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25話 妹のわがまま その3
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「謝罪って、どういうことかしら?」
まったく意味が分からない。お父様には適当な場所に座るように言われたけれど、それを忘れて立ったまま聞き返していた。
「決まってますよ! 舞踏会で私は大恥をかかされたんですから!」
「な、何を言ってるの? メープル……」
まさか舞踏会での一件を謝れ、と言っていたなんて……本当に信じられない。
「舞踏会での一件はあなたの自業自得でしょう? リシド様という婚約者が居るのに、王子殿下達に擦り寄る真似をしたんだから」
メープル以外の誰も悪くはない。リシド様ですら、あの場面では被害者だと言えるだろう。そんな、誰もが分かるような状況でも、メープルの言動は違っていた。
「でも、姉さまは止めてくださいませんでした! おかげで私は……ユアン様に冷たくあしらわれて、ベノム様には非難の言葉を浴びせられたんですから! どうせ姉さまのことだから、楽しいと感じていたんでしょう?」
「それは……」
舞踏会は確かに楽しかったけれど、妹の失態は楽しいのとは少し違う。周りに対して申し訳ない、という思いの方が強かった。
「あなたが恥ずかしい真似をするから、周囲の方々に申し訳なく思っていたわ」
「どうだか……」
メープルは私の言葉など、欠片ほども信用していない様子だった。
溜息しか付けないけれど……メープルの精神は想像以上だ……。
「お父様は、どう思われますか? メープルは本日の舞踏会で、アモネート家の信頼を揺るがす行為を行っております」
私はお父様に意見を促した。ここでメープルを嗜めなければ、本当にどうしたら良いのか分からない。
「やめなさい、姉妹同士で争うなど……見苦しいぞ、シャルナ」
「わ、私ですか……!?」
「口喧嘩になれば、姉のお前が折れるのが通例だろう? 姉としての余裕を見せないでどうするんだ」
し、信じられない……口喧嘩、という一言でお父様はこの問題を終わらせようとしている。
「お父様、今回の一件は私が折れれば解決するというような問題ではありません。私はいつもメープルの為に折れて来ましたが……!」
「リシド・ブレイク公爵の一件も上手く片付いたではないか。何を心配しているのだ、お前は……まったく」
「っ……!!」
「うふふ、その通りですわよ姉さまっ。ほら、早く謝罪をしてくださいませ」
駄目だ……私が何を言っても、この場で彼らの考えが変わることはない。リシド・ブレイク公爵の一件が上手く解決していると思っている時点でおかしい。
「……失礼いたします」
「お、おい……シャルナ!」
「姉さま、謝罪がまだですわよ!」
謝罪だけはしたくない。私はそんな想いでお父様の部屋を後にした。
今後、こんな家族がどうなっても、私は何も感じないだろう。
「お疲れ様でございます、シャルナ様」
「ドルチェ……ありがとう」
私室では、メイドのドルチェがコーヒーを淹れてくれていた。早くこんな屋敷からは出ていきたい……このままでは、私の精神が持ちそうになかったから。でも、アモネート家の娘として生まれた私だ……簡単に出ていくことは出来ない。それこそ、新しく婚約でもしない限り……。
まったく意味が分からない。お父様には適当な場所に座るように言われたけれど、それを忘れて立ったまま聞き返していた。
「決まってますよ! 舞踏会で私は大恥をかかされたんですから!」
「な、何を言ってるの? メープル……」
まさか舞踏会での一件を謝れ、と言っていたなんて……本当に信じられない。
「舞踏会での一件はあなたの自業自得でしょう? リシド様という婚約者が居るのに、王子殿下達に擦り寄る真似をしたんだから」
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「それは……」
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「どうだか……」
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溜息しか付けないけれど……メープルの精神は想像以上だ……。
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私はお父様に意見を促した。ここでメープルを嗜めなければ、本当にどうしたら良いのか分からない。
「やめなさい、姉妹同士で争うなど……見苦しいぞ、シャルナ」
「わ、私ですか……!?」
「口喧嘩になれば、姉のお前が折れるのが通例だろう? 姉としての余裕を見せないでどうするんだ」
し、信じられない……口喧嘩、という一言でお父様はこの問題を終わらせようとしている。
「お父様、今回の一件は私が折れれば解決するというような問題ではありません。私はいつもメープルの為に折れて来ましたが……!」
「リシド・ブレイク公爵の一件も上手く片付いたではないか。何を心配しているのだ、お前は……まったく」
「っ……!!」
「うふふ、その通りですわよ姉さまっ。ほら、早く謝罪をしてくださいませ」
駄目だ……私が何を言っても、この場で彼らの考えが変わることはない。リシド・ブレイク公爵の一件が上手く解決していると思っている時点でおかしい。
「……失礼いたします」
「お、おい……シャルナ!」
「姉さま、謝罪がまだですわよ!」
謝罪だけはしたくない。私はそんな想いでお父様の部屋を後にした。
今後、こんな家族がどうなっても、私は何も感じないだろう。
「お疲れ様でございます、シャルナ様」
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