「ちょ……! 父さん! 変な気を遣わないでよ!」

「はっはっは、それではアレック様。娘をよろしくお願い致します」

「心得ました、サウガさん。ご安心くださいませ」


 父さんだけじゃなく、アレックまで悪ノリしている気がする。まったく、この二人は……しょうがないんだから。


「サウガさんも相変わらずだね。安心したよ」

「それを言うなら、アレックだって変わっていないわよ? 伯爵様が村娘の一人と普通に話していて大丈夫なの?」

「それについては問題ないさ。ほら、周りを見ていても奇異な目では見られていないだろ?」

「うん、まあ……それは確かに……」


 それに関してはリハル村の住人の感覚がおかしいとも言える。アレック様が来たというのに、周囲の人達は笑顔で迎えているようだったし……う~ん、このウェルカム感は素晴らしいと言えば良いのかしら?

「それで、アレック。一体、何の用事があってここまで来たの?」

「まあ、大体分かっているかとは思うけど、君の婚約破棄についてだよ。出来れば君の家で話したいんだけど……大丈夫かな?」

「ええ、それは構わないけれど……」

 タイラー・ヘンブリッジ様との婚約破棄についてか……まあ、普通に考えればその話になるわよね。私は頷いてアレックを自分の家に招くことにした。
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